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【期末テスト】赤点？ 満点？？ 夏目前、四日間の死線
●３日目：数学その２
――ののこの動きがいよいよ止まった。
（……どっからかお経の声が……）
長考していた浅沼 柳司も落ちかけている。
（っと、あかん寝るとこやった……）と目を擦り、次の瞬間にはうううぅ、と頭が机にひっつく始末だ。
（……なんで……学校で……お経が……？）
詠坂 紫蓮のこの疑問は、生徒大多数の疑問であったに違いない。まったくいったい何故なのだろう！？
（危ない……ちゃんと夜寝て来てるのに……流石にこの陽気でお経は……まずい……）
徹夜しない派の紫蓮ですらうつらうつらし始めてきたのに、徹夜組にとってはなおのことだ。
（気持ちよすぎて……お昼寝……したく……なる……感じね……）
紫蓮の思考がとぎれとぎれになる。本人は意識していなかったが、ポニーテールがヤジロベーのようにふらふらと揺れ始めていた。
（試験終わったら昼寝よ……そのためにも……がん……ばら……）
――紫蓮、撃沈。
バリトンヴォイスの七人のイケボ僧侶が、歌いながら普堂 しおりを平方根の彼方へ誘っていた。彼らは、置き換えても同じ数字になるよ～、と歌っている。なんのことだかわからないが、なにやら魅惑的な世界に連れて行ってくれそうだ……。
（……あっ、夢か～。一緒に冒険の旅に出かけるとこだったよ）
しおりは慌てて瞼を瞬かせた。この眠気、なんとかしなければならない。
（まず深呼吸……）
すぅ、はぁ、すぅ、すぅ、すうぅ……、……。
（！）
しおりはまたはっとした。いけない、リラックスしすぎて寝息になっていた。
手を握ったり開いたりしたらどうだろうとやってみるが、今度は手を動かすのに夢中になってしまい問題が解けない。本末転倒である。
（こうなったら……最後の手段は神頼み！）
しおりは目を閉じて、なむなむと神様に祈りはじめた。
ああ、どうして目を閉じてしまったのだろう！
（アホ毛……腹毛もふもふ……羽毛布団……）
……神頼み？ いや、違う……これは……たぶん寝ぼけているというやつだ。ですよね、しおりさん？
（ダイジョブです起きてます～……）
野球中継をつけっぱなしで横になってるお父さんみたいな思考を最後に、しおりも撃沈した。
撃沈する女子たちに対して、男子たちは頑張っている。
（眠いのよー。テストじゃなかったら寝たいところなのよー。でも頑張るって決めたのよー）
いつも眠たそうな真辺 伸幸だが、今日ばかりは寝てしまうわけにはいかない。
（つ、つねるか。手の甲でもつねるか！ まだ半分も埋まってないんだぞ！）
貞広 護堂も必死にその大きな手の甲をぎゅうとつねる。
（なんで、今日に限って……こんな、眠気を誘うような……！）
志波 拓郎もシャープペンを腕に差したり、つねってみたり、口唇を噛み締めたり。
しかし、そんな痛みも完全に眠気を追い払うには至らない。
（……帰ったら、ます仮眠しよう……ソウシヨウ……）
拓郎は指でほっぺたを何か所も摘まむ。最後に目よ覚めろと、目薬を差す時みたいに親指と人差し指で目を大きく見開かせた。
同じとき、伸幸も。
（夢の中で起きるみたいにほっぺつねって……）
ぎゅうっとほっぺをつねる。伸幸のほっぺたは、ひっぱられるとにゅーっと伸びて、まるでももんがが飛膜を広げたみたいになる。
そして護堂も。
無精髭の両側を摘まむように、両手で力強くぽっぺたを下にひっぱり……、はっと周りをみた。
「……」
「……」
「……」
それぞれおかしな顔になった拓郎と伸幸と護堂が顔を見合わせた。
「「「ぷっ」」」
三人が思わず吹き出したのは同時だった。
クマ先生がぎろり、とこちらを睨みつける。三人はそれに気づくとパッとテストに視線を戻した。
戻したものの、箸が転がっても笑うお年頃、肩がくすくす揺れるのを止められるわけじゃない。
（我ながら間抜け面だったよな。笑ってたもんな。でも真辺もよく顔伸びるやつだな）
と護堂が思えば伸幸も、
（あはは、ありがとうなのよー。お蔭で眠気が飛んだのよー）
と護堂と拓郎の変顔に、込み上げる笑いを噛み殺しながら感謝している。
一方拓郎はといえば、うっかりおかしな表情を周りに見せてしまったことに赤面していた。
（……やってしまった……。でも、目は、覚めた。……結果オーライ、なのか……？）
そうだ。そう思うことにしよう。
とにもかくにも、いまは目の前の問題を解くしかないのだ。
（そういえば、気づけば理数が好きになってたんだよな……）
拓郎は思考を切り替えた。
（組み立てて行ったり、化学反応起したり、飛距離計算とか面白かったから、なんだよな……あと公式一個覚えたら鷹揚でいろいろ解けるところとか）
そんなふうに思い返しているうちに、先程の恥ずかしさもどこへやら。落ち着きを取り戻した拓郎は残りの問題をカリカリと解き始める。
（よし、ガンバロウ）
変顔男子三人がこのあと最後まで頑張れたのは言うまでもない。
――ののこの動きがいよいよ止まった。
（……どっからかお経の声が……）
