this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
アイドル・ノンタイトル
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
…
11
つぎへ >>
chapter.8 今、私がいる場所
miao入り口でそんな小さな騒動が起こっていた頃、館内では。
誘導組が照明などを使って、見つけた羊たちを巧みに上階へと誘い込むことに成功していた。
二階、食料品売り場。
ひとつ下の一階にいた羊たちは玲衣と小淋の活躍によりエレベーターで五階へと送られたが、この階にもまだ発見されていない羊が潜んでいた。
その羊を見つけ、捕獲すべくこの食料品売り場に集ったのは、
佐藤 英二
、
弘明寺 能美子
、そして
檜扇 舞華
の三名である。
「考えていることは、同じようですね」
各々の手には、購入したてと思われる食べ物の入った袋が。
彼らは、羊をエサでおびき寄せ、食いついている間に捕獲しようという作戦を立てていた。
「まったく、たまにはショッピングでも思って来たのに、こんなことになるなんてね」
「いいじゃないですか、生活の中にこういったネタがあっても」
舞華が、年上らしい態度で能美子をなだめる。彼女も、その言葉を受けてかどうか、どうにか自分の中で整理がついたようだった。
「あー分かった、捕まえてやればいいんでしょ、もう!」
口ではやや乱暴にそう言ったものの、言葉ほどに彼女の表情は怒ってはいないようだ。
ここ最近、学校で友達と一緒にはしゃいだりすることも増えたためか、ドタバタ劇にさほど抵抗がない自分がいるな、と思った。
——思っていた、はずだった。
彼女は、まだ自分の本当の気持ちを理解しきれていなかった。それが明らかになるのは、もう少し先である。
「で、エサはどこにしかければいいんだろう?」
英二が疑問を口にした。それに答えたのは、舞華だ。
「明るい場所を好むそうですから、フロアのメイン照明を落としてもらって、階段部分などだけ明かりを残してそこで待ち伏せ……という形がいいとは思うのですが」
「が?」
能美子が続きを促すと、舞華は残念そうに告げた。
「どうも、館内のメイン照明を操作するのは厳しいみたいです。先ほどインフォメーションセンターの方や警備の方に尋ねたのですが」
「うーん……となると、エサをばらまいて、食いつくのを待つしかないのかな」
「でも、仮に食いついたとして私たちで捕まえられるの?」
言われて、英二はハッとする。自分以外は女性で、唯一の男性である自分もお世辞にも力持ちとは言えない。
「……ロープとかがあれば、拘束自体は出来るかも」
「それが得策かと。捕まえた後イベントスペ—スまで連れて行く時のリードにもなりますし」
舞華が英二の意見に賛成する。が、問題はここにいる三人ともが、ロープを持っていないことだった。
「雑貨店とかになら、あるかなあ……」
英二が自信なさげに呟く。ダメ元で行くしかないか。そう彼らが思った時だった。
彼らは、奇跡を見た。
「ふう……まったく、警備員の人には伝わらなかったか……」
そうぼやきながら、目の前のトイレから自称緊縛系アイドル、千鶴が出てきたのだ。注意を受けたため縄をまとってはいないが、その手にはついさっきまで身につけていた縄がある。
三人は、一斉に叫んだ。
「縄だーっ!!!」
「え?」
千鶴が、何事かと振り返った。
事情を聞いた千鶴は、躊躇うことなく縄を渡す。それを英二がお辞儀をしながら、受け取った。ぬくもりがあるような気がしたが、気のせいだろうと判断した。
その後千鶴は「どうして縄を持っていたのか」的なことを聞かれたが、説明するとまた騒ぎになるかもと思い「夢のため」と誤魔化しておいた。あながち、嘘ではない。
「じゃあ、ぼくはこれで」
言って、千鶴は三人の前から去った。羊捕獲を手伝っても良かったが、これ以上miaoにいるとまた警備の人に何か言われそうな気がして億劫だったのだ。
「さて、ロープも無事手に入ったし、エサをまこう!」
英二が、舞華が、能美子が。
各々持ち寄った羊のエサを、フロアに仕掛ける。よりにおいが嗅ぎ取れそうだという理由で、設置場所は食料品売り場の近くだ。
設置が完了して十数分ほど経った頃だろうか。
「!!」
柱の陰で見張っていた英二が、妙にふわふわしたシルエットに気づいた。言うまでもない、羊だ。
「来ましたね」
舞華が、逆側の柱から確認する。後ろには能美子がいて、彼女たちの手にはロープが握られていた。もう片方の先端は英二が握っており、円をつくったロープ中心部にエサが置かれている。羊が食いつけば、両側から引っ張り羊を縛り上げる算段だ。
羊は最初こそ警戒する素振りを見せたものの、じきにエサに食いつき、むしゃむしゃと食べ始めた。
英二と舞華、能美子は視線を合わせた。それが合図だった。
「今だっ!」
