【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）｜リアクション

【ネコミケ】修羅場を超えろ！寝子島大爆発！（芸術的な意味で）

【爆発レべル４：衣装作成で爆発してみた】

　夏の日差しは殺人的だ、と桜月はつくづく思う。
　色素の薄い彼女は、日中での活動が制限される。
　ただでさえ紫外線に弱い桜は、夏のジリジリとした熱線はまさに拷問。
　そんな彼女が夏休みの間、昼夜逆転生活を送るのは必然的であった。
　桜はこの日、デザイン画を描く画材の調達をするため、行きつけの店へ向かっていた。
　その途中、男女３人組がネコジマスクエアでストリートライブを行っているのを目撃する。
　神魂の影響でプロ並みのパフォーマンスを披露する彼らに、桜は思わず足を止めてしまった。
「変わった衣装だ、あれは海賊かな？」
　キーボードの奏者の衣装に彼女は目を奪われる。
「ああいうのをコスプレというのだっけ？　偶にはああいう服のデザインを考えると新しいアイデアが出るかもしれない」
　普段から彼女の祖母がぬいぐるみの服をよく作っていた。その中で服のバリエーションを見てきている。
　コスプレ衣装を着ているのを見るのは初めての桜でも「似合っていればそれでいい」と納得していた。
　この時点で、彼女もまた神魂の影響を受け始めていた。
「そうだな、早々に画材を調達して、インターネットで画像検索をしてみよう。何か閃きそうだ」
　桜は足早に画材屋で用事を済ませると、星ヶ丘寮の自室へ戻っていった。
　その途中、クラスメイトの夢宮瑠奈と桜は出合い頭に衝突した。
「ご、ごめんねぇ？　荷物で前が見えなくて……」
　夢宮は大量の生地や型紙を抱えていた。
「こちらこそ、考え事をしていて前方不注意だった。……それは？」
　桜が尋ねると、夢宮は照れ笑いした。
「ああ、これ？　コスプレ部で作りかけてたコスプレ衣装の材料と道具を、寮に持って帰って作業しようと思ってねぇ」
「こんな時間まで学校に残っていたのか？」
「うん、選択課題があるせいか、他の人も結構残っていたよぉ。なんか急に色々とやりたくなっちゃって。魔法少女をベースにしたイメージの衣装なんだけれど、さっぱりセンスが光らなくて、デザインを見てもどこか足りない感じがするの。だから、家に持ち込んで仕切り直し」
　残念なことに、夢宮へ来た神魂の影響は弱かったようだ。
　それでも彼女の顔は明るいままだ。
「でも不思議。この音楽を聴いてたらアイデアが沸いてきた！」
「そうか、実は私もなのだ。音楽の影響は計り知れないな」
　奇しくも衣装作成という部分で共通している２人は意気投合。
　そこへ更に、ネコミケ用のコスプレ衣装の生地を買い込んでいた檜扇唱華ともばったり遭遇する。
「あら、月詠様のお友達ですね？」
「なぜ、私のことを？」
　桜は戸惑うが、唱華はニコニコ。
「主である月詠様からお話を伺っておりますから……」
　キラリ、と唱華の目の奥が光り輝いた。
　桜は困惑しながらも肯定した。
「そ、そうか、君は旅鴉さんのお付の人なのか。同じ寮内だものな」
　このやりとりに桜花寮住まいの夢宮はぽかーんとしていた。
　これに桜が答えた。
「ああ、すまない。この人は私と同じ星ヶ丘寮のメイドさんだ」
「へぇ！　本物のメイドさんっ？」
　夢宮は途端に目を輝かせ始めた。
　対する唱華は夢宮の顔をまじまじと見詰めると、鷹の目のごとき眼光を放った。
「もしよろしければ、おふたりとも月詠様のアトリエへいらして下さいな。私、これから衣装を作るのですが、おふたりがいると更にインスピレーションを掻き立てられそうなので」
「私は……、まぁ、構わないが」
　普段なら自然と壁を作る桜だが、神魂の影響か、他人からインスピレーションを積極的に受けようという考えが思い浮かんでいた。
「えっ、お邪魔しちゃっていいのですかぁ？」
　夢宮は星ヶ丘寮へ入れる好機にワクワクドキドキ！
　唱華は旅鴉へ連絡して承諾を得ると、夢宮に向けてOKサイン。
「では、早速ご案内致しますね」
　彼女の案内で衣装作成を行う事となった桜と夢宮。
　神魂の化学反応が起きる！