プリントヘルin寝子島高校｜リアクション

プリントヘルin寝子島高校

結：急げ！　しおり作り！！

　――２年５組の教室

　素早くプリントを集めた生徒達のお陰で、事態の収拾を摸索しつつも準備を整えることが出来た。しかし、問題はココからである。ページは混ざったままだったのでその分別をしなくてはならなかった。
　因みに、しおり以外のプリントは裏が白かった事もあり、今後職員室や事務室でメモ用紙として再利用されることが決定した。

「皆、大丈夫かい？」
　早川珪に心配されながらも、印刷室から戻ってきたメンバーは汗を拭ったり息を整えたりしてから頷いた。珪はちらりと時計を見る。
「印刷機の不調なら仕方が無いけれど、今からやるなら少しスピードを上げないと夕方になるかもしれないね。でも……」
　そう言いながら、珪は集まったメンバーの中から図書委員である綾辻綾花、桜崎巴、恵御納夏朝、美崎岬を見て笑顔で言った。
「図書委員である美崎さん達のアドバイスに従って、製作していきましょう。最後に表紙をつけますから」
　そう言った傍から泉竜次と旅鴉月詠が教室に現れる。持ってきたのは勿論、完成した臨海学校と林間学校の表紙・裏表紙である。何気に裏表紙には荒ぶる印刷機と事態の収拾に右往左往する面々の姿（？）も書かれていて思わず笑いそうになる。
「中々いい感じだろう？　印刷機の不調で大変だったとは思うがこれも思い出になるさ」
「という訳で組み込んでみた訳だが、なかなか楽しい作品になったよ」
　竜次と月詠が並んで実にいい眼差しで言う物だから周りは思わず唸ってしまった。事実、月詠たち表紙製作班の力作といえた。

「ったく、漸くってトコだね。皆、気合い入れてぱっぱと作るよ！」
　巴が号令をかければ全員で声を上げ、少し疲れ気味な八神修やちょっとうとうとしていた真辺伸幸も頑張って背筋を伸ばす。そして御剣刀もまた、たくさんのプリントを見て少しだけ溜め息を付く。
「こうしてフツウは守られた訳だが……」
「次は製本作業が待っていたのよ～……」
「急ピッチで行ったほうがいいだろう」
　と、修が呟けばすれば賛成の声が上がり、机に並んで製本作業を開始した。図書委員の４人は最後に受け取ってしおりに表紙をつけ、ホッチキスとテープで仕上げる。流石に慣れたものであっという間に１冊、また１冊としおりは完成していった。
　綾花は手際よく丁寧にテープを張る。コツを前もって珪から聞いていたからだろうか。少しでも先生の役に立ちたい、と奮闘する。ホッチキスでしおりを纏める夏朝とも連携し、作業効率が更に上がっていたが……夏朝の脳裏には大胆な下着を見に纏い、血塗れのナイフを手に笑う大人の自分が蘇る。
（嘘だ。あんなの……あんなの、認めたくないっ！！）
　夏朝はそんなイメージを払拭しようと、作業に没頭した。

「まだまだあるわよ。気合い入れて作りましょう？」
「え、ええ……」
　岬がにこにこ笑って言い、花風冴来と常闇月はテキパキと手を動かす。元々部活のチラシを印刷に来た冴来としては早く目的を果たしたかったが、そうも行かないようだ。
「それにしても、沢山ありますね」
　月はぽつりと呟きながら林間学校の内容を見る。何故だろう、少しだけ楽しそうだと感じる自分が居る事に、月は少しだけ口元が綻んだ。
「愛溢れる行動で林間・臨海学校は守られた……なんて素敵ですぅ」
　印刷室内で、美形男子同士の恋愛的なイメージが沸いてしまった椿美咲紀はうっとりした表情で呟く。それを聞いて傍らの畑生言嗣は自分と恋人のことかと思う。
「まぁ、君の可愛い姿が見れて嬉しかったよ」
「……だから大勢の前で抱きしめるのは恥ずかしい！」
　浮舟久雨に突っ込まれつつも、言嗣はふふ、と不敵な笑顔を向ける。そんな2人に美咲紀はどこか物足りなそうな眼差しを向けてしまうのだった。

このページにイラストを設定する