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素直になれなくて
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野々 ののこ
の部屋は、記憶よりすこし散らかっていた。
「英二くん、入って入って」
案内されて腰を落ち着けると、ののこがうぐいす色の座布団を敷いてくれた。テーブルには湯呑みが三つ並んでいる。それぞれのデザインはてんでバラバラで、英二の前に置かれていた湯呑みはジェットニャガーのイラスト入りだった。
「えびピラフありがと~」
ののこはタッパーを受け取って開ける。えびとバターの匂いが広がった。
「あおいちゃんも食べよ食べよ、英二くんの手料理だよ」
七夜 あおい
は小豆色の座布団の上で体育座りをしていた。
ツインテールは少し乱れている。くたびれたTシャツと短パン姿、起きてそのまま来たような格好だった。
「英二くん……ひさびさ、だね」
あおいは英二を見てほほえんだ。笑顔は卒業式の前と変わらない。ただ、目の縁がわずかに赤い。
「うん、久しぶり。七夜さん」
英二は視線を外し気味に笑った。
「じゃあ食べよっか」
ののこが三等分にして皿に盛る。
「いただきます」
「いっただきまーす」
「どうぞ召し上がれ」
しばらく、三人で黙って食べた。
少し埃っぽい畳の匂い。麦茶のかすかな甘み。窓の外では、蝉の声がかすかに混じる。
あおいの皿も、半分ほど減っていく。英二はそれを見て、肩の力をわずかながら抜いた。
「おいしい」
不意にあおいが言った。「英二くんのえびピラフ、おいしいね」
「でしょ。英二くん料理うまいんだよ」
「そうなの?」あおいは英二を見る。「いつから?」
「ひとり暮らし始めてから、なんとなく」
「私、あいかわらず料理、全然できないんだよ」
あおいはまた笑った。でも笑ったあとの、口を閉じたときの顔が、高校のときとどこかちがう気がした。うまく言えないけれど、重力が増したような。
ののこが麦茶をつぎ足す。
「……ちょっと、疲れちゃって」
ぽつりと、あおいが言った。
誰に向けたわけでもない声だ。視線は膝のあたりに落ちている。
「学校が大変、とか?」
おそるおそる英二が訊くと、あおいはうなずいてみせた。
「福祉系専門学校って、二年しかないでしょ。カリキュラム詰め詰めですっごく忙しいの。卒業と同時に即戦力にならなきゃいけないから」
慢性的に人手不足の業界なんだよね、とあおいは肩をすくめた。
「それに人間関係も……どうも、うまくいかなくて」
英二は言葉を探したが、見つからなかった。
ののこも何も言わない。ただ、麦茶の湯呑みをそっとあおいの手元に寄せた。
「私、上手にやれると思ってたんだけどな」
あおいは小さく笑う。自嘲というほど強くもない、困ったような笑いだった。「なんかごめんね、暗くて」
「暗くないよ」ののこは即座に言った。「謝ることないって。べつに」
少しのあいだ、誰も何も言わなかった。
ののこは胡座を組みなおし、あおいをまっすぐ見た。
「いつでも帰ってきていいんだよ。ここは、あおいちゃんが帰りたいと思ったときに、帰ってきていい場所だから」
あおいは、ののこを見る。
何か言いかけて、やめた。
かわりに、ゆっくりと息を吐いた。
「……海が見えなくて」
しばらくしてから、あおいが言った。
「住んでるところ、海が見えなくて。だから、帰ってきたら……まず見たかった」
「じゃあ決まり!」
ののこがぱん、と膝を叩いて立ち上がる。
「行こ、海。いまから」
「え、いまから?」
「うん。英二くんも来る?」
「もちろん!」
答えてから、返事が早すぎたかもと英二は思った。
でもあおいが小さく笑ったので、まあいいかと思い直した。
アパートから海まで、歩いて十五分ほどだ。
ののこはつっかけサンダルだ。あおいは来たときのスニーカー、英二もやはりスニーカー、日に照らされたアスファルトを踏む。
砂浜に出ると、あおいがやおら駆け出した。
波打ち際で立ち止まって、そのまま海をじっと見ている。
梅雨明けしたばかりの空は高く、水平線がくっきりと引かれていた。波の音が、街の音を押しのけていく。潮の匂い。湿った砂の感触が、スニーカー越しにもわかった。
「……ある」
あおいが言った。
「海、あるね」
ののこが応じた。
「あるよね」
英二は繰り返した。それが、海を受け止める唯一の言葉だと思ったから。
最初にