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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
星ヶ丘教会のお茶会
「わたくしの理想の男性？それは主です」
うっとりと目を細めてゼシカが語る。
「あんなに愛にあふれた素晴らしい殿方、世界中どこを探しても他におりませんもの」
それは確かにそうだよなぁ、と神野は納得する。なんといっても主だ。
「主に尽くす事がわたくしの歓び、わたくしの生き甲斐」
熱を帯びた声はまるで恋する乙女そのものだ。
「シスター・ゼシカは、恋に興味はないのかな？」
聖職に着く者に投げる質問ではないが、そんなゼシカの様子に思わず神野が聞いてみる。
「それはわたくしも女ですもの。結婚や子供を産み育てる世俗的な幸福に憧れもございます」
ですが……、とロザリオを大事そうに手に包むとゼシカは幸せそうに微笑んだ。
「この身は主の教えを広める気高い使命を帯びておりますもの」
「シスター・ゼシカの一番は、主ってことか」
「もちろんですわ。マキナさんも主の教えに興味がありまして？」
熱を帯びた視線で見つめられ、神野が頬を掻く。
「えっと……」
非常に答えにくい。言いよどんでいると、アイスティーで喉を潤した森がやってきた。
「あぁ、森くんも一緒に聖書の朗読などいかがですか？」
「……愛とはなんだと思いますか？」
（……えーっと？）
見事に話がかみ合っていない。
「愛と恋は異なるものだと思います」
「そうですわね、ああ、でも私、恋をまだ知りませんわ。でも主への想いが私にとっての恋なのかも知れませんわ」
「私にも恋愛経験がないので間違っているかもしれませんが、私にとって恋は、相手に自分の理想を投影し、それを求めることです。『恋愛とは熱病のようなもので、意志と関係なく生まれ、消える』というように、恋は一時的な感情の昂りだと思います」
森の持論を聞いて、ゼシカがおっとりと首をふる。
「でしたら、この想いは恋ではないのかしら。主への想いが一時的な感情の高ぶりだとはとても思えませんわ」
「……二人とも、急にどうしたの？」
大体の区分ならこれは所謂恋バナという奴だろう。だが、神野が知っているそれとは大分趣が違う。
色恋いわゆるエロスの話題というよりは無償の愛、アガペーについての話題と言ったほうがしっくりくる。
とりあえず脈絡がない。
「愛するとは大切にすることです。愛は本質的に何かを与えることだと思います。愛がなければ人は滅びるでしょう」
「主は私達すべてのものに愛を与えて下さいますわ」
「人に限らず、子は独りでは生きていけません」
「主の子羊である私達は独りでは生きていけません。主が私達を愛するように、私達も隣人を愛さなければ生きていけないのです」
「食べ物を与えたり、抱きしめたりと、誰かが子を育てています」
とどまる事をしらない恋バナ（暫定）に神野が思わずホールドアップ、と両手を挙げる。
「うん、とりあえず二人で盛り上がってるような形になってるけど、絶対君達お互いの話聞いてないよね？」
何かが明らかにおかしい。
そういえば、二人とも語りだす前にアイスティーを飲んでいたような……。
（もしかしなくても、神魂？）
神野の予想は、正しかった。
「植物には愛が解るんですよ八神ぶちょー！」
アイスティーを飲んだ椿がびしり、と八神に指を突きつける。
「また野菜作りが面白いのですよぉ。綺麗なお花が咲いてくれた時もとっても嬉しいですが、丹精込めて育てた野菜達が美味しく育ってくれるととっても嬉しいのですぅ。そそぐ愛が目に見えるのですよぉ、野菜やお花さん達には！」
（……あのアイスティーは、ローズヒップティーだったか）
椿の勢いに気圧されつつも、頭の片隅で現状を分析しているあたり、流石は八神である。
「毎日丁寧にお世話して、声をかけて、実った野菜を自ら収穫して食べる。自分が野菜に向けた愛情が体に入ってくるから、栄養という元気をいっぱいもらえるんですよぅ」
「なるほど、な。与えた愛がそのまま帰ってくる、という事か」
「違います！」
ばんっ、とテーブルを叩いて椿が憤慨する。
「野菜達は私が注いだ愛情以上のものを返してくれるんです！ だから絶対、私が手を抜いたり裏切ったりはしちゃいけないんですっ」
何らかの神魂の影響下にあることは明らかだ。
だが、うっすらと目に涙の膜を張るほど真剣に訴える、その言葉に嘘は無いのだろう。
そう思えたからこそ、八神は素直に非を認めた。
「すまない。軽率な発言だったな」
「解れば良いんです」
満足気に胸を張って椿が微笑む。先ほどまでの泣きそうな怒り顔はどこへやら、とても嬉しそうだ。
「それで、ぶちょーの可愛いお花さんにはちゃんと想いを伝えましたかぁ？」
ちゃんと愛を注がないとだめですよぉ、とのダメ押しまで頂いて、八神が思わずむせた。
うっとりと目を細めてゼシカが語る。
