合同コンパVS巨大イカ｜リアクション

合同コンパVS巨大イカ

●●●イカ接近、戦闘態勢に入ります●●●
　未だ沈黙を守る巨大イカに近づく2艘のボート。
　シダ・氷華が先に近づき、構えを取るシダ。氷華もボートを止め、臨戦態勢に入る。
　先頭に立つシダが攻撃を受け流し、氷華のろっこん【замерзание】で動き足を凍らせる作戦だ。

「いくぞ　イカ　弱点　目と　眉間　知ってる　シダ」

　シダの声が聞こえていたのか、動かなかった目が1回転し2人に焦点を合わせる。
　そして、足を1本水上に出して攻撃をするためか、足をしぼめはじめる。

「来るぞ。気をつけろ」
「ヴァン　リズム　くずすと　やられる　4ビート　モッハイバーボン」

　ベトナム語でリズムを取るシダ。しぼめていた足が止まり、シダめがけて攻撃を繰り出す。
　…と思われたが、シダの前で急に減速し、優しくシダの頬を撫でた。
　声こそあげなかったが、鳥肌が立ち、思わずキックをお見舞いするシダ。

「にょろにょろ　きもちわ…」
「シダさん、大丈夫か？　あのイカ、乱暴な性格ではない、のか…？」

　泣きそうなのを我慢するように歯を食いしばり、頬のにょろにょろを拭うシダ。
　それを見ていた冴木とねむるも近づき、攻撃を加えようとする。

「あのイカ、凶暴ではないのなら、すぐに片がつきそうですわね…っ！？」
「危ないっ！」

　先ほど同様、足が飛んでくるが減速する気配を見せない。
　すぐに反応できたねむるが冴木を押し倒すような形でかばう。
　外れたイカの攻撃は水面に突き刺さり、荒波を引き起こす。

「おまっ、おまっ、おまっ…！」
「今はじっとしていてください！」

　揺れるボートに男が上で、女が下で…。いや、違うのよね、もうちょっとこう、ボーイ同士がいい。
　あー…今回のネコミケ、ネタが少ないからこれを参考にしよう。触手なう。って。
　それとも力ない僕が生き残るためには彼の力がなければ…でも、彼の力の源が僕の…とか…はぁ。

「しかし、シロの陥没した胸が仇になるとは…相変わらず残念である」

　見ているだけを決め込んだ凪が妄想を膨らませながら木に寄りかかっている。
　時折おきた出来事のメモを取り、ネコミケのネタにできないか思いを馳せている。

「それにしても、大変ねぇ」

　横に見えるのはイカの水揚げのため、余っていたボートを移動するなど準備を進めている直也と修と月。
　一般人の避難をしている信彦と立樹、おろおろとしている夏朝。
　そして、ボートでの出撃をいまだ止めている湊弥。出撃したがっているのは陽波。

「朝倉さん。俺たちは今から水揚げをする。そんなに調理したければそのときにしてくれないか？」
「なんとっ。なら準備しないと！」

　目を輝かせながらバーベキュー場へと走っていく陽波。
　少し疲れている湊弥を見て修は言う。

「変に抑えるから良くない。こういう時はやりたいようにやらせるのも手だ」
「あ、はは…。面目ない。めんこいから無茶して欲しくない、てのがあるからなあ」

　湊弥が苦笑いしつつ語る姿を見て、情があることを認識する修。
　そうしている間も、ボート組の攻防は展開されていた。

「どうやらあの巨大イカは女性に対して攻撃が鈍るようですね」

　観察とおびき寄せの合図を送っていた月が報告をする。
　聞いた夏朝はぴくりと反応する。僕でもできることがある、と。
　タイミングよく織江の車も到着する。

「水棲生物と水場で戦うのは得策じゃない。陸に引きあげるぞ」

　修のその一言が水揚げ開始の合図であった。

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