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サムライJAPAN、さっそく泣きを入れる。
「拙者やはりそういうところへは……」
本日最年長のはずの
駒田
が、もっとも尻込みしていた。先日あれだけ「傾国の美女!」とか言いまくってハッスル──この表現を使うほかないくらいの奇矯な盛り上がり方──していたというのに。
「あの晩、『行きたい、っていうか連れてけ!』って力強く言ったのは駒田さんじゃないですか」
星山 真遠
はため息をついてみせるが、実は予想できていた展開なので、そんなに落胆はしていない。
駒田は昔からこういうところがある。
もともと優等生で通っていたようだ。今日だってカチッとしたヘアスタイルにスクウェアの眼鏡で、ネクタイまでしっかり締めている。名の知れた専門商社にいるだけではなく、けっこうなポストにもついているらしい。けれどもSF研OBの集まりではいつも、「拙者は~でござる」と謎の時代劇口調で話し「チェストォー!」などと奇声を上げることしばしばだ。要するに、彼にとってはSF研は押さえつけた自我を解放する場所であり、ときに自分でも制御しきれないキャラになりきるひとときなのだろう。だから、素の部分が顔を出すとこういう弱腰になるのだ。
なお、駒田の在学期間は真遠とは重ならない。けれども「愉快なOB」としてしばしば集まりに顔を出していたので、けっこう長年の付き合いになる。駒田に限らない。火を噴く大場先輩など、SF研は卒業後も在学生とかかわりをもつOBは少なくない。というか、多い。
さてその駒田は、まだうじうじと言っている。
「だって拙者……キャバクラなんて行ったことないゆえ……女人(にょにん)とちゃんと話せるか自信ない……」
などと恥ずかしそうにするサムライ、いや、サムライになりきれないオジサンである。
「どういうものを想像しているか知りませんが、いたって健全ですよ。『プロムナード』は」
イタリア料理店での乱痴気騒ぎ(というほど暴れたわけではないが、少なくとも当分行くことはできそうもない)から数日後、マタ大SF研OBたちはふたたび集結した。もちろん、あの夜駒田が「こうなったら次の土曜、星山の言う『プロムナード』とやらへ進撃でござる! いざ尋常に!」などと言って聞かなかったからである。
「どーもですー」
汗を拭きつつ
ニョン太郎
(本名は『
時任 太郎
(ときとう・たろう)』)がやってきた。彼も役所づとめのお堅い公務員だが、着ているTシャツは職業を連想させないことはなはだしい。胸に大きく『PARTY ANIMAL』の英字があって、その下には獰猛な虎のイラストがドーンと描かれているのだ。
「そのTシャツ……」
思わず真遠が尋ねると、
「あ、これ、母が買ってきたんで」
との返答である。悪気は微塵もなさそうだった。
まあニョン太郎が気に入ってるのならいいか──。
「駒田さんがおっしゃってましたが、僕もキャバクラ、初めてなんですよね。だからちょっと、緊張してます」しきりと汗を拭いているのはそのせいだろうか。「作法とか、星山さんを見て覚えなきゃ」
「俺だって別にキャバクラ慣れしてるわけじゃないぞ。『プロムナード』はクライアントだから行くだけで、他はよくわからん」
もうすぐ集合時刻になる。でも、待ち合わせ場所の駅前広場にいるのは真遠と駒田、ニョン太郎だけだ。あの夜は真遠と同期の西村もいたのだが、なんだかんだ理由を付けて今日は来ず、畑山と鈴木もそれぞれ「実家に呼び出されて」「風邪気味で」と欠席の連絡を入れてきていた。大先輩の大場は「行けたら行くよ」と言っていたので姿を見せないのは予想通りだ。あの人が、「行けたら行く」と言ったときに来たためしはない。彼なりの断り方なのだろうか。そこに、
「遅れまして……」
たたた、と危なっかしい足取りで駆け込んできたのは、背の高い女性だった。猫背気味なのがかえって目立つ。黒縁の四角い眼鏡、肩までの黒髪はやや重めのボブ、華奢な肩の一方で、意外にしっかりとした首筋がのぞいている。全体的にゆったりしたシャツにカーゴパンツという、体のラインを拾わない格好だ。
「峰村(みねむら)さん、久しぶり!」
真遠が片手を挙げた。
「ご無沙汰しています」
峰村 あかり
は鞄を胸に抱くようにして、深く頭を下げたのである。
「峰村殿、否、シキ殿とお呼びしたほうがよいかな? 活躍、聞いておるぞ。まことに重畳にござる」
うむうむとうなずきながら駒田が言う。
「いえ、そんな、私なんてまだまだ駆けだしですから……峰村で十分です」
「何を申すやら、謙遜は無用でござるよ」
「そうだよー」ニョン太郎も嬉しそうだ。「アニメ化までされてるんだから、『先生』じゃないか~」
あかりは真遠の三つ下の後輩にあたる。もっとも、いまは峰村あかりという名前より、ライトノベル作家『
九重(ここのえ) シキ
』として世に知られているだろう。なにせ近作『アステリズムは百合の夢を見る』は、この春にアニメ化までされたのだから。SF研の出世頭の一人だと真遠は思う。
「それにしても、峰村さんよく来てくれたね。忙しいんじゃないの?」
グループチャットでSF研OBたちに呼びかけたところ、意外にもあかりから参加回答があったのだ。
「いえ……締切、一段落したので」
消え入りそうな声で返す。人見知りが服を着て歩いているような人だ、と真遠はいつも思う。
「SF研OBの集まり、その、先日は行けなかったので」あかりはうつむきがちに、それでも少し早口になった。「今日はあの、とても楽しみにしてましたっ!」
特に変わったことは言っていないはずなのに、あかりは紅潮していた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年08月30日
参加申し込みの期限
2026年09月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年09月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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