運に見放されたあいつ｜リアクション

運に見放されたあいつ

　そこへ、
「大丈夫かぁ！」
　Ａ班とＣ班が合流する。
「お、いるじゃん！」
　八十八旗が少女の姿に声をあげる。
「見つけたぞーっ」
　その中から吉祥寺が雄叫びをあげて駆け寄って来たが、
「気をつけろ。危険」
　旅鴉は無様に倒れる大和を指差す。
　その姿に到着したメンバーが足を止める。
「こいつがやったのか？」
　気圧される一同。
「近づくな」
　少女はマントの中から、盗んだ品々を取り出して頭上に掲げた。
「近づけば壊すってか。子供のくせに卑怯な真似を」
　苛立つ吉祥寺。
「ワッハッハ！　これは将来大物になりそうだのう！」
「笑いごとじゃないっすよ！」
「子供はあれくらい元気でいいんじゃ」
　呑気に笑う立井に被害者達の視線が集まる。
「隙あり！」
　一瞬の隙をついたザ・ストレイトが少女を捕まえようとする。
　しかし、先に少女の手がその体に触れると、気持ちよく吹き飛んだ。
「ぐはっ！」
「だから迂闊に近づくなと言ったのに……」
　多少呆れムードの中、
「あたしの髪かざり返しなさいよ！」
　瀬田が大声で訴えかけた。
「返さないとほんとに許さないんだから！」
「……」
　表情はわからないが、少女が瀬田の声に耳を傾けていることがわかる。
「ね、みんなもこれだけお願いしているんだから、返してあげようとは思わないかい？」
　そこへ西村が笑みを浮かべて少女に歩み寄る。
「だいたいさぁ、ガキが調子乗ってんじゃ……」
　西村の表情が一変。
「待って！」

　声をあげたのは瀬田だった。
　途端に西村の動きが止まる。
「そんな子供に暴力振るっちゃダメ！」
「こいつはレオナの大事な髪飾りを盗んだんだぞ」
「それでもだよ」
　拳のやり場に困る西村。
　その様子に少女も警戒を解いた一瞬の隙であった。
「はい、捕まえた」
　背後から日暮が少女をそっと捕まえた。
「うわぁ……おいしいとこ持っていったのう」
「さて、どうする？」
　御剣が被害者たちに少女を委ねる。
「私は十字架のペンダントさえ返してもらえればそれでいいです」
「俺もネックレスを返してくれるならそれ以上はどうもしないさ」
「私も」
　塔ヶ崎、吉祥寺、瀬田、それぞれの言葉を聞いた御剣は、最後に大和を見る。
「俺は……」
　大和が少女を睨みつける。
「みんながそれでいいなら俺も……」
　そして納得はしていないまでも渋々同意する。

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