長考していた浅沼 柳司も落ちかけている。
（っと、あかん寝るとこやった……）と目を擦り、次の瞬間にはうううぅ、と頭が机にひっつく始末だ。
（……なんで……学校で……お経が……？）
詠坂 紫蓮のこの疑問は、生徒大多数の疑問であったに違いない。まったくいったい何故なのだろう！？
（危ない……ちゃんと夜寝て来てるのに……流石にこの陽気でお経は……まずい……）
徹夜しない派の紫蓮ですらうつらうつらし始めてきたのに、徹夜組にとってはなおのことだ。
（気持ちよすぎて……お昼寝……したく……なる……感じね……）
紫蓮の思考がとぎれとぎれになる。本人は意識していなかったが、ポニーテールがヤジロベーのようにふらふらと揺れ始めていた。
（試験終わったら昼寝よ……そのためにも……がん……ばら……）
――紫蓮、撃沈。
バリトンヴォイスの七人のイケボ僧侶が、歌いながら普堂 しおりを平方根の彼方へ誘っていた。彼らは、置き換えても同じ数字になるよ～、と歌っている。なんのことだかわからないが、なにやら魅惑的な世界に連れて行ってくれそうだ……。
（……あっ、夢か～。一緒に冒険の旅に出かけるとこだったよ）
しおりは慌てて瞼を瞬かせた。この眠気、なんとかしなければならない。
（まず深呼吸……）
すぅ、はぁ、すぅ、すぅ、すうぅ……、……。
（！）
しおりはまたはっとした。いけない、リラックスしすぎて寝息になっていた。
手を握ったり開いたりしたらどうだろうとやってみるが、今度は手を動かすのに夢中になってしまい問題が解けない。本末転倒である。
（こうなったら……最後の手段は神頼み！）
しおりは目を閉じて、なむなむと神様に祈りはじめた。
ああ、どうして目を閉じてしまったのだろう！
（アホ毛……腹毛もふもふ……羽毛布団……）
……神頼み？ いや、違う……これは……たぶん寝ぼけているというやつだ。ですよね、しおりさん？
（ダイジョブです起きてます～……）
野球中継をつけっぱなしで横になってるお父さんみたいな思考を最後に、しおりも撃沈した。
撃沈する女子たちに対して、男子たちは頑張っている。
（眠いのよー。テストじゃなかったら寝たいところなのよー。でも頑張るって決めたのよー）
いつも眠たそうな真辺 伸幸だが、今日ばかりは寝てしまうわけにはいかない。
（つ、つねるか。手の甲でもつねるか！ まだ半分も埋まってないんだぞ！）
貞広 護堂も必死にその大きな手の甲をぎゅうとつねる。
（なんで、今日に限って……こんな、眠気を誘うような……！）
志波 拓郎もシャープペンを腕に差したり、つねってみたり、口唇を噛み締めたり。
しかし、そんな痛みも完全に眠気を追い払うには至らない。
（……帰ったら、ます仮眠しよう……ソウシヨウ……）
拓郎は指でほっぺたを何か所も摘まむ。最後に目よ覚めろと、目薬を差す時みたいに親指と人差し指で目を大きく見開かせた。
同じとき、伸幸も。
（夢の中で起きるみたいにほっぺつねって……）
ぎゅうっとほっぺをつねる。伸幸のほっぺたは、ひっぱられるとにゅーっと伸びて、まるでももんがが飛膜を広げたみたいになる。
そして護堂も。
無精髭の両側を摘まむように、両手で力強くぽっぺたを下にひっぱり……、はっと周りをみた。
「……」
「……」
「……」
それぞれおかしな顔になった拓郎と伸幸と護堂が顔を見合わせた。
「「「ぷっ」」」
三人が思わず吹き出したのは同時だった。
クマ先生がぎろり、とこちらを睨みつける。三人はそれに気づくとパッとテストに視線を戻した。
戻したものの、箸が転がっても笑うお年頃、肩がくすくす揺れるのを止められるわけじゃない。
（我ながら間抜け面だったよな。笑ってたもんな。でも真辺もよく顔伸びるやつだな）
と護堂が思えば伸幸も、
（あはは、ありがとうなのよー。お蔭で眠気が飛んだのよー）
と護堂と拓郎の変顔に、込み上げる笑いを噛み殺しながら感謝している。
一方拓郎はといえば、うっかりおかしな表情を周りに見せてしまったことに赤面していた。
（……やってしまった……。でも、目は、覚めた。……結果オーライ、なのか……？）
そうだ。そう思うことにしよう。
とにもかくにも、いまは目の前の問題を解くしかないのだ。
（そういえば、気づけば理数が好きになってたんだよな……）
拓郎は思考を切り替えた。
（組み立てて行ったり、化学反応起したり、飛距離計算とか面白かったから、なんだよな……あと公式一個覚えたら鷹揚でいろいろ解けるところとか）
そんなふうに思い返しているうちに、先程の恥ずかしさもどこへやら。落ち着きを取り戻した拓郎は残りの問題をカリカリと解き始める。
（よし、ガンバロウ）
変顔男子三人がこのあと最後まで頑張れたのは言うまでもない。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年02月27日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年03月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年03月06日 11時00分
