恥じらい２００％！｜リアクション

恥じらい２００％！

☆恥じらいの後

　キーンコーンカーンコーン。
　下校時刻のチャイムが鳴った。
　小萩は誰にも見られないようにびくびくしながらこそこそ帰ろうとしていた。
（大丈夫、カバンにさえ入れておけばこの恥ずかしいまんがが人目に触れることは……）
　だが、そこへ一陣の風が吹き、小萩のスカートがめくれそうになった。
「きゃああっ！？」
　慌ててスカートを押えた小萩は階段の下へカバンを落としてしまった！
「『ko-ha-gy』がああっ！」
　スカートは無事だったが、カバンの掛け金が甘かったのか、落ちたショックで自作まんががカバンから飛び出してしまっている。

「春一番ならぬ夏一番というところか」
　ちょうど階段の下を通りかかった八神修が呟いた。
（今回は新聞記事に出来ないネタが増えたな。おそらく神魂の影響だろうか。再発しなければいいんだが）
　思索にふけっていた修だが、落ちたカバンとまんがに気づく。
「ん、なんだこれは」
「見ないでくださいいっ！　回収します！」
　小萩が、真っ赤になって階段を駆け下りてきた。
「ああ、見ないが……もしかして、君も理由もなく恥ずかしくなっているのか？」
「えっ？　えーと……」
　そのとき。修に答えようとした小萩の中で、何かが転回した。
　落ちていたまんがを隠そうとするのをやめ、開く。
「ぬー。小萩はいったい何を悩んでいたのでしょうか。
『ko-ha-gy』はこんなにおもしろくて感動できるステキなまんがなのに」
「神魂の影響が切れたのか」
「見ないで、なんて言ってごめんなさい。目が覚めました。ぜひ読んでください！　返すのはいつでも構いません」
　さっきとは別人のようにまんがを押し付けてくる小萩。
「い、いや俺は別に」
　たじろぐ修に『ko-ha-gy』１話を押し付けると、小萩は浮き浮きとカバンを拾う。
「帰ったら続きを描きましょう。ko-ha-gyが運命の恋人に街角で偶然出会っちゃうエピソードです」
（ふふふ、これは大スペクタクルの予感がします！）
　もしかすると、続きの『ko-ha-gy』では恥じらうko-ha-gyという珍しいシーンが見られるかもしれない。

　神魂を孕んだ夏一番の風が、クマ先生の『恥じらいが足りない！』という思いをきっかけに、
　みんなに恥じらいの心を増幅させた。
　そして、夏一番が過ぎるのと同時に、恥ずかしくなる神魂もどこかにいってしまったのかもしれない。
　そんなことを思いながら、『ko-ha-gy』１話をカバンにしまう修だった。

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