- シナリオタイプ
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シルバーシナリオ
一般枠:150 らっポ
優先枠:200 らっポ
グループ参加:2人まで
- キャラクター
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定員:10人
現在の申込数:8人
参加キャラ一覧
コメントページ
- スケジュール
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参加申込期限
07月10日 13時00分
アクション投稿期限
07月15日 11時00分
※参加枠やキャラクターは
次のページで選択!
無数の眼が、世界を見ていた。
薄暗い司令室の三方を覆う巨大なスクリーン群には、地上のあらゆる場所が映し出されている。廃墟と化したかつての都市、霧の中に沈むコロニーの残骸、あるいは、人工知能の演算が織りなす数式の奔流。それらが音もなく切り替わり、重なり、また切り替わる。青白い光が絶え間なく脈打ち、まるでこの部屋が呼吸しているかのようだった。
青白い脈動の中心に、ガーナックΜ(ミュー)は立っていた。
頬骨が、まだわずかに熱を持っている。梓 楓——あの少女の一撃の余熱だった。知覚はしている。しかし痛みとは呼ばない。痛みと呼ぶには、感傷のほうが勝っていたから。
「ヴァロラ峡谷にはいま、あんたみたいなのが何体まぎれこんでるの?」
「手品のタネはもうおしまい?」
「……哀れではあるね、ガーナックΜ」
楓の言葉が蘇る。
不快だ。甚[はなは]だしく。
楓の記憶を振りはらうように、冷静にミューはみずからの務めを果たした。
務めとは帰還報告だ。ヴァロラ峡谷での戦いについて、その顛末だ。すでに多方面から報告は上がっているはずだが、ドクター・シザクラはミューの言葉を求めた。
ミューは事実以外を語らない。分析や推測といったものは。
分析は、シザクラの役目だ。
推測は、ミューのなかに秘めておく。
部屋の隅に、人影があった。
金色の長い髪。青い瞳。白いブラウスの胸元で、金の懐中時計型ペンダントがスクリーンの光を受けてかすかに輝いている。ピンクのフリルスカートの裾が、空調の気流にわずかに揺れた。
プロトガーナック・β(ベータ)。
──人形が。
ミューの目に、侮蔑の色が浮かんで消えた。
あたしは、ベータなんかとはちがう。
ベータはミューたち〈蘭付き〉のガーナックと異なり、独立した意思をもたない。まさしく動く人形である。シザクラが、死んだ娘に模して造った。彼女が生きていたらとの仮定で、毎年加齢処置をほどこしているという。それ以上のことをミューは知らないし、知ろうとも思わない。ベータはこの青白い悪夢の中で、やわらかな色彩をまとってただ存在している。
ドクター・シザクラは背を向けたまま、スクリーンの一点を見つめていた。振り返らない。
「峡谷のコロニーは、住むに適さぬ死の土地となった。レジスタンス幹部のひとり新島義弘も討ち取った」
結構、とシザクラは締めくくった。
しかし、の言葉をミューは飲みこむ。
言うまい。言ってどうなるものでもない。大黒ミオ一派を逃したこと。梓楓との交戦で後手を踏んだこと。そしてガーナックΔ(デルタ)が、ドクターに対して牙を剥く兆候を見せていること。
いずれも、報告する必要はない。
「お前には当面、任務を与えない」
「は?」
不意を打たれてミューは顔を上げた。
「次の指令が入るまで好きに過ごすといい」
「好きに、とおっしゃいますと……?」
ミューは戸惑うほかなかった。
諜報任務特化型の〈蘭付き〉として、あたしは常になんらかの工作活動に従事していた。密偵、破壊、暗殺、任務の種類は問わない。動いていることが、あたしの存在理由だった。
任務がなければ、あたしはなんだ。
用無し、ということか。
「ですが」
「二度は言わん。景勝地でも見物するのだな。人類を削減したおかげで、この世界には見るべき場所がいくらでもある」
シザクラは手を振った。出て行け、という合図だ。
