【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）｜リアクション

【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）

　作業に没頭してから１時間弱経過した頃。
　八十八旗と志波が旅鴉邸へやってきた。
　インターホン越しに八十八旗が無駄に爽やかに挨拶。
「ツッキー！　約束通り南国の風のように陽気な八十八旗さんが撮影しに来たよ！　って、デラっち先輩、なんでここに？」
「イヤー、月詠ちゃんの絵のモデルになるって約束してて☆　信彦くんこそカメラ片手に、ってもしかして俺を撮影！？」
「んなわけないじゃないか！　うわー、ブッキング！？　ツッキー、なんで言ってくれなかったのさー！」
　他人の家の前でブーブー問答し出す男２人に、旅鴉はこう告げた。
「合言葉を言え。約束を取り付けた際に伝えたはずだ」
　これに２人の顔が青ざめる。
（（そんなの聞いてねぇよ……））
　男どもは聞かされていない合言葉の存在に狼狽する。
「お、おやぁ？　信彦くん顔色悪いデスヨー？」
「そういうデラっち先輩も目が泳いでるじゃないかー！」
「「あは、ははははははは！」」
　右往左往する２人の様子を、旅鴉はクスクス笑ってインターホンから観察していた。
（最初から合言葉なんて存在しないのだが、これはなかなか面白いな）
　旅鴉のイタズラに、男どもは見事に翻弄されている。
　そして彼らは同時に口を開いた。

八「グラサン！」
志「きんにく！」

「ふたりとも、中には入れ。歓迎しよう」
　男ふたりは、今ひとつ状況が掴めずに口をあんぐりと開けたまま突っ立っている。
　扉を開ける旅鴉は、今にも吹き出しそうだった。

　結局、志波はブーメランパンツ１枚になって、旅鴉はデッサンを開始。
　その光景を（志波が写りこまないように）八十八旗が撮影。
「ねーねー、月詠ちゃん！　あとで俺も写真撮らせて☆」
「どうぞどうぞ。だが、奥に居るメイドの唱華の制作の邪魔はしないでくれよ。多少の事で気にするようなメイドではないが」
「なにっ、メイドさんいるの！？　見たい、超見たい！」
　志波がリアルメイドに興味を示せば、八十八旗もポンと手を打った。
「唱華ちゃんか！　うんうん、美人さんだよね！　よし、許可を貰ってこよう！」
　男どもは裁縫室に突撃していった。
「言ったそばからこれか。やれやれ、そんなにメイドがいいかね君たちは？」
　旅鴉は八十八旗からの謝礼のお菓子と志波の謝礼のジュースを口にしながら木製ニャンプラの出来を確認していた。

「すみませんが手が離せませんので、あとミシンに近寄らないように指を縫いますよ？」
　笑顔のままミシンを高速回転させながら会話をこなす唱華。
　その迫力に男どもは「アッハイ」と背筋を正してしまう。
「そう硬くならずに。撮影はご自由にどうぞ？」
　唱華が優しく微笑めば、彼らは安堵した表情でカメラを構える。
「そ、それじゃ、シツレイシャース！」
「唱華ちゃん！　こっちも１枚頼むよ！」
　ブーメランパンツのカメラマンとチャラいカメラマンが美女を撮影。
　そこへ裁断し終えた夢宮が裁縫室へやってきた。
「なんかカオスだねぇ！？」
「あ、ルナちゃんも来ていたんだ！　ちょっと撮影させてよ！」
　八十八旗の美少女照準が夢宮へロックオン！
　自身の写真の使用目的（学校の課題）の説明も忘れない。
「それだったら協力してあげてもいいよ。その代わり可愛く撮ってね？」
「もちろんさ！」
　八十八旗が撮影している横で、志波がポージングを始めた。
「笑顔作りならまかせろー！　俺を見て笑えー！」
「筋肉すっごーい！」
　夢宮の最高の１枚が取れたのは言うまでもない。

　桜は気が付けば、露出が多く際どい衣装と下着のデッサンばかり書いていた。
「……えっと、まあ悪くないできだしとっておこう、機会があれば形にするかもしれないし」
　その後、夢宮から頼んでいた衣装が出来上がり、更に赤面することになる桜であった。