サマー！部活動のお時間です！～運動部編～｜リアクション

サマー！部活動のお時間です！～運動部編～

水泳部１　＜まゆ先生とユカイな部員たち＞

　寝子島電鉄を乗り継いで数十分、顧問の相原まゆ先生率いる水泳部部員一同は、木天蓼湾沿いの海水浴場に降り立った。
「やってきました夏合宿！」
　部長の佐々寿美礼が照りつける太陽に目を細め、海水浴客の賑わいを見る。さらにその向こうには我らが故郷の寝子島が見える。
「いやー結構人いるっスねー」

「砂浜で走って海で泳いで……すごい楽しみだぜ！」
　元気娘の鏡箕萌もテンション上昇中。

　が、最も舞い上がりまくってるのは……
「こらー！」
　まゆ先生の怒号が響く。
「武道君、まだ脱ぐなー！」
　志波武道が神速脱衣をさっそく披露している。
「あれ、マダハヤカッタ？」
「泳ぐのは荷物を旅館にあずけてからー！」
「いやーついでに服も預けちゃおうかなって。まゆセンセも脱いじゃいましょうよー」
「顧問含めて全員水着で『荷物お願いしますペコリ』って、絶対におかしいだろー旅館に出入り禁止食らったらどうするんだ！」
「まゆセンセの水着姿見せたら、宿代安くしてくれるかも！」
「３０代の水着姿なんて需要あるわけないだろ！　ってなんてこと言わせるのよ！」
　背中をバチンと平手打ち。
「いたぁ！　……俺何も悪いこと言ってないのに」
　とんだ災難である。

「旅館、温泉付きらしいねー」
　アホなことをやっている２人を尻目に浮き足立つのは雨崎荒太郎。
「しゃおりーは旅館に泊まるの初めてなのだ。温泉って何なのだ？」
　李小麗も初体験の連続に期待に胸膨らます。
「天然のお風呂っていうのかな。ゆったりあったまれて気持ちいいんだ」
　と、邪衣士が言えば、
「何より温泉の成分で疲れが取れやすいことが大きい。この合宿は成果が期待できるわ」
　エカテリーナ・クロキも説明に加わる。彼ら２人は、どちらかといえばストイック組。
「まゆ先生が値切り交渉ガンガンして、経費で収まるとこ見つけてくれたんだよ」
　水泳用具の入った大きな鞄を持ちながら寿美礼が付け加える。
「さすがまゆ先生ー頼りになる顧問だなー」
　当のまゆ先生は、引き続き萌と武道にいじられている。
「きゃーまゆ先生の水着刺激的ー！」
「おニューじゃないですか！　今日の合宿一番楽しみにしてたのまゆセンセで決定☆」
「こらー勝手に私の荷物をあさるな！」

　とまあそんな感じで、合宿というよりは旅行気分な水泳部面々。木天蓼湾を一望できる旅館に荷物をあずけると、各自着替えて海水浴場へ集合した。いよいよ真面目な部活合宿の始まりです。