白いマスクの女性の真実｜リアクション

白いマスクの女性の真実

　旧市街の通りをキャミソール姿の晴海飛鳥が、たこ焼きを食べながら闊歩する。
「誰に話を聞こうかなー」
　最後の一個を口にした。唇に付いたソースをぺろりと舐めて容器は近くのゴミ箱へと投げ入れた。
「その前に」
　飛鳥はホットパンツに忍ばせたケータイでネットに情報を求めた。ねこったーを経由して都市伝説のサイトに流れ着く。
「見て正解だね」
　書かれた内容を読み込んでいると耳が近場の声を拾った。
「君達、ちょっといいかな」
　飛鳥に呼び止められた刀と円がこちらを向いた。
「俺達に何か用ですか？」
「口裂け女の話をしてたよね。もしかしてサイトの書き込みを見たのかな」
　飛鳥はケータイの画面を見せた。刀を押し退けて円が覗き込む。
「そう、これだよ。ぼくもこれを見て参加することにしたんだよね」
「早速だけど、何か情報を持ってないかな」
　その問いには刀が答えた。
「聞き込みでは参道商店街を中心に現れるらしい。ランニングシューズは黄色いとか。走っている姿は南が多いので、そちらに家があるのかな」
「それは新情報だ。白いワンピース、それに男性や対人恐怖症の可能性もあるらしいね」
「そこまでは知らなかった」
　感心した様子の刀に飛鳥はケータイを振りながら言った。
「サイトの書き込みを見たんだよ。新しい情報をありがとう」
　立ち去ろうとする飛鳥に円が慌てて声を掛ける。
「ぼく達と一緒に行かない？」
「たくさんいると現れてくれないような気がするから。僕は遠慮しておくよ」
「そっかー」
　円は残念そうな声を出し、遠ざかる飛鳥の背中を見送った。
「俺達も行くか」
「そうだねー」
　二人は横に並んで別の道を歩き出した。