恥じらい２００％！｜リアクション

恥じらい２００％！

☆舐めてるの見ちゃらめぇ！

（眠気覚ましと気分転換に飴を１本食べようかな）
　休み時間の教室で、花厳望春は棒つきキャンディを取りだしました。
「……ってあれ？　……人前で飴を舐めるのか？」
（な、なんだかとっても恥ずかしい気持になってきた）
　望春は飴が大好きで、今までもずっと食べていたのだが。
（うわわ、俺今まで全然気にしてなかったけど、人前で飴舐めるなんて恥ずかしいこと、なんで平気でやってたわけ！？）
　手に持つのは恥ずかしくない、でも口を開けて飴をしゃぶってるところを人に見られるなんて……
（うわー、急に顔が熱くなってきた！　すごく恥ずかしい……）
　諦めてしまおうか、と思ったけれど。
（でも飴は欲しいんだよな……うう、恥ずかしいけど、でも、飴は欲しい）
　こうして悩んでる合間にも休み時間が終わってしまう。
（でも飴しゃぶる音が人に聞こえちゃったりしたら、もう！……どんな顔をして舐めてればいいんだ）
　望春は飴を手に持ったまま葛藤した。
　
「皆一体どうしてしまったんだ！？」
　次の授業のため教室を移動してきた八神修は周囲を見回し首をひねっていた。
　教室や廊下のそこかしこで、皆が恥ずかしがったり悩んだりしている。
　目の前で真剣に悩んでいる様子の望春に声をかける。
「どうかしたのか？」
「な、なんでもない……」
　と答えたものの。
（恥ずかしすぎて自分で食べる勇気がでないから、いっそ誰かに頼んで無理やりにでも口にいれてもらおうか……）
　一瞬よぎった考えを、すぐさま否定する。
「っていやいや、それこそ恥ずかしすぎるだろ！！」
「ほんとにどうしたんだ？」
　さらに修に聞かれ、とうとう望春は正直に説明した。
「じ、実は……人前で飴を舐めるのが、急に恥ずかしくなってしまって。今まではこんなじゃなかったのに」
　元々、人の視線にめっぽう弱いたちではあったのだが。
「いつからだ？」
「ついさっき、休み時間に飴を取りだしたときからだよ」
「なるほど。俺の教室でも似たような話を聞いた。廊下でも友人が恥ずかしがっていたし」
「え、そうなの……？」
　そう言われて周りを見れば、確かになんだか皆の顔が赤く、落ち着かないようだ。
「このテの異変は一過性だから暫くの辛抱だよ」
　と修が言う。
「えーと、キミは平気なの？」
「俺には何の異常も無い。羞恥心は人並にある筈なのに何故だ」
　またろっこんだろう、とは思いつつ納得いかない修である。
「なんとか飴を口の中にいれることができても、なくなるまでずっと恥ずかしさに耐えなきゃいけないんだよな……しかも棒つき」
　なおも悩む望春。
「人が見てないところで食べたらどうだ？」
　修は言うが、教室の中に隠れられるところは少ない。
「陰に隠れてこっそり食べるしかないのか……」
　望春は教室の隅でカーテンに隠れて飴を口に入れた。
「俺の事は誰も気にしないでくれ、っていうか見ないで！　恥ずかしいから！！」
「わかった、俺は聞き込みして、原因を付きとめよう。新聞部の部長だからな」
（原因が分からないと俺が落ち着けないし）
　原因がわかれば、その根本をなくす事で再発を防ぎたい。
　水着姿を恥じらう女性が原因なら、褒めて羞恥心を解消できるかな、などと思いながら修は望春の傍を離れていった。

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