襲撃！　ねこっこ☆もんすたー｜リアクション

襲撃！　ねこっこ☆もんすたー

　各々のパートナーと合流する人々の中、日暮ねむるはマイペースに寝子高の一室に陣取っていた。
　彼の腕からまっすぐに伸びた棒はスナイパーライフル型のエアガンだった。
　２センチほど開けた窓から銃口を出し、自身はカーテンの後ろに隠れておく。
　そうしてからスコープを覗き込み、
「スコープの感度よし」
　視界がクリアであることを確認する。
　それから獲物を求め、角度を変えた。
　人気のない校庭。
　さえずる小鳥。
　ぴちぴちと跳ねている直立の魚。
　それを追いかけている琴村嬢。
「あれが、アキカタナだね」
　さっそく見つけた。
　クマで縁取られたねむるの瞳が鈍く光る。
　距離は１００ｍくらいだろうか。
「急所は、」
　この距離からボタンが押せるか分からないが一発撃ってみようとねむるは思った。
「あそこだね」
　そうして注意深くアキカタナの体を観察すると、右かかとあたりに赤い点が見えた。
　あれがボタンだ。ねむるは確信する。
　揺れ、揺られ、揺れて、揺れる。
　吸う、吐く、吐く、吸う。
　アキカタナの動きのリズムがねむるの呼吸と重なった瞬間、ねむるは引き金を引いた。発射。
　アキカタナが悲鳴を上げたときには、ねむるは既に窓からは姿を消している。
　壁に背を預けているのだ。そのまま手鏡をかざし外の状況を確認した。
「お、きょろきょろしてるね。やっぱ効かないのかな？」
　アキカタナは驚いて、そして嬢の仕業だと勘違いしたらしい。
　狙撃は、まぁ失敗。
「まあ……それはそれで面白いけど」
　でもねむるとしては成功。
　ほふく前進で窓の下を進み、狙撃ポイントを変更。
　先ほどと同じように細心の注意を払い、アキカタナ目掛けて空気弾を叩き付ける。
　そこまでする必要があるのかどうかはともかく、全力この状態を満喫していた。
「ははは。こりゃ楽しっ！？」
　完全にナチュラルハイテンション。
　そこに、のんびりとしたねむるの姿はなかった。
　彼を止めることができるものはいるのか？
　それはアキカタナ。ではなかったが、確かにいた。
　ガタリと教室の戸が開く。
　ねむるはハッとして振り返った。
「……った～！　たく誰だ！　こんなことした奴は！」
　そこにいたのは、頭の先から肩までを真っ白に染めた、

「オニックマ、先生……」
「お前だな？」
　ねむるが仕掛けておいた黒板消しトラップにかかったのだった。
　けれど、どう考えても
（まずいね）
　という状況だった。

　添木牡丹のゲーム機から飛び出したねこモンたちがこうべを垂れ、彼女の目の前にひざまずいた。
　牡丹は目を丸くして、それから細めて、
「まさか、本当に……！」
　歓喜の涙を流し、その中の一体に抱き付く。