プリントヘルin寝子島高校｜リアクション

プリントヘルin寝子島高校

承：事件は印刷室でおこっていた

　――印刷室。

　印刷室では渡辺弥栄がプリントに埋もれていた。どうにかして印刷機に近づこうとしたものの、紙の猛攻撃に対応できなかったらしい。因みに、そう言った状況に巻き込まれた者が他にもいた事を伝えておこう。

「きゃああっ？！」
　泉先生に頼まれて印刷室へ来た御巫時子は、印刷室のドアを開けた途端紙の津波に襲われていた。部活の宣伝に作ったチラシを印刷しようと、先生の許可を得て印刷室へと来た花風冴来と早川先生に頼まれて応援に駆けつけた八神修もまたこれには表情を険しくする。
　また、印刷の作業を手伝っていた伊藤佳奈と恵御納夏朝もまた突然の事にあたふたしてしまっていた。佳奈は印刷機を見て首を傾げる。
「先生に状況を話しに離れる前は、こんな感じじゃなかったんだけれども……」
「それにしても、これは一体どういう事なの？」
　少しつん、とした表情の冴来はそう言うと一人印刷機に近寄るも、プリントが邪魔で思うように進めない。それにむすっとなる彼女だったが佳奈も気持ちが分かる気がした。
「もしかして、神魂の所為なのか？」
1歩下がった時子の前に出た修は冷静に呟くも、崩れた部分からにょきっ、と出た手に思わず目を向けてしまう。しかも傍らにはまたたびメイトの箱がダイイングメッセージよろしく転がっているのを見つけ、修はその手が誰か判ってしまった。
「お、思ったより深刻……っ？！」
　そんな声が聞こえて振り返れば、寝癖頭が特徴的な真辺伸幸の姿が。廊下を漂うプリントを見つけた彼は不思議に思って印刷室へと引き帰してきたのだったが……。
「あぁ、いい所に。真辺、この状況について何か知っているか？」
「うーん、さっき横を通った時もすばばばばーって音がしていたんだよね。俺はてっきり高速印刷しているからだと思ったのよ～」
　修が問いかければ、伸幸はそのまま感じた事を答える。
「それじゃあ、ほんの少しの間に暴走するようになったって事なのかな？」
　夏朝の呟きに、佳奈達はそうかもしれない、と考えながらも印刷機を見つめる。
修と共にしおりのプリントを貰いに来た浮舟久雨と畑生言嗣もまたこの状況には思わず空いた口が塞がらなかった。
「酷いな、これは」
「ああ、全く、普段の備えが足りないからこうなるのだろうね」
　2人は顔を見合わせると頷きあう。時子と目が合った言嗣は突き出た手を見、静かに言った。
「諸君、先輩の救助を頼む。私達は先に調査へ向うとするよ」
「気をつけてくださいね……」
そう言うと言嗣が奥にある方（仮称Ａ）へ、久雨が手前側の方（仮称Ｂ）へと向う。しかし、紙の量が半端ではなく、なかなか前に進めない。冴来、夏朝、佳奈はとりあえずどんなプリントが出されているか、見てみる事にした。
その間に修と時子、伸幸はどうにかプリントを掻き分けて気絶した弥栄の救助を開始した。

（しかし……）
　久雨は次々に出されるプリントを見渡し、表情を険しくする。見た所、臨海学校・林間学校のしおりと思わしき内容の物以外にも色々印刷されているようで、出される内容もバラバラだった。
「これは……下着の広告か？」
　言嗣が思わず手に取ったプリントを見、首を傾げる。どうしてコレが印刷されているのか、理由がわからない。因みに乗っていたのは黒いレースのブラジャーとショーツの組み合わせで大胆にもガーターベルト付き。アクセントとして蝶の止め具が愛らしくも大人の女性を演出している。
「特にこういった物には興味はないが……」
　といいつつも脳裏に浮んだのは久雨がそれを見に着けた艶やかな姿。しかも恥じらい気味に頬を赤く染めて言嗣を見つめているという物だった。

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