ロープが、最初宙に浮いたかと思えばすぐにその輪っか部分が羊にかかり、引っ張ることでその輪は完全に羊を捕らえた。
「ん、んべぇええええええ〜」
悲鳴にも似た声を発する羊を、舞華が優しく撫でて落ち着かせる。
「怖い思いをさせてすみません、でも、もう少しの辛抱ですから」
そのまま、三人は羊を引っ張りエレベーターまで連れ出すと、五階へと送った。
「あーあ、結構激しく動いたから、靴汚れちゃった」
上へ移動するエレベーターを見送りつつ、能美子はパンプスについた羊の毛を取りながら言った。が、考えてみれば別にそこまで高い靴でもなかったな、と思い直し、そこまで気にしないことにした。
代わりに、彼女の耳に飛び込んできた会話の内容に、能美子は意識を持っていかれた。
「これで、路上ライブが無事開催されるといいんだけど……残りの羊、外にまで逃げてないかなあ」
ぽつりと漏らした、英二の一言。それに、舞華が言葉を返した。
「あら、あなたもライブがお目当てだったんですね。私もここに来たのは、実はライブを撮るためで」
言って、荷物の中からカメラを取りだしてみせる舞華。どうやらこのふたりは羊騒動を聞きつけて、ということではなくゆずかたちのライブがそもそもの目的だったようだ。
「ライブ、って……今日なにかあるの?」
ふたりの会話が気になった能美子は、思わず尋ねた。すると英二が、近くになった大きな窓に近づいて答えた。
「知り合い経由で知ったんだけど、今日の18時から、大沢ゆずかってアイドルの路上ライブがあるんだ。こないだ高校に来て、メンバーを募集してたんだけど無事集まったらしくって」
ほら、あそこだよ。そう言って英二が指さした先には、噴水広場。数人の女性が集まっているのが見えた。遠目で断言はできないが、きっとアレがゆずかたちだろう。
「この前ネコ動の生放送で宣伝したところ、いくらか反応もありまして。今日はまた、新しい宣伝動画を撮れたらと」
「あっ、あの動画僕も見た! そうなんだ、アレってあなたがつくっていたんですね」
英二と舞華のトークが盛り上がっていく中、能美子はただじっと窓から広場にいるゆずかたちを見下ろしていた。
「……大沢、ゆずか」
小さく呟く。その声のトーンは、先ほど英二や舞華らと一緒に羊の捕り物をしていた時のテンションとはだいぶ違う。
いや、声だけではない。彼女の表情自体も、冷たいものへと変わっていた。
能美子の視界に、ふっと自分の足が映る。安っぽいパンプスが、羊の毛で汚れている。
「私、化粧も服も気にせずなんでこんなことしてたのよ……」
小さく呟いたその声は、英二や舞華には聞こえていないようだった。
バカみたい。
能美子は、もう一度、より小さく呟いた。そして心の中で、ゆずかに怒りをぶつける。
——なんで、こんな小さい田舎の町でライブなんてやってんのよ。
いや、怒りをぶつけているのはゆずかにではなかった。
——なんで、こんな田舎で羊なんて追っかけてんのよ。
怒りを覚えているのは、自分自身にだ。
うかつにも、この小さな町で、ちょっとだけおかしな学校で、ちょっとだけおかしな友達と楽しい日々を送っていた自分を能美子は急に呪いたくなった。
「あんたが、まざまざと見せてくるから……!」
窓ガラスに添えた手に、力がこもる。
見たくはなかった。アイドルなんて。自分が遠い昔にいた世界なんて。そこで過ごしていた日常と、今いる日常のギャップなんて。
「……ごめん、私帰る」
能美子は、英二と舞華にぽつりとそう告げて踵を返した。
「え? あ、こっちこそごめん、なんか勝手に盛り上がっちゃって……」
「ううん、ちょっと用事があるだけだから。気にしないで」
それだけを言い残し、能美子は足早に出入り口へと向かっていった。
「用事なんて……こんな、こんな町に」
そこから先は口には出来ず、能美子はひとり、噴水広場に目をくれることもなく帰路へと着いた。
◇
ゆずかたちに他とはやや違う目線を持っていたのは、能美子だけではなかった。
風鳥院 鷲羽
は、ゆずかたちが結成した新たなアイドルグループのライブを見に来たのだが、それは「勉強したい」という思いからだった。
というのも、彼自身もまた「因幡眠兎」という性別不詳のアイドルとして活動しており、言うなればゆずかたちとは同業だからだ。
マネージャーに「色々勉強が必要」と言われてやってきたのが、今日のイベントというわけだ。
「うーん、アイドルさんの見学、のはずだったんですけど……」
ところが、今鷲羽がいるのは噴水広場ではなくmiaoのモール内。彼もまた、羊騒動に巻き込まれたひとりだった。
「ええと、明るいところが好き、なんでしたっけ」
ねこったーを見て、鷲羽は羊のいる場所を予想する。
人々が困っているからというのもあるが、このまま羊が外へ行ってライブどころじゃなくなる、というのは鷲羽の避けたいところであった。
思案の末、彼が行き着いた場所は三階の花屋だった。