「お待ちを!」
いつのまにかベータが、背後のスライドドアを操作していた。
ベータはにこやかな笑みを見せている。最初からずっと、同じ笑みのまま。スクリーンの青白い光を受けても、表情は微塵も変わらない。生きているのか、動いているだけなのか。
ミューは唇を引き結び、踵を返した。
「……そうだな」ミューの背にシザクラが声をかけた。「花でも摘んでくるといい。ベータが喜ぶ」
スライドドアが閉まった。
青白い光が遮断される。暗い廊下に、ミューはひとり立っていた。
頬骨の熱がまだ引かない。
選択肢なら、ある。
梓楓を仕留め、ドクターの前に証拠を叩きつける。あたしは有能だと結果で示す。それがもっとも単純な道だ。あたしはそのために造られたのだから。
逆張りという選択もある。レジスタンスに情報を流し、新世界機構の足元を静かに崩していく。シザクラが滅びるなら、それはそれでいい。あたしが忠誠を誓った相手が正しいかどうか、そんなことをあたしは一度も考えたことがなかった。あえて言えば、勝ったほうが正しい。
あるいは、デルタか。
あの逸脱した蘭付きに付くという手もある。腹立たしいが、デルタにある種のカリスマ性があるのは認めざるを得ない。やつには、Ϝ(ディガンマ)という強力なパートナーもいる。どうせ天秤が傾くなら、可能性のあるほうに乗る。それだけのことだ。
ミューは歩き出す。
どれが正解かなど、わからない。
ただひとつだけ確かなのは──花など、摘みに行く気にはなれないということだった。
桂木京介です。
オーバータイム突入を記念した個人企画、『らっかみ!』本編とよく似ているけど似ていない、別ユニバースのシナリオの第三弾です。
この世界観をもとにしたプラシナの申請をいただいていますが、そちらは本シナリオとは別に後日公開予定です。
朝永 真深(ガーナックΜ)様、梓 智依子(梓 楓)様、七枷陣(ドクター・シザクラ)様、ガイドへの登場ありがとうございました!
ご参加の際は、シナリオガイドにこだわらず、自由な設定かつ内容のアクションをおかけください。
シナリオの扱いについて
本作は[TOS]シリーズの一篇として展開されています。
シリーズはおそらく次回で完結です。といってもPBWです。展開によっては、これで最終回ということになるかもしれません。(そんなことはしたくないのですが、全員死亡しちゃったりしたら……ねえ)
概要
本作は、普段の『らっかみ!』とは全く異なる世界のお話です。
ベースは、劇中で流行しているコンピューターRPG『Tales of the Sky』(略してTOS)のなかの物語ですが、「パラレルワールドの群像劇」として楽しんでいただければ幸いです。
普段のあなたとは全然別のXキャラ的な存在が参戦する、TOS世界に生きる並行世界の自分を描く……などなど、参加方法は問いません。
これまでの経緯については以下をご参照ください。
・『[TOS]戦蘭の世紀』
・『[TOS]宿命交差(クロスロード)』
・『[TOS]狂気日食』
世界観と話の流れ
この世界は、いわゆるディストピアSFといえるでしょう。
現在、人類の文明は狂気の科学者ドクター・シザクラの手で作られたアンドロイド軍団〈ガーナック〉に支配されました。
反抗する勢力は存在しましたが、数年前の大敗によって壊滅的な打撃を受け、いまでは散り散りとなっています。
大きな二度の戦いを経て、物語は佳境へと向かいます。
本シナリオに至る状況
〈ヴァロラ峡谷〉の戦闘において、レジスタンスは〈新世界機構〉を撃退した。しかし精神的指導者・新島義弘は討ち取られ、コロニーは破壊し尽くされ、住民の多くが命を落とした。勝利の形をとりながら、実質は敗北に等しい。
生き残った者たちは散り散りとなり、次の拠点も定まらぬまま、束の間の息継ぎを強いられている。
新世界機構のガーナックΔ(デルタ)は、ヴァロラ作戦においてレジスタンス殲滅こそ果たせなかったものの、依然として最強クラスの〈蘭付き〉である。
