授業風景～番外編・自習の場合～｜リアクション

授業風景～番外編・自習の場合～

「こんにちは、吉田先生」
　そのとき、寄居子を保健室に送った蓮が戻ってきました。
「森か。どうした」
　先生は武士に気づくことなく蓮のほうを見ました。
「鼻血を出した人を保健室に送ってきたところです」
「何やら騒がしいと思ったが、そういうことか」
「ご心配をおかけしました」
　蓮がクマ先生と話しているうちに、召喚された武士はあとかたもなく消えてしまいました。
「助かった……」
　刀は蓮と共に教室に戻ります。
　鷲尾先生に状況を説明した後お手洗いに立ち寄った雅人も戻ってきました。
「戻ったら気分転換に持ってきてた小説を読もうかな……あ、あれっ？！」
　教室に向かった雅人の目には、クマ先生と話している蓮、はいいとして、その後ろで武士が薄れて消えていく場面が映ったのでした。
「……寝ぼけてるのかなー？」
　もう一度お手洗いに戻って顔を洗ったほうがいいのかと迷う雅人でした。

　そのころ真央は時計を見て立ち上がっていました。
「おっともうこんな時間なのだ帰るのだ。おネコさままたねなのだ～」
　と手を振り、走り出します。
「時間を守る大事なのだ♪　大人の必須技能なのだ正しく生涯学習なのだ～♪」
　大急ぎで猫鳴館に戻って制服に着がえ、学校目指しまっしぐらです。
　一階、二階、三階……階段を駆け上がる真央のはるか下から、久保田先生が昇ってきていました。
「セーフなのだ！」
　
　キーンコーンカーンコーン。　
　授業終了の鐘が鳴りました。　

「……あ、あれ？　もう授業終了！？」
　雅人はほとんど小説を読めずに終わってしまいました。
「まあいいか、休み時間に読もうっと」
　蓮は、机の中にスケッチを見つけました。
　堂々と講義をする蓮の姿が描かれています。
「上手いものですね……ありがとうございます」
　そうつぶやくと描いたと思われる心当たりの人にそっと目礼しました。
「えっ？　な、なんだこれ？！」
　解理もまたスケッチを受け取っていました。
　ラフながら、理不尽だ！　と言わんばかりの顔を赤らめた表情が見事に描きだされていました。

　ガラガラッ。
　久保田先生が戻ってきました。
「みんな、ごめんね～。自習ちゃんとしててくれた？　大丈夫？」
　息を切らした先生に、修がこの上なく爽やかに答えました。
「ええ、特に問題は無く」
　皆も、無言で同意したのでした。
　
　

　

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