Riches have wings｜リアクション

Riches have wings

　まず敵の位置を把握した。
　ちょうど二メートル……三メートルくらいのところだろうか。屋根より高いかどうかくらいの辺りを飛んでいた。
　次に周囲の利用できそうなものを確認する。
　塀は一メートル四十、くらいだろうか。喜好よりは高く、彼女自身よりは低かった。
　となれば、高さとしては申し分ない。
　確認を終えて、ここでようやく喜好に声をかける。
「喜好！　イヴが来たから百人力、ネ♪」
　毒島イヴは思い切り喜好に飛びつき、抱きしめた。
　そして喜好に作戦を伝える。
「わかった。ぼく、頑張るよ」
　喜好は澄んだ表情をしていた。
　イヴは頷く。
　そして走った。
（必ず、取るネ）
　金は壁から離れたところにいる。
　けれど問題はなかった。
　壁を駆け上がり、頂点を思い切り蹴ってお金までジャンプ。
　まさかそんなことをすると思っていなかったのだろう。
　お金は難なく叩き落とされ、それを喜好がキャッチした。
「壁を土台に蹴って飛んでキャッチくらいは朝飯前ネ」
　夕飯はもう済ましたけれど。
　着地してイヴがぺろっと舌を出すと、喜好は「さすが！」と飛んで喜んだ。
　そこに、自転車がやってくる。