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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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時刻表で巡る旅 ――妄想編――
◆奈良橋 博美 ～賢く格安に大冒険～
16歳、高校生になって初めて迎えた夏休み。
一歩 踏み込んで、これまでにない体験を。それも何か、達成感のある冒険を。
時刻表を手にした博美は、しばし考えた後に力強く頷いた。
「ここはやっぱり、京都行こう」
奈良橋流古武術家元の一人娘・博美は、ボーイッシュな彼女らしくスポーティな小さなバッグだけを手荷物に、冒険を始めた。
質実剛健な博美は、お金の無駄遣いをしない。
1日5回乗り放題の切符を利用して、京都への往復を目指す。
「東京から大垣までは1日1往復のみの、夜行快速列車が出るんだ。あれに乗らない手はないよな」
博美の言う夜行は、東京を出発し、名古屋を経由して、大垣（岐阜県）へ至る。
博美はそれを、ちゃんと知っていたのだ。
「鉄板だな。着席整理券があるから、途中駅からの利用でも座れる筈だし」
博美は、そう付け加えると勝気に微笑んだ。
途中で大人の迷子の案内をするハプニングにも見舞われたが、博美は寝子島から木天蓼を経由して、東京駅まで辿り着いた。
「ふう、ちょっと時間なくて焦ったけど、結果オーライだぜ」
停車していた白い夜行列車に乗り込んだ博美は、スタスタと通路を歩いて、座席番号に視線を走らせる。
「あったぜ、でも……あれ？」
確保しておいた自分の席には、還暦ほどのふくよかな男性が、ふうふう言いながら座っていた。
「あの、ここ俺の席なんだけど……」
「ああ、申し訳ない」
男性は慌てて立ち上がると、博美に行く先を尋ねた。
「大垣までだけど、どうして？」
「それは良かった。私も大垣までなんだ。もし良かったら、私の窓際の席と交換してもらえないかな？ どうも腹の調子が悪くて、この分だと夜中に何度も席を立ちそうなんだ」
博美の席は、本当は通路側で男性の席の丁度隣だった。
「そう言う事なら、勿論構わないよ」
「助かるよ、あまり何度も人前を往復してトイレに行くのも、迷惑だろうし。我慢しなきゃならないかと、思ってたんだ」
「いや、気にしないでいいよ。俺もホントは窓際の方が、良かったんだ」
何度も礼を繰り返す男性に、気さくな笑顔を向けると、博美は急遽変更になった窓際の席に着く。
華奢な体にはスペースが余りがちなシートに、ゆったりと腰掛ける。
待つ事しばし、夜行列車が東京を出た。
予定では、7時少し前に大垣に着く筈だ。今のうちに、出来るだけ睡眠を取っておこう。
今のところは、順調。
車窓に目を向ければ、鏡のように車内を反射する窓硝子が、大きな口を開けて すっかり寝入った隣の男性を映し出していた。
（腹痛は治まったのかな？ それなら良かったぜ）
肩の力を抜くと、博美も いつしか小さな寝息をたてていた。
景色が白む頃、博美は目を覚ました。
大きく伸びをしていると、隣の男性も目を擦っていた。
「おはよう、おじさん。良く眠れたかい？」
「やあ、おはよう。寝たらすっかり、調子が戻ったよ」
「そりゃあ、良かったぜ」
ニカっと笑うと、男性も照れくさそうに頭をかいた。
駅に着くと、男性は博美のために、パンとコーヒーを購入した。
「そんなの悪いよ」
「坊やのお陰で、随分気が楽になったよ。気をつけて行くんだよ？」
「え、ちょっと」
呆然とする博美とほの暖かい紙袋を残して、男性は早足で去っていった。
手元に視線を落とすと、博美は一つ溜息をついた。
「親切にされるのは嬉しいけどさ……俺は、坊やじゃないぜ？」
目的地の京都には、10時前には着いていた。
「うん、いい感じだ」
京都駅八条口から出ると意気揚々と、博美は東寺まで1.5km程を歩いて踏破した。
近鉄もあるのだが、結局は駅から歩くし、一駅くらいなら午前中の涼しいうちに歩いてしまえないかな？ と何事も挑戦である。
懐は寂しくても、溢れる若さがある。実際、早足で15分程で到着した。
しっかりお参りをして、京都土産を購入したら、とんぼ返りして帰りの電車へ。
「セーフ！ 流石に京都は暑いぜ、でも予定通りだな」
お茶を流し込むと、名残を惜しむように古都の風景を目に焼き付けた。
勿論、京都の駅弁を味わう事も忘れない。
節約した分でする、ちょっぴりの贅沢が食事をより美味しくする。京都の名物が、少しずつ品数豊かに揃えられたお弁当をお腹に納めて、大垣からまたのんびり列車の旅だ。
日付が変わる前に木天蓼まで到着し、そこから寝子電の最終電車に飛び乗る。
そうして見える、廃墟のような猫鳴館。
「皆、ただいま！」
京都土産を掲げて、博美は明るく声を上げた。
忙しいけど、行けるな。
腕組みをして、うんうんと頷きながら、博美は時刻表を閉じた。実際に行くことは難しいかもしれないけど、予行演習は楽しい。
