Riches have wings｜リアクション

Riches have wings

　新しい愛情表現の模索を始めた甘親子を目にして、毒島柘榴はそっと飴玉をポケットにしまいこんだ。
　今日だけは、頭を存分に撫でさせてやろう。そう思っていたが、もう必要ないものだ。
　もういらないなら、それに越したことはねぇ。
　甘親子の笑顔を、毒島イヴの笑顔を見て、柘榴の胸が満たされていった。

「続き、しようか」
「え？」
「買い物、していただろう？」
　胸のつかえが取れて八神修が思い出したのは花風ももの名残惜しそうな顔。
　だからそれを指摘しただけのつもりだ。
　蕾が綻んでいくように、修はずっと心待ちにしていたのかもしれない。
　もものその笑顔を。
　可愛らしいな、と思う。

　荒井景貴はそっと祥子の側に立つ。
「喜好君は初めて会った時から、自分が子供である事を気にしている所がありました」
「そう、でしたか……」
　なにか言おうと思ってけれど、慰めを求めていないのだと気がついて、ただ静かに祥子の気持ちの整理がつくのを待つ。
「ありがとうございます」
「いえ、僕はなにも……」
　喜好が子供らしくはしゃいでいる。
　その姿を見ていると、胸にひっかかっていたものがほどけていくような心地だった。

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