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[TOS]レメディ
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●英二によれば
僕なんかが適任かどうかはさておき、とりあえず僕から、ヴァロラのあとのことを説明しておきたい。
ひどいものだった。なんとか新世界機構の軍を追い返したものの、あれほど徹底的に破壊されてしまっては、もうヴァロラ峡谷のコロニーに住むことはできなかった。
生き延びたわずかな生存者たちは、住める場所を探して難民になってしまった。こういう人たちを出さないために僕らの活動があるはずなのに……慚愧にたえない。
やはり梓 楓さんは、僕らと行動をともにする気はないようだ。「住める場所を見つける」と言い残して去ってしまった。ほとんどの避難者も楓さんに従った。
楓さん、なんとなく困ったような顔をしていたけれど、きっとやりとげてくれると思う。
それに彼女は、以前、袂を分かったときみたいに「連絡は取らない」なんて言わなかった。「また会えたら」って含みのある言い方をしてたんだ。これを聞いて、僕とターヤはこっそりと笑みをかわした。
エリオン・ルマーレ君と叢雲あおいさんのことも話しておこう。
"教授”こと新島 義弘さんが亡くなったこともあり、ふたりとも僕らと合流することになった。ヴァロラの戦いでともに勢力が大幅減した結果なのだから、そう喜ばしいことじゃない。でも、叢雲さんとターヤは仲良しだし、ルマーレ君は僕と同い年なのにすごく落ち着きがあって、頼りにしている。
僕らは移動して、新しい拠点に腰を落ち着けた。
……あまり居心地のいい場所じゃないね。廃工場の一角を仕切って、雨漏りをふさいだだけの空間だったから。
それでも、雨風がしのげるだけでずいぶんと楽だ。前の拠点を失ったときからこっち、ずっと野宿だったのと比べると、地面以外で寝られるというだけで十分だよ。水は近くに湧いていたし、パンケーキか何かの工場だったようで、穀物貯蔵庫も見つけた。いずれ嗅ぎつけられると思うけど、いまのところは大事ないと思う。
それから、ラムさんのこと。
ラムさんは、やっと元気が出てきたみたいだ。七枷陣さんが行方不明──おそらく亡くなって──以来、ずっと沈んでいたんだけど、ヴァロラの戦いのあとは何かふっきれたというか、たまに冗談を言えるレベルまで回復してきた。あの戦いでΦ(ファイ)っていう〈蘭付き〉と戦って、このままじゃだめだと思ったらしい。
ちょっと前には「オメーらいい加減付き合ったらよくね?」と僕の背を叩いて言ったくらいだ。
「だ、誰と誰のことっ!?」
不意に声をかけられて僕は硬直してしまった。ターヤが近くにいない状況だったから、ほっとしたけど。
反対に、ミオさんは元気がないんだ。
元気がない、というのが正確かどうかわからない。いつも通り動いているし、指示も的確だし、戦えばやっぱり誰より強い。だけど何かがこれまでとちがっていたんだ。
たとえば食事のとき。ミオさんはガーナックだからほとんど食事は必要ないはずなんだけど、僕らと一緒に座って、少しだけ口をつけるのがこれまでの常だった。でもそのミオさんが、最近は食事どきに顔を見せない。
それに夜だ。見張りを交代するとき、ミオさんの顔色がひどく悪い気がする。もともとの色白なのが、薄明かりのもとでは普段以上に白く見えるんだ。
いっそのことミオさんに直接、体調のこと訊くべきなんだろうか。でも僕には訊けなかった。
答えが返ってきたとき、それを受け止めきれる自信がなかったから。
そんなある朝、ルマーレ君と叢雲さんがヴァロラへ向かうと言い出した。
「生存者がまだいるかもしれない。使えるものもあれば、手に入れたい」
彼の言葉だ。叢雲さんは無言でうなずいた。ミオさんも反対はしなかった。なぜかルマーレ君と叢雲さんは僕の回答を待った。といっても僕に言えるのは「気をつけて」くらいのものだった。
ふたりの背中を見送っていたら、ターヤに腕を引っ張られた。
「今日ですね」
「うん?」
「海水浴、行きたいのです!」
「海水浴?」
「そうです、海水浴! ここから一時間も歩けばきれいな海があるのです! ドクターのやってることには賛成できないし絶対やっつけるつもりですけど、自然が戻ってきたことだけは評価してあげてもいいと思うのです!」
一気にまくしたててターヤはにこにこしていた。
僕は苦笑しながらミオさんを見た。止めてくれるだろう、と思って。
でもミオさんは少し間を置いてから、ふっと目尻を下げたんだ。
「たまには、そういうものも悪くないだろう」
僕は耳を疑った。いつもなら「無駄な体力を使うな」と一蹴するはずなのに。
とはいえ久しぶりにミオさんの優しい表情を目にすることができたから、悪い気なんて全然しなかった。
「ミオさんも来るのです! やったー!」
「ラムは?」
ターヤが問いかけると彼女は肩をすくめた。
「行かねーよ。オメーらのイチャイチャなんて見てらんねーし」
「い、イチャイチャだなんて……」
つっかえつっかえ言う僕に、「ばーか」とラムさんは笑ったんだ。
「なにマジになってんだか。夏の日光、苦手なんだよあたしは。リオとサツキだってしばらくいねーし、そうなると、残ってここ守るメンバーが必要だろ?」
ターヤの言った通り、海はとてもきれいだった。
空の色とはまたちがう、透明感のある青は澄みきって、波の音が耳にやさしい。
「ひょー」
大きな声を上げると、ターヤはさっそく波間に駆けこんでいった。海辺でぱっと服を脱ぐ。ぎょっとしたけど、旅装の下はワンピースの水着だった。ミオさんは無言で、海を眺めていた。
誰もいないと思っていたけど、ビーチには先客がいた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
前回シナリオ
[TOS] 狂気日食
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年07月08日
参加申し込みの期限
2026年07月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年07月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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