合同コンパVS巨大イカ｜リアクション

合同コンパVS巨大イカ

●●●宝探し、始まります●●●
　宝探しの時間になってしまったため凪の占いの結果を後程お伝えください、と断った直也。
　そして、参加者全員に伝わる様に拡声器で時間であることを告げる。

「皆様、ご歓談の所失礼します。もう間もなく宝探しの時間になりますので、三夜湖へ移動してください」

　三夜湖の湖畔へ各人が移動し、ボートと救命胴衣の使い方を簡単にレクチャーを受ける。
　取って帰ってくるだけな上、距離もそんなにないが、万が一に備えてと直也が用意した。

「オネーサン、合コンという趣旨に沿って互いを知るためにも、一緒にイベントを楽しまないかい？」
「あら、それ私に言ってるのかしら？　うふふ。見込みあるじゃない？」

　簡易レクチャーを済ませた一行はそれぞれ移動を開始するが、信彦は織江を誘った。
　怪しげに笑い、信彦の首に腕を絡め体を寄せて、腕をクロスさせ…る所で信彦はたじろいだ。

「な、えっ、ちょ、オリエちゃん…！？」
「なにかしら？　…なんて、まだまだ修行が足りないわね。度胸は評価するわ」

　寄せてきた体をあっけなく解き、信彦の頭をなでる織江。
　じゃね、とウインクしながらグループ4に戻っていく織江を見送る。信彦は次こそは…！と意気込む。

　そんな織江を横目で見ていた直也はため息をひとつ漏らす。
　そして、レクチャーをしているときから気がかりが一つ。

「…水上に、なまらでかい…イカ、だな…」
「宝探しって聞いてたんだけど。ボスキャラまで用意されてるのかな？」

　湊弥やねむるが不思議に思って声を出しても仕方ないと言えるだろう。
　宝箱が設置されている少し奥に大きなイカがそびえ立っていた。直也は浮かれ足の織江に話しかける。

「…大橋さん、ああいうの用意しました？　僕としては、先に言ってほしかったのですが」
「え？　久保君が用意したんじゃないの？　私は知らないわよ？」

（やっぱりあのイカ…あの大きさ、明らかにフツウじゃない…このままじゃ他の人が危ない！）
「久保氏、ここまで車を持ってこれるだろうか。アレを一度引き上げる」

　そんな会話を耳にしてしまった夏朝と修。
　おろおろした後、グループ3の人達に伝えようと走る夏朝。
　冷静に対処をしようとする修に、何か感づいた直也は織江に一般人の退避を指示する。

「なんだあれ　イカか　ヴァン　ちょうどいい　あれ　やっつけて　焼こう」
「ふ、ふふふ…私！　イカ！　大好きなんです！」
「せ、せんぱーい！　イカがー！　駄目だ、もう食料にしか見えない…狩りだーー！」
「狩りだ、じゃねえええ！　…じゃなくて朝倉さん！　危ないから！　その格好で突っ込むなああああ！！」

　悲しいかな、似たもの同士が先頭に立ち、準備は万端だ、とでも言いたげだ。
　シダ、冴木、陽波がイカに見た文字は「食」の一文字。
　そして、湊弥の叫び声が響く。
　折悪く、直也が拡声器を持って知らせた中止を知らせたはずの声は、
　シダ・氷華、冴木・ねむるには開始の合図に聞こえたらしく、イカに向かって発進をする。

「他の人たちは来ていないようだが、大丈夫だろうか」
「ヴァン　問題ない　必要なら　追ってくる」

　他の人たちが来ないがシダの強い意志に従った氷華はボートを漕ぎながら疑問を投げかける。
　そして、きっとそれは出来ないだろうな、と苦笑する氷華。

「なあ、冴木さんはイカがそんなに好きなのか？」
「ああ！　大好きだ！　一夜干し、イカリング、ホイル焼き、唐揚げ…想像するだけで酒が欲しくなる！」

　ねむるも冴木の強い意志に従ったが、ねむるにはペイント弾を急所に命中させるという目的があった。
　その折、冴木がどれだけイカが好きか、語っていた。
　ねむるが理解したのは、おもしろい人なんだなぁ、ということであった。

「行っちゃった…どうしよ」

　グループ3の夏朝は冴木が行った後を呆然と眺めていた。
　未だに沈黙を守る巨大イカに対してなにも出来ないばかりか、フツウではないことを伝えられなかった。

「はぁ…面倒。夏朝さん、修君が何か始めるみたいよ。手伝ってあげたら？」
「凪さん…？」
「あのイカ、退治する準備みたいよ。シロ達を助けるんでしょう？　私は見てるだけにするけど」

　不躾に、しかし的確に情報を渡す凪。夏朝も気がつき、はじかれる用に走り出す。
　そして、もどってきた。

「あん？　修君は向こうよ」
「あの、ありがとうございます！」

　勢い良く頭を下げる夏朝。そして唖然とする凪を置いて走っていってしまう。
　しばらくして、凪は正気を取り戻す。

「はっ…綺麗な眼差しで溶けるところだったわ。いけない、いけない。」

　腐海に生きる彼女にとって今の攻撃（？）は有効だったようだ。
　ため息をつきながら一連の出来事が見やすい位置に移動する凪は、こうつぶやいたとか。

「本当になったら、後味悪すぎだからね。ただ、それだけ」

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合同コンパVS巨大イカ

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