Riches have wings｜リアクション

Riches have wings

「喜好君……！」
「ももおねーちゃん」
　自転車から花風ももが飛び降りて、喜好に駆け寄る。
「ひ、さ……だな」
　八神修がなんとか声を絞り出した。
　イヴの腕の中で喜好がくすりと笑ったように見えた。
　愛しむようにももが微笑んで、そして笑顔がゆっくりと陰る。
「お母さんもきっと心配してるの。お家に帰ろう？」
　それはみゆきも主張したことだった。あのときはお金を捕まえてからだ、と喜好は言った。
「……お金、ちゃんと捕まえたから」
「喜好君……」
　それは同意したという意味だろう。
　ももはほっと息をついた。
「喜好！」
　ちょうどいいところで、お迎えがきたようだ。