金曜日の体育館裏｜リアクション

金曜日の体育館裏

　風弥は、泡吹いて倒れてる面賀苦手助（めんがにがてのすけ）の様子を見ていた。
　呼吸を確認すると一安心し、改めてマタ工の不良どもを睨みつけた。
「とりあえず、コイツを殺ったのはどいつだィ？」
「おれっちだ」
　豚骨がニヤニヤしながら前へ出た。
「いいや、俺だ」
　醤油が風弥のさらしを見つめながら主張した。
「あんたたち……弱いヤツ倒した程度の手柄をとりあうんじゃないよ。ったく。まあいい……それじゃ、あんたたち２人ともだ！　いくよ！」
　風弥と豚骨醤油の戦いが始まった！
　チェーンをぶんぶんぶーーん！
「うごべっ。……チャアアアシュウ～」
　まずは醤油が一撃でぶっ飛んでいった。

　ひゅうーーーードシャアン。

　落ちたのは、プレハブの部室棟の屋根だった。
　そして風弥は豚骨にもチェーンをぶんぶーーーん！
「バアアリカタアアアア～」

　ひゅうーーーードシャアン。

　豚骨も同じく部室棟までぶっ飛んでいった。
「うううう……」
　豚骨醤油は屋根から転がり落ちると、なんとか立ち上がった。
　根性だけが売りの連中だ。足を引きずりながらも再び体育館裏に向かった。

　しかし、豚骨は飛ばされてるうちに大切なエロ本『でも☆あっはん！』を落としていたことには気づかなかった……！

　体育館裏では、ザ・ストレイトが様子を見ていた。
　さっきから黙って後ろに立っている巨漢男、殺幌味噌こそがリーダーに違いない。
　ゆっくりと味噌の前にやってきた。
「お前がリーダーだな」
　リーダーを倒せば、チーム全体が弱体化するだろう。そう考えた。ヒーローらしい直球の選択だ。

「ふっははは。聞くがいい。わしの歩いたあとには…………わしの……………………わしの名はガボゴゲッ」

　どこからともなくとんできたチェーンが顔面に直撃していた。
　味噌はザ・ストレイトを睨みつけた。
「ぐぬぬ……やったのは貴様か、仮面男！」
「俺ではないが、それで闘志が湧くのであればそういうことでいい。お前の全力をねじ伏せてやろう。そのとき、暴力の本当の意味がわかるだろう」
「はっ！　おかげで思い出したぞ！　聞くがいい。わしの歩いたあとには――」

　ボッゴーッ！！！

　ザ・ストレイトの正義の拳が、味噌の顔面に正面からヒット！
　味噌はズズーンと大きな音を立てて倒れた。
　辺り一面に砂ぼこりが舞い、やがて視界が開けてくると……
　味噌が立っていた。
「ふっははは。やるじゃねえか、仮面男」
「俺の拳を喰らってまだ立ち上がるとは……タフだな」
「喰らえ！　どりゃあー！　濃厚味噌コーンバターアタック！！」
　巨漢からの攻撃とは思えない、凄まじいスピードでのコーン（拳）の連打だ。
　しかし！
「ふん。ふん……ふん。ふん」
　ザ・ストレイトは軽やかな身のこなしとフットワーク、さらに時折混ざるフェイントで次々とかわしていく。
　そして、起死回生の一発を叩き込む。
「ストレイト・スマッシャー！！！」
　ズズズズーン。
　再び、味噌が倒れた。先程より大きな音と地響きをさせて。

　その頃、部室棟の廊下をモップでキュッキュキュッキュ掃除している生徒がいた。
　服部剛、先生に頼まれて掃除を手伝っていたのだった。
　少し前に大きな音がして窓ガラスが割れたので、慌てて現場に見に来ていた。
　剛は、驚愕した。

「こ、こ、こ……これは！………………『でも☆あっはん！』やんけ！！！！！！　……持ち帰り決定やな」

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