寝子島バロック狂騒曲｜リアクション

寝子島バロック狂騒曲

　バッハ出現騒動から数日後、猫鳴館の郵便受けにて。
「お、東都大学の先生から返事がきてるな」
「へへっ、音楽学の権威のお墨付きがもらえれば、軽く一儲けできるねぇ」
「もらえるに決まってるさ、なにせ本物のバッハが書いたんだから」
　巴と瓢はこんなやり取りをしながら、いそいそと封筒を開ける。
　そこには、こんな文面があった―――

前略
　送付していただいた楽譜のコピー、拝見しました。バッハの作風が完璧に再現されていて、たしかに「フーガの技法」の完成版を名乗るにはふさわしい出来です。
　しかし、バッハの作品の補筆が日本の高校から偶然発見された、という話はにわかには信じられませんし、正直なところ偽作・盗作・代筆などは音楽の世界ではよくあることです。
　付け加えますと、バッハの時代にしては五線譜がきれい過ぎますし、筆跡もボールペンか何かのように見えます。今回の楽譜の件は、子供だましのいたずらでしょう。しかし、誰が書いたかには興味があります。おそらく、非常にバッハに詳しい専門家でしょう。
　情報の提供には感謝します。今後またなにか面白い情報があれば、お寄せください。
草々

「瓢……やっぱりバッハを絵に戻したのは失敗だったな……」
「世の中、そうは甘くないってことだねぇ……」
　がっくり肩を落としてため息をつく二人を、セミの声が包んでいった。

〈了〉

このページにイラストを設定する

あとがき

担当マスター：三城俊一
ファンレターはマスターページから！

皆様のおかげで、無事物語を完結させることができました。

実は「らっかみ！」シナリオ全体で二回目の登場となるバッハさんの肖像。
前回は寝子高七不思議の一つでした。↓
▼寝子高七不思議シリーズ：校内キャンプでバッハに会いに行こう！
　　http://rakkami.com/scenario/guide/116
こちらのシナリオでは、意外な結末が待っています。

さて、バッハさんと過ごすひと時は楽しめましたでしょうか？
ドタバタ劇を書きたいと思っていながら、結末が難産となり自分が一番ドタバタするという笑えない事態にはなりましたが。
少しでも楽しめた、と思っていただけるなら、マスター冥利に尽きます。

参加していただいた皆様、本当にありがとうございました。

↑ページトップに戻る