サマー！部活動のお時間です！～文化部編～｜リアクション

サマー！部活動のお時間です！～文化部編～

○夏休みも一緒に～家庭科同好会

　綾辻綾花は、家庭科室をノックした。
「こんにちは、お邪魔します。見学させてください」
　あおいちゃんは夏休みも部活出る予定かな？　と七夜あおいに昨日電話してみた。
「うん、行くよ」
　という返事に、見学してもいいですか？　とお願いしてみたのだ。
「いらっしゃい、どうぞ。みんなには話しておいたよ」
　あおいがにこやかに迎えてくれた。
　綾花が家庭科同好会の見学をするのはこれで２回目だ。
「あとあおいちゃんに教えて欲しいことがあって。刺繍をしてるんですけど難しくて教えて欲しいなって」
「あたしでわかるかな？　先輩とかのほうが……」
「刺繍の本があれば読ませてもらえますか」
　あおいが本を持ってくると、綾花はメガネをかけてろっこん『読破』を発動した。
　本の内容がすらすら頭に入り理解できる。
「やり方は頭に入るけど実際にできるかな……」
「何を作ってるの？」　
「猫の王様のイラストを袋に刺繍したいんです」
　綾花は、持ち歩いている猫メモをあおいに見せて説明するした。
「大切な石と指輪入れなんです」
「可愛い！　でも難しそうだね……」
「あおいちゃんって刺繍得意ですか？」
「うーん、得意ってほどじゃないけど、好きだよ」

「そうだ、終わったら食べようと思ってアイスの材料買って来たんです」
　綾花は生クリームと玉子と砂糖を取りだした。
「あおいちゃん、一緒に作りませんか？」
「ありがとう。アイス、食べたいなあ」
「刺繍が終わったら一緒に食べたいです。暑い時は冷たい物が欲しくなりますよね！」
　あおいは他のメンバーのほうを見た。
「みんなにもあげていいかな？」
「ええ、そのつもりで持ってきました」
　先輩の許可を得て、二人は調理台へ向かう。
「混ぜ合わせて凍らせるだけですから難しくないですよ。イチゴジャムとかあれば混ぜてもいいかも」
　イチゴジャムも加え、混ぜ合わせる。
　あおいが料理が苦手なのは知っているので、フォローしつつ。
　材料は無事冷凍庫へ収まった。
「刺繍が終わった後には固まってる予定です」
　
　被服室の机に戻り、綾花は白い巾着を取りだす。
　半分くらい猫の形が出来上がっていた。
「わあ、上手じゃない」　
　あおいに褒められ、綾花は照れる。
「いえ、まだまだです。刺繍糸が織り糸の下にもぐってしまってうまくいかないところがあって」
「ああ、なるほど……」
「あ、さっきの本に書いてありました。こうやって裏の糸を長くすれば表が綺麗になるんですね」
「すごい！　本だけでちゃんとわかったんだ」
「ありがとうございます。まだまだですけど……」
　あおいは猫のぬいぐるみを作っていると言う。
　二人は他愛ない話をしながら手芸を楽しんだ。

　しばらくして、無事猫の王様の刺繍が出来あがった。
「できました」
「うわあ、上手だね！」
「あおいちゃんのぬいぐるみもとっても可愛いですよ」
　冷凍庫を開けると、アイスがいい感じに固まっていた。
　待ちかねていたらしい皆が集まってくる。
「美味しいですね」
「ありがとう、とっても美味しいよ」
　根を詰めた作業の後だからか、よく冷えたイチゴアイスはとても美味しかった。

　片づけをして、去り際に挨拶をする。
「今日はありがとうございました」
　そしてそっと聞いてみる。
「もし良ければまた来てもいいかな？」
　あおいはにこやかに頷いてくれた。　