大北海道物産展 in ｍｉａｏ｜リアクション

大北海道物産展 in ｍｉａｏ

「ここが、ゆづきの目的地だ」
　ぜーはーぜーはー。
　人ごみでもみくちゃにされた彩斗は肩で息をする。
　高校生たちはいいんだ、うん。
　なんだかんだ礼儀正しくて、道をふさいだりしないから。
　問題はおばちゃん達！
　なぜにどうしてあんなにもずうずうしくいられるのか。
　決して道を明けようなどとはしない肉壁状態のおばちゃん達をかき分けて進むのは、本気で重労働だった。
「まぁ、一応感謝しておくよ」
　彩斗が道を切り開いたところをついて来ただけの弦月は、息ひとつ、髪の一房も乱れさせずにそこに立っている。
　その姿に、彩斗は自分が使命を全うしたのを感じていた。
（俺はやりとげたよ……彼の弟を守りきれたよ……）
　じーんと、幸せがこみ上げてくる。
　そんな彩斗に軽くため息をついて、弦月はニャリオネグッズをチェックする。
　そう、弦月の目的地はかわいらしいニャリオネグッズだった。
　真剣に選ぶ弦月を見て、彩斗は思う。
（彼も、こうゆう可愛いの、好きなのかな……兄弟だし……）
　弦月の隣で彩斗はうーんうーんと悩みだす。
（仕方ないな。一応、この人、僕を助けてくれてたし）
　弦月は頼んでもいないし、兄は大嫌いだし。
　でも。
「兄貴も、こうゆうの好きですよ」
　ぽそっと呟いてみる。
　がばっと彩斗が振り返った。
（別にいいよね。減るもんじゃないしさ）
　ちょっとだけ、ほんの少しだけの気まぐれだ。
　気まぐれついでに、弦月は帰りにキャラメルを買っていこうと思った。
（どうせこの人、帰りも送ってくれるんだろうし）
　兄へのお土産を真剣に選んでいる彩斗を見て思う。
　キャラメルは、彩斗にプレゼントしてあげようと。　

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