「良かったぜ」
16歳、高校生になって初めて迎えた夏休み。
一歩 踏み込んで、これまでにない体験を。それも何か、達成感のある冒険を。
時刻表を手にした博美は、しばし考えた後に力強く頷いた。
「ここはやっぱり、京都行こう」
奈良橋流古武術家元の一人娘・博美は、ボーイッシュな彼女らしくスポーティな小さなバッグだけを手荷物に、冒険を始めた。
質実剛健な博美は、お金の無駄遣いをしない。
1日5回乗り放題の切符を利用して、京都への往復を目指す。
「東京から大垣までは1日1往復のみの、夜行快速列車が出るんだ。あれに乗らない手はないよな」
博美の言う夜行は、東京を出発し、名古屋を経由して、大垣（岐阜県）へ至る。
博美はそれを、ちゃんと知っていたのだ。
「鉄板だな。着席整理券があるから、途中駅からの利用でも座れる筈だし」
博美は、そう付け加えると勝気に微笑んだ。
途中で大人の迷子の案内をするハプニングにも見舞われたが、博美は寝子島から木天蓼を経由して、東京駅まで辿り着いた。
「ふう、ちょっと時間なくて焦ったけど、結果オーライだぜ」
停車していた白い夜行列車に乗り込んだ博美は、スタスタと通路を歩いて、座席番号に視線を走らせる。
「あったぜ、でも……あれ？」
確保しておいた自分の席には、還暦ほどのふくよかな男性が、ふうふう言いながら座っていた。
「あの、ここ俺の席なんだけど……」
「ああ、申し訳ない」
男性は慌てて立ち上がると、博美に行く先を尋ねた。
「大垣までだけど、どうして？」
「それは良かった。私も大垣までなんだ。もし良かったら、私の窓際の席と交換してもらえないかな？ どうも腹の調子が悪くて、この分だと夜中に何度も席を立ちそうなんだ」
博美の席は、本当は通路側で男性の席の丁度隣だった。
「そう言う事なら、勿論構わないよ」
「助かるよ、あまり何度も人前を往復してトイレに行くのも、迷惑だろうし。我慢しなきゃならないかと、思ってたんだ」
「いや、気にしないでいいよ。俺もホントは窓際の方が、良かったんだ」
何度も礼を繰り返す男性に、気さくな笑顔を向けると、博美は急遽変更になった窓際の席に着く。
華奢な体にはスペースが余りがちなシートに、ゆったりと腰掛ける。
待つ事しばし、夜行列車が東京を出た。
予定では、7時少し前に大垣に着く筈だ。今のうちに、出来るだけ睡眠を取っておこう。
今のところは、順調。
車窓に目を向ければ、鏡のように車内を反射する窓硝子が、大きな口を開けて すっかり寝入った隣の男性を映し出していた。
（腹痛は治まったのかな？ それなら良かったぜ）
肩の力を抜くと、博美も いつしか小さな寝息をたてていた。
景色が白む頃、博美は目を覚ました。
大きく伸びをしていると、隣の男性も目を擦っていた。
「おはよう、おじさん。良く眠れたかい？」
「やあ、おはよう。寝たらすっかり、調子が戻ったよ」
「そりゃあ、良かったぜ」
ニカっと笑うと、男性も照れくさそうに頭をかいた。
駅に着くと、男性は博美のために、パンとコーヒーを購入した。
「そんなの悪いよ」
「坊やのお陰で、随分気が楽になったよ。気をつけて行くんだよ？」
「え、ちょっと」
呆然とする博美とほの暖かい紙袋を残して、男性は早足で去っていった。
手元に視線を落とすと、博美は一つ溜息をついた。
「親切にされるのは嬉しいけどさ……俺は、坊やじゃないぜ？」
目的地の京都には、10時前には着いていた。
「うん、いい感じだ」
京都駅八条口から出ると意気揚々と、博美は東寺まで1.5km程を歩いて踏破した。
近鉄もあるのだが、結局は駅から歩くし、一駅くらいなら午前中の涼しいうちに歩いてしまえないかな？ と何事も挑戦である。
懐は寂しくても、溢れる若さがある。実際、早足で15分程で到着した。
しっかりお参りをして、京都土産を購入したら、とんぼ返りして帰りの電車へ。
「セーフ！ 流石に京都は暑いぜ、でも予定通りだな」
お茶を流し込むと、名残を惜しむように古都の風景を目に焼き付けた。
勿論、京都の駅弁を味わう事も忘れない。
節約した分でする、ちょっぴりの贅沢が食事をより美味しくする。京都の名物が、少しずつ品数豊かに揃えられたお弁当をお腹に納めて、大垣からまたのんびり列車の旅だ。
日付が変わる前に木天蓼まで到着し、そこから寝子電の最終電車に飛び乗る。
そうして見える、廃墟のような猫鳴館。
「皆、ただいま！」
京都土産を掲げて、博美は明るく声を上げた。
忙しいけど、行けるな。
腕組みをして、うんうんと頷きながら、博美は時刻表を閉じた。実際に行くことは難しいかもしれないけど、予行演習は楽しい。
「良かったぜ」
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年04月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年04月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年04月28日 11時00分
