人生模擬演習遊戯『一生ゲーム』｜リアクション

人生模擬演習遊戯『一生ゲーム』

●１４年目

１月
【新日本史ドラマ】
　NNKが送る日本史ドラマ『江戸の華』が始まった。
　出演：城山水樹・・・、篠崎るるか
　衣装デザイン：桜月

２月
【出産】
　皐月は第一子、長男を無事に産むことができた。
　名前は夫の母が決めてしまった。

４月
【新級進学】
『女の子から』
　嘉島和穂は今年の春から中学生。
　シワ1つない制服を着こみ、和穂は玄関から第一歩を踏み出した。
　なんだか急にお姉さんになった気がする。
　……早くお姉さんの恋をしたいな。
　新しいクラスの顔ぶれを楽しみにしながら、通学路を行く。

５月
【GW】
『新生活』
　茨城県の片田舎に越してきた恵御納家。
　中学入学と同時の引っ越しだったため、夏朝が学校に馴染めないということもなく、穏やかな日々を過ごしていた。
　ほどなくしてGWがやってきて、もっとこの土地を知ろうと気軽な旅行に出かけることになったが、その矢先の事だった。恵御納夏朝の母親の妊娠が発覚する。
　おめでたいことだし、無理はしないでおこう。
　夏朝も母も父の意見に異論はなかった。

　ただ――歳を重ねるとともにこれがゲームであると認識し始めていた夏朝は不思議に思う。
　おかしいな、自分には弟なんていないはずなのに。と。

【球技大会】
『新人教師』
　見事本年度から寝子島高校の体育教師に採用された戌井創は準備だなんだで大忙し。

８月
【演奏会】
『共演』

　ウィーンの某有名コンサートホールでピアノの霧生深雪とヴァイオリンの篠崎響也の共演コンサートが開かれることになった。
　同窓生による演奏会は大好評。
　ちょっとした余興として、深雪と響也のピアノ連弾が披露されるなどパフォーマンス性も大きく評価されることとなった。

１１月
【結婚記念日】
『お祝い』
　篠崎響也は海外の演奏旅行から帰国するとすぐに、家路についた。
　年の半分近くは海外で過ごす響也にとって、家族とは久々の再会だ。
　玄関を開けるとすぐに、ドタバタ元気な足音が聞こえてくる。
「おかえりー」
「なしゃー」
　飛びついてくる双子の男の子、奏也と律歌を抱きしめて「ただいま」を告げる。
　返事も聞かずにあのね、あのねと話しだす子どもたちはたまらなく愛おしい。
「母さんのいうことはちゃんと聞いてたか？」
「あい！」
「あいあい！」
　元気いっぱいの返事をする我が子の頭をなでてから、その後ろに立つ妻を見据えた。
「ただいま、るるか」
「おかえり、響也」
　前に会った時よりも、また綺麗になったように思う。
　芸能界にいるせいか、年をとっても容色が衰えるどころかドンドン綺麗になっていく妻は――誇らしく思うと同時に、少しばかり危なっかしい。
　愛想を尽かされないように、頑張らないと。
　こっそりと微笑むと、るるかは不思議そうに首を傾げた。
「るるか、少し後ろを向いてくれるか？」
「……こう？」
　後ろを向いたるるかの足元に子どもたちが抱きつく。
　今からすることは内緒だよと合図をすると、「わかったー」と元気のいい返事が返ってきた。
「……俺と結婚してくれて、ありがとう」
「え、これって……！」
　結婚記念日のお祝いにペンダント贈る
　×　×　×
　結婚記念日のお祝いのクライマックスは家族だけの演奏会。
　昔、響也が小さい頃も家族で演奏会をしていた。
　あの時の家族は壊れてしまった。けれど、この家族は壊さない。
　音楽も大事だけど、それ以上に響也にとってこの家族は大切だ。
　奏也は響也と同じくヴァイオリン。律歌はピアノを好んで弾きたがる。
　まだまだつたない双子の演奏だったが、それでも前に聞いた時よりはずいぶんと上達していた。
　るるかのフルートの音色は耳に心地いい。彼女もまた腕を上げたようだった。

　家族で奏でる音楽は完璧な音楽とは程遠い。
　けれど響也共感覚でみる色彩は、とても暖かい色をしている。

１５年目に進みます。
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