ところが、羊は見えないし気配もない。当てが外れてしまった、と落ち込む鷲羽。
「花屋にいないとなると、あとはどこでしょう」
羊を探し求め、miao内をうろつく鷲羽。
ちなみに万が一アイドルとしての自分を知っている人がいた時のため、眼鏡と帽子で簡易的な変装済みである。
それが幸いしたのかは分からないが、今のところmiaoを歩いていても声はかかっていなかった。
だが直後、彼は思ってもいない人物に声をかけられる。
「あら、鷲羽?」
「っ!?」
それは、よく知っている声だった。鷲羽がそろりと振り向くと、彼の姉である
風鳥院 鶫
が立っていた。
「鶫、姉様!?」
「こんなところで会うなんて、奇遇ね」
「ひ、人違いではっ」
慌てて厳しい誤魔化し方をする鷲羽だったが、鶫は笑ってそれを否定した。
「私が鷲羽のことを間違えるわけないじゃないの」
変装しているといっても、そこはやはり姉弟。後ろ姿を見ただけで、彼女は鷲羽だとすぐに気づいたのだ。
鷲羽もそのことを察し、誤魔化して逃げることは出来ないと知る。
ただ、鷲羽の動揺は増すばかりである。なにせ、今の自分はアイドルモード。もっと分かりやすく言うと、女装中だ。
そこに、タイミング悪くマネージャーが合流してしまった。
「あっ、マネージャー……!」
「……まねーじゃー?」
「しまっ……えっと、その、これは……!」
女装。口を滑らせたマネージャー発言。これでは、言い逃れが出来ない。鷲羽は、思い切って話をそらす作戦に出た。
「そ、そういえば鶫姉様! 今日はどうしてこちらへ?」
「今日は体の調子が良かったので、少し遠くまでお散歩をしようと思って」
鷲羽の問いに答えると、鶫は「そういえば」と話を切り出した。
「さっき、広場の方にいた方から聞いたのだけど、これからアイドルの方のらいぶ? があるみたいね」
鷲羽は思わず肩をびくっと震わせる。ニアミスどころではない、自分が、紛れもなくアイドルなのだ。そしてそのライブを、見に行こうとしていたのだ。
彼のそんな動揺に気づいてか気づかずか、鶫は話の続きを語った。
「そうそう。アイドルといえば、最近鷲羽にとってもよく似た子を見かけたのよ」
鷲羽の視線が、思いっきり泳いだ。というかこれはもう、既に把握されているのでは?
そんなことすら思える。親にだけは言ってあるが、兄や姉には活動のことは一言も言っていないのに。
「……あら? そういえばそちらの方は?」
と、鶫がマネージャーの女性を見つつ、頭にハテナマークを浮かべる。
そらしていた話が、元に戻ってしまった。
「……」
鷲羽は、これ以上は誤魔化しきれないと悟った。彼は決意を固めると、涙をうっすら浮かべながらも、不器用に言葉を紡いでいった。
「じ、実は僕……アイドルしてて……男なのにこんな格好して。最初は恥ずかしかったけど、でも、今はちょっと楽しくて、もっと頑張りたいって思ってて……あの、あのっ……」
最後の方は、言葉にすらならなかった。それが、彼の精一杯だった。
鶫は黙って話を聞いていたが、やがてゆっくりと口を開いた。
「まあ、そうだったのね……」
静かな語り口。それは決して怒りでも、侮蔑でもなかった。証拠に、彼女は一歩前に出ると、鷲羽の頭を優しく撫でてみせた。
「アイドルという仕事を私はよく知らないけれど、鷲羽の選ぶことだもの、間違いはないはずよ」
「ね、姉様……っ」
「それに、私はいつでも鷲羽の味方よ。お兄様が知ったらきっと驚かれるかもしれないけれど、きっとお兄様も応援してくださると思う」
言葉のひとつひとつが優しくて、鷲羽はただ涙を堪え続けた。そんな彼に、もう一言、鶫が告げる。
「風鳥院の名に恥じないように、精一杯がんばりなさいな」
鷲羽は、思わず鶫の、姉の胸に飛び込んだ。その時感じた温もりはきっと、探していた羊なんかよりもずっと温かいものだっただろう。
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
…
11
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
アイドル・ノンタイトル
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
萩栄一
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
コメディ
動物・自然
定員
30人
参加キャラクター数
30人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年02月04日
参加申し込みの期限
2014年02月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年02月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!