夏の炬燵（コタツ）｜リアクション

夏の炬燵（コタツ）

　夏の空に翩翻とひるがえるコタツ布団。
　あれから一同はもうちょっとコタツを堪能し、ちょっぴり幸せな気分になり、そしてコタツから出始めたのだった。

　一同は縁側に座り、買ってきたアイスを食べていた。
　根っからのコタツファンのしおりは、消臭スプレーを購入している。
　博美がてきぱき片づけ、美野梨が丁寧に猫の毛を払い、最後にしおりがスプレーを吹きかける。
「お世話になったお礼」にっこり笑うしおり。「寒くなったら、また来てね」
「ぬー……暑いー……のよー……」まだぐでぐでしつつ、アイスを舐める伸幸。最後まで入っていた彼、ひっぱりだされたときは、とろけた餅のようになっていた。
「悪い夢を見ていた気がする……」遠い目をして、鷹取先輩が呟く。
「コタツは布団だけ片づけて、机として使いましょう」修が笑いかける。「大きいですし、猫たちも気に入ったみたいですし……」
　
　修が目をやる先に、並んで丸まっているタイガとひまわり。
「居場所がない」といわれたひまわりも、ようやく居場所を見つけたようだ。

「それにしても、あのような醜態……僕としたことが」鷹取先輩が呟くと、解理の顔が真っ赤に染まる。
「僕は一体何をしていたんだろうか……なんかとんでもない失態をさらしていた気がする……」
「おお、覚えているぞ！」いじわるな笑顔を向ける鷹取先輩。「なかなか、あのような顔をできるものではないぞ！」
「わ、忘れろ！　みんな忘れるんだ！」大声で叫ぶ解理。
「忘れなかったら、ろっこんぶっ放すぞぉ！」

　潮風に翻る布団。
　体を寄せ合って丸くなり、気持ちよさそうにする猫。
　風鈴の音が響く。

　夏はまだ、始まったばかりだ。

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