ある雨上がりの戯れ｜リアクション

ある雨上がりの戯れ

　ここは、シーサイドタウン。
　橘千歳と小山内海は一緒に買い物に来ていた。海は筆談をするために、使い慣れたスケッチブックを持っている。
　並んでウインドーショッピングをしながら色々な話をする。学校のことや、他愛ない日常のこと。それから……御剣刀のこと。
　話題が刀のことになるのは仕方ない。友達だが共通の話題の少ない千歳と海では、自然と刀のことになってしまうのだ。

（そうよ、それだけのこと）

　よく分からない気持ちを忘れるように、千歳は自分に言い聞かせる。

「刀君って、どうしてあんな無茶ばかりするのかしら？」
『ほんと、そうだよね。かたなくん、いつもくびをつっこんではむちゃして……』

　スケッチブックにそう書くも、海は心配だという表情をしている。

「小山内さんも、ほんとよく巻き込まれてるわよね」
『わたし？　わたしはべつに、かたなくんにまきこまれてるわけじゃ……』
「時には少し強く言っても罰は当たらないと思うわ」
『そう、なのかな？』

　千歳はきっぱりと言うが、海は遠慮するように言う。

「小山内さんは優しいから……やっぱり刀君のこと気になってるよね？」
『き、きになるのかって、それは……うん、わたしはかたなくんのことすき、だよ』

　きっぱりと書かれた言葉に、千歳は心の内でたじろぐ。

（そうきっぱり言われるとは……わ、私は……）

『そういうちとせちゃんだって、かたなくんのこときになってるんじゃないの？』

　今度は海が千歳に聞いた。千歳は深呼吸をしてから、言葉を口にする。

「うん、……悔しいけど、刀君のことは気になる……かな」

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