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【赤い耳のウサギさん】
「なんのこれしき!」
と、気合いを入れてみたものの、
寝子島図書館
へと向かう
伊予 祐
の足取りはおぼつかなかった。
いつものはつらつとしたフットワークの軽さが感じられない。
気持ちでは負けたくないと思っていても、明らかに身体が重く、だるかった。
呼吸も不規則で、熱を帯び、唇は乾いている。
夕日に照らされた顔が赤いが、どこまでが夕日のせいなのかはわからない。
体調が思わしくないのははっきりしていたが、仕事をないがしろにするわけにはいかない。
上司から託された本を抱えて、閉館時間も間近な図書館へとやって来た。
「まあ、祐さん。いらっしゃいませ!」
ふっと心の軽くなるような声に出迎えられて、祐は背中をしゃきっと伸ばした。
図書館には、
雪代 伊織
がいる。そう考えると、なんだか勇気がわいてくる。
祐は荒い息をつきながら、真っ赤な顔を伊織に向けた。
「ハッハハ、ハァ……、ヤッホゥ……ッホゴホッ、ファー……い、伊織、さ……」
さわやかな笑顔で挨拶をしたつもりが、声は裏返り、目の焦点も合っていない。
「え……。あの、祐さん、少し失礼しますわね……?」
わざとらしい笑顔のままでふらふらしている祐の額に、伊織はおでこをくっつけた。
「大変。とても熱いですわよ」
目を丸くする伊織に、祐はうっとりとして頬を寄せ、鼻先をひくひくさせた。
「あの、祐さん……、大丈夫でしょうか?」
「ん? んん!? わっ、ごめん! 近い、ごめんなっ!」
「いえ、きっとお疲れなのですわね。熱があるようですし、今タクシーを……、ああ、どうしましょう」
すぐに祐を送り返そうと考えて、けれど帰ったところで、看病してくれる人がいないのではないかと思い直した伊織は、祐の腕をとり、控え室へと案内した。
「どうか、ここで少しお休みになってくださいませ」
「いいのか? ありがとうな」
「少しだけお待ちくださいね」
そう言って一度席を外した伊織が控え室に戻ってきたとき、手にはコンビニの袋がさげられていた。
「お待たせいたしました。消化の良いものを用意しますから、ゆっくりなさってくださいな」
張り切って、給湯室のコンロでおかゆを作ろうとした伊織は、すぐに手を止め、レシピ本のページをめくった。
「えぇと……、おかゆの作り方……と、リンゴのウサギさんと……」
料理下手なのをこっそり気にしている伊織は、ぶつぶつとつぶやきながら、小鍋に卵を割り入れた。
「ああっ」
案の定、卵の殻が入ってしまう。
「どうしましょう、どうしましょう……。あらっ、卵を入れるのはまだ後だと書いてありますわ」
卵はいったん諦めて、レトルトのご飯をおかゆにしようと、水と一緒に火にかけた。
慌ただしい様子に気づいた祐が、手伝おうかと声をかける。
「いいえ。祐さんはお休みにならなくては。ここは私にお任せください」
祐の申し出を断った伊織は、気合いを入れ直して包丁を手に取った。
「さて、ご飯を温めている間に、リンゴの皮をむくことにいたしましょう。……きゃっ」
気持ちが鍋からリンゴに向いたとたんに、鍋から白い泡が吹きこぼれ、焦ったひょうしに手からリンゴが転がり落ちた。
「あ、あぁ……、大変だわ、えぇと、火が強いのかしら」
「……伊織さん、大丈夫?」
危なっかしい手つきを見かねて、祐が足元に転がるリンゴを拾い上げた。
「だ、大丈夫ですのよ……、たぶん……」
おろおろとする伊織を励ますように、祐は微笑みかけた。
「一緒にやろう。そうしたら、早いからな」
「……そうですわね、お願いいたしますわ。うぅ……」
首をすくめる伊織だったが、祐は彼女が不慣れな様子ながらも、懸命に自分のために動いてくれるのが嬉しくてならない。
「よーし、リンゴをむくんだろ? 俺の包丁さばき、よく見とけよ」
伊織の手からそっと包丁を奪って、祐はリンゴをさくさくと切っていった。
耳の長いウサギ、短いウサギ、顔のついているウサギなど、次々とカットしていく祐の手元を見つめて、伊織は感嘆の声をもらした。
「祐さん、飾り切りがお上手ですのね!」
「だろ?」
「あとは、おかゆに卵を入れて……、あっ」
再び卵を割り入れようとした伊織だったが、またしても殻が入ってしまう。
「平気だ。入った殻は、取ればいいだけだからな」
「そ、そうですわよね」
「よし、ほら。完成だ」
さりげなく伊織を手伝い、どうにかおかゆも形になった。
「私、お役にたてなくて……」
恐縮する伊織だったが、祐の目には、彼女が神々しくも輝いて見えていた。
「料理くらい、いつでも俺が教え……ッグ、ゴホッ、ゴホゴホ……ッ」
気が抜けたのか、ふたたび立ちくらみをおこした祐を、伊織は慌てて椅子に座らせた。
「祐さん、無理はなさらないで」
伊織に労られて、祐は天にも昇る心地だ。
目を潤ませて微笑む彼に、伊織はスプーンですくったおかゆを食べさせた。
「ふーふーって、しますわね。はい、お口をあけて、あーん……」
ゆるみきった顔で、祐はぱくりと頬ばった。
「優しい味がするな」
かいがいしく世話を焼かれて、祐はしみじみと幸せをかみしめていた。
食事を終えて、寄り添う伊織の肩にもたれかかり、祐は少しの間目を閉じた。
「子どもの頃、具合が悪いと、いつも看護師さんが私の手を握ってくださったんです」
そうささやいて、伊織は祐の手を取った。
以前触れたときのこと
を思い出して、気恥ずかしさに少しだけ伊織の顔が赤くなる。
「こうしてひとの温もりを感じると、安心するんですよね」
「本当だ」
静かな伊織の声を聞き、もしも同居したらこんなふうに心地の良い時間が続くのだろうかと、祐は夢想した。
「お休みなさい、祐さん……」
浅い眠りに落ちながら、祐は夢見た。
目を閉じる前も、目覚めたあとも、彼女がともにいてくれる生活を。
とても優しい夢の中で、寄り添う彼女の温もりを感じていた。
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あとがき
担当マスター:
瀬野 とうこ
ファンレターはマスターページから!
寝子島の夏風邪もようをお届けいたしました。
具合の悪そうな方々が、早く元気になりますように。
看病された方も、お一人で乗り切った方も、
なにげない喜びに気づかれた方が多かったように思います。
具合が悪いと、普段とは違うものが見えるなんてこともありますよね。
なんにせよ、元気が一番。
風邪をうつされてしまった方は、お大事に。
ご参加ありがとうございました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
瀬野 とうこ
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年05月05日
参加申し込みの期限
2014年05月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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