「あんなに愛にあふれた素晴らしい殿方、世界中どこを探しても他におりませんもの」
それは確かにそうだよなぁ、と神野は納得する。なんといっても主だ。
「主に尽くす事がわたくしの歓び、わたくしの生き甲斐」
熱を帯びた声はまるで恋する乙女そのものだ。
「シスター・ゼシカは、恋に興味はないのかな？」
聖職に着く者に投げる質問ではないが、そんなゼシカの様子に思わず神野が聞いてみる。
「それはわたくしも女ですもの。結婚や子供を産み育てる世俗的な幸福に憧れもございます」
ですが……、とロザリオを大事そうに手に包むとゼシカは幸せそうに微笑んだ。
「この身は主の教えを広める気高い使命を帯びておりますもの」
「シスター・ゼシカの一番は、主ってことか」
「もちろんですわ。マキナさんも主の教えに興味がありまして？」
熱を帯びた視線で見つめられ、神野が頬を掻く。
「えっと……」
非常に答えにくい。言いよどんでいると、アイスティーで喉を潤した森がやってきた。
「あぁ、森くんも一緒に聖書の朗読などいかがですか？」
「……愛とはなんだと思いますか？」
（……えーっと？）
見事に話がかみ合っていない。
「愛と恋は異なるものだと思います」
「そうですわね、ああ、でも私、恋をまだ知りませんわ。でも主への想いが私にとっての恋なのかも知れませんわ」
「私にも恋愛経験がないので間違っているかもしれませんが、私にとって恋は、相手に自分の理想を投影し、それを求めることです。『恋愛とは熱病のようなもので、意志と関係なく生まれ、消える』というように、恋は一時的な感情の昂りだと思います」
森の持論を聞いて、ゼシカがおっとりと首をふる。
「でしたら、この想いは恋ではないのかしら。主への想いが一時的な感情の高ぶりだとはとても思えませんわ」
「……二人とも、急にどうしたの？」
大体の区分ならこれは所謂恋バナという奴だろう。だが、神野が知っているそれとは大分趣が違う。
色恋いわゆるエロスの話題というよりは無償の愛、アガペーについての話題と言ったほうがしっくりくる。
とりあえず脈絡がない。
「愛するとは大切にすることです。愛は本質的に何かを与えることだと思います。愛がなければ人は滅びるでしょう」
「主は私達すべてのものに愛を与えて下さいますわ」
「人に限らず、子は独りでは生きていけません」
「主の子羊である私達は独りでは生きていけません。主が私達を愛するように、私達も隣人を愛さなければ生きていけないのです」
「食べ物を与えたり、抱きしめたりと、誰かが子を育てています」
とどまる事をしらない恋バナ（暫定）に神野が思わずホールドアップ、と両手を挙げる。
「うん、とりあえず二人で盛り上がってるような形になってるけど、絶対君達お互いの話聞いてないよね？」
何かが明らかにおかしい。
そういえば、二人とも語りだす前にアイスティーを飲んでいたような……。
（もしかしなくても、神魂？）
神野の予想は、正しかった。
「植物には愛が解るんですよ八神ぶちょー！」
アイスティーを飲んだ椿がびしり、と八神に指を突きつける。
「また野菜作りが面白いのですよぉ。綺麗なお花が咲いてくれた時もとっても嬉しいですが、丹精込めて育てた野菜達が美味しく育ってくれるととっても嬉しいのですぅ。そそぐ愛が目に見えるのですよぉ、野菜やお花さん達には！」
（……あのアイスティーは、ローズヒップティーだったか）
椿の勢いに気圧されつつも、頭の片隅で現状を分析しているあたり、流石は八神である。
「毎日丁寧にお世話して、声をかけて、実った野菜を自ら収穫して食べる。自分が野菜に向けた愛情が体に入ってくるから、栄養という元気をいっぱいもらえるんですよぅ」
「なるほど、な。与えた愛がそのまま帰ってくる、という事か」
「違います！」
ばんっ、とテーブルを叩いて椿が憤慨する。
「野菜達は私が注いだ愛情以上のものを返してくれるんです！ だから絶対、私が手を抜いたり裏切ったりはしちゃいけないんですっ」
何らかの神魂の影響下にあることは明らかだ。
だが、うっすらと目に涙の膜を張るほど真剣に訴える、その言葉に嘘は無いのだろう。
そう思えたからこそ、八神は素直に非を認めた。
「すまない。軽率な発言だったな」
「解れば良いんです」
満足気に胸を張って椿が微笑む。先ほどまでの泣きそうな怒り顔はどこへやら、とても嬉しそうだ。
「それで、ぶちょーの可愛いお花さんにはちゃんと想いを伝えましたかぁ？」
ちゃんと愛を注がないとだめですよぉ、とのダメ押しまで頂いて、八神が思わずむせた。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年03月21日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年03月28日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2014年03月28日 11時00分
