【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）｜リアクション

【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）

　桜と夢宮を迎え入れた唱華は、２人を自室へ招いた。
「型紙などで散らかってますが、好きな場所を陣取って作業して構いませんからね」
　唱華の言葉に、早速２人は場所を確保し、作業に没頭し始める。
「インターネットを借りていいだろうか？」と桜からの申し出に２つ返事で了承する唱華。
「彼、人見知りですので、最初はぎこちないかもしれませんが……」
　唱華がパソコンのモニタを優しく撫でる。
　それを不自然そうに見遣る桜の目線に、あらあらと唱華は笑ってみせた。
「私のろっこんは、無機物と会話が出来るのですよ。買い出しに行くほんのちょっと前まで、テレビさんと今季の深夜アニメの覇権は何かを語り合ってました」
　コスプレ衣装を決める参考としてテレビに直接会話をしていた唱華だが、聞いていた２人はピンと来ないようで首を傾げてしまった。
「まぁ、私にしか分かりませんから、奇妙に見えますよね。あ、ちょっとアトリエへ行ってきますね。おふたりはこのまま作業してて構いませんよ」
　そういうと、唱華は「月詠様ー、聞いてくださいませー！」と猛ダッシュでアトリエへ向かっていった。
「檜扇さんって、竜巻みたいな人だねぇ」
「夢宮さんの例えは的確だな」
　互いに苦笑いしか出てこなかった。

　ともかく、２人は作業を進めることにした。
　夢宮は湧き出てくるアイデアを形にしたくて仕方がない様子。
「はっ！？　こうすれば！　これならきっとすてき！　かわいい！」
　早速型紙へ起こしだす夢宮。
「なんでだろう？　今日のあたし、気分はトップデザイナーみたいにぐんぐん作業が捗る！」
　時折、デザイン画を修正しながら、頭の中の製図を形にしていく。
　その手さばきは（神魂の影響によって）著名なデザイナーの如き大胆かつ迅速である。
「私も、先程からどんどんとデザインが浮かんでくるのだ。しかも不思議と疲れを感じない。いくらでもデザイン画を描き続けていられる……！」
　桜は目を輝かせながらサラサラとスケッチブックにペンを走らせてはページをめくり、またペンを走らせていく。
　作業途中、インターネットを駆使して最新コスプレ事情をリサーチ。
「こっ……これは凄いな、うわっ、こんな際どいのもあるのか」
　よく職務質問されないな、と疑問に思ってしまうほどの露出の衣装の画像を見ながら、桜はドギマギしてしまう。
「だが、私も被服の道を志す者。これは心してかからないと、やるなら徹底的にやらないとな」
　桜の脳内に、瞬時に画像の女性が来ているコスプレ衣装の３Ｄ画像が投影される。
　そして見えない部分――下着までも脳内で補完、デザイン画に起こしていく。
「うん、良く分からないけれどこれは凄い調子が良い、良いぞこれは良いぞ！　やはりどんどんアイデアが湧き出てくる！」
　普段は物静かな桜だが、今は湧き上がるイメージに超エキサイティング！
「あたしもあふれる創作衝動で、いつもより進行がぐんと早い気がするの！」
　既に型紙に起こし終えた夢宮は、迷うことなく生地を裁断し始めた。
「桜さん、気になったデザインあったら言ってね？　今だったらどんどん型紙に起こせそう！」
　ニコニコの笑顔でジャキンジャキンとハサミを振るう夢宮の勢いが止まらない。
「それはありがたい。では、これはどうだろうか？」
　桜が指定したのは、日曜朝に放映されている美少女戦士アニメのコスチューム。
「あ！　これ、あたしもよく見てるよぉ？　うん、任せて！」
　こうして、桜の分まで夢宮は生地を裁断していくことに。
　桜はとりあえずデザイン画だけに留まるつもりだが、夢宮の勢いを見て「手伝えることがあれば言ってくれ」と微笑んでみせた。