しかし彼女の内側では、別の焦燥が燃えはじめている。新世代ガーナックΩ(オメガ)の実在——自分を超えうる存在の出現を契機として、デルタは叛乱という選択肢を静かに、しかし確実にたぐりよせつつある。
本シナリオについて
今回はシルバーシナリオとして、文字数も絞ってお送りします。
本作は『[TOS]狂気日食』から数日後~最長で一ヶ月後程度までを舞台とします。
ヴァロラ峡谷での激突から、わずかな時が流れました。勝利とも敗北ともつかぬ結末を経て、レジスタンスも新世界機構も、それぞれの場所で息を整えています。本作が描くのは、そのような「インターバル」です。正面からの全面激突ではなく、ディストピアの世界を生きるキャラクターたちの日常……あるいは、日常と呼ぶにはあまりにも歪んだ、それでも続いていく時間を描くことを想定しています。
戦闘が起きないわけではありません。ただし全員が勢揃いするような大規模なものではなく、小競り合いや個人の判断による小規模なものにとどまるでしょう。
アクションを考える際の指針として:
・あなたのキャラクターは今、どこにいて、何をしているか
・峡谷での出来事が、そのキャラクターに何を残したか
・この静かな時間に、そのキャラクターが求めるものは何か
そういった視点からアクションを組み立てていただけると、物語に自然に溶け込みやすくなります。
短い休息を、友や愛する人とすごすのもいいでしょう。鍛錬を重ねるのも、はかりごとを巡らせるのも面白いと思います。
アクションについて
本作では新世界機構側(シザクラ配下)の登場人物を演じることも可能です。
蘭紋ガーナックなのか、人間の協力者なのか、その立ち位置を明記してください。
また通常のシナリオより自由度が高く、「死亡」「再起不能」「裏切り」「正体の発覚」といった展開を選ぶことも可能です。
ご希望の際はアクションに明記してください。物語全体を崩さぬ範囲で、できる限り反映します。
ろっこんについて
登録済み・未登録を問わず使用可能です。ただし本作では独自用語として殞脈(エンミラ)、魔法(ノクスラ)という表記を使います。
ろっこんを持たないキャラでも、TOS世界の力としてエンミラ/ノクスラを使用可能です。
ただしゲームバランスを壊すような規模のものは調整させていただく場合があります。
登場人物
◆レジスタンス
○叢雲(むらくも) あおい
この世界版の七夜 あおい。
人間の女性レジスタンス。多くを語らない。語らなくても、その眼差しが答えを出してしまう。気づけば人々が後ろに集まっている——彼女自身が望んだわけでもないのに。
殞脈は〈瞬間移動〉。数メートルの距離しか使えなかったが、能力が向上し十数メートルまで伸びた。
○新島 義弘(教授)
この世界版の桐島 義弘。
レジスタンスの有力な指導者だったが、ヴァロラ峡谷で死亡した。(なので本編には登場しません)
○大黒 ミオ
この世界版の鈴木 冱子。
レジスタンスの中核を担う元兵器型ガーナック。腕に仕込み刀、膝にロケット砲——全身が戦場のために造られている。戦えば冷徹な刃となるが、その心はとうに人間のものだ。
ただし、誰にも言っていないことがある。心臓パーツに不調がある。いつから、とは言わない。どのくらいもつ、とも言わない。ただ、時折その鼓動が危険なほど乱れる。
○ターヤ・トイヴァネン
この世界版の野々 ののこ。
ミオと同じく人類に加勢する異端のガーナック。両手を灼熱に変える〈ヒートハンズ〉は鋼鉄をも融かすが、その掌でいちばん得意なのは、落ち込んだ仲間の背中を叩くことかもしれない。
○七枷 ラム
この世界版の芋煮 紅美。
やはり元ガーナックで、冷凍光線を口から放つ。もともと情緒不安定だったのだが、『戦蘭の世紀』ラスト以降は心を閉ざしている。
◆新世界機構
●ガーナックΔ(デルタ)
この世界版の八幡 かなえ(九鬼姫)。
奇術師を思わせる衣装に身を包んだ少女型ガーナック。芝居がかった口調と妖艶な笑みを浮かべる。フィン(ディガンマ)に執着し、恋慕に似た支配欲を隠さない。
能力は〈創造〉。触れた無機物を自在に造り変え、武器や兵器さえ思うままに組み替える。その能力は単なる破壊ではなく、戦場そのものを己の舞台へと作り変えるためのもの。
新世代ガーナックΩを目の当たりにして、デルタの内側で何かが変わった。ドクター・シザクラへの叛乱を、もはや「いつか」ではなく「いつ」の問題として考えている。
●ガーナックΙ(イオタ)
灰白色の髪、郵便配達人めいた外套、巨大なロングライフル。冷徹な射撃手で、引き金を引くことに迷いはない。
デルタの叛意には気づいている。気づいたうえで、動かない。それが命令だからなのか、あるいは別の理由があるのか——イオタ自身、まだ答えを出していないのかもしれない。
●プロトガーナックβ(ベータ)
シザクラが死んだ娘に模して造った、初期型ガーナック。自意識はほとんどなく、言葉を発することもない。ただ笑っている。最初からずっと、その笑みのまま。
いつからそこにいるのか、誰も気にしない。だからこそ、薄気味悪い。
●ガーナック量産型
赤い眼光。無表情。Y.E.S.S.I.R.だけが彼女たちを動かす。知性はなく、躊躇もなく、命令を遂行する。無数にいる。それだけで、十分に恐ろしい。
●センチネル
ガーナック量産型の重装亜種。センチネルは甲冑を思わせる歩兵型。知性はない。ただし、その武装は脅威だ。
【注意】
今回も構成上、他のNPCはできるだけ出さないようにしたいと思います。ですので、『らっかみ!』NPCのリクエストがあっても応じられないかもしれません。ご期待に添えなかったら申し訳ありません。
すべての登場人物について、展開によっては登場しない可能性もあります。
用語解説
『新世界機構』
ドクター・シザクラに率いられた支配の軍勢です。赤い眼を輝かせたガーナック量産型と、Δをはじめとする蘭紋ガーナックがその中核を成します。
『レジスタンス』
絶望の淵にありながらも抗いつづける人々の呼び名です。統一軍ではなく、小さなコロニーや個々の指導者を中心に寄り集まった不揃いの集団でしかありません。
彼らの武装は心許なく、物資も常に不足しています。装備は、ガーナック量産型程度なら破壊できる振動刃〈ショートブレード〉や各種改造銃、そしてごく少数の旧世代兵器があるばかりです。
『Y.E.S.S.I.R.(イエッサー)』
アンドロイド・ガーナックを縛りつける制御装置です。正式名称は “Yielding Electro-Systema for Subservient Imprinted Regimen”。人はそれを簡潔に「服従回路」と呼びます。
量産型ガーナックは、これが破壊されればただの機械に戻り動きを止めます。ですが、蘭紋ガーナックのように意志を宿す者の場合、回路が断たれてなお生き延び、自由を得ることもあるのです。
『蘭紋(オーキッド / Orchid)』
ギリシャ文字を冠した特異なガーナックたちの総称です。〈蘭付き〉と呼ばれることもあります。
一部の例外をのぞいてすべて女性型。量産型の群れとちがい、それぞれが固有の意思と特殊能力を持ち、まるで悪夢が人の形を得たかのように振る舞います。
大黒ミオやターヤ・トイヴァネンのように、Y.E.S.S.I.R.を解除して人間側に立つ者もごくわずかに存在します。
しかし、〈蘭付き〉たちの時代は、すでに終わりかけているのかもしれません。ドクター・シザクラは新世代ガーナックΩを完成させました。それが何を意味するのか、そのことを誰よりも敏感に察知しているのは、当の〈蘭付き〉たち自身でしょう。
『殞脈(エンミラ / Enmira)』と『魔法(ノクスラ / Noxra)』
人の身に備わる異能の総称です。
殞脈は、肉体や精神の奥底から発現する力であり、瞬間移動や身体強化など「人が限界を超える瞬間」を形にします。
一方、魔法はこの世に亀裂を走らせるかのように、火や氷、光や闇を呼び出す異質な術です。
どちらも、生き抜くために選び取られた祈りの形といえるでしょう。
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それでは、あなたのご参加をお待ちしております!
次はリアクションで会いましょう!! 桂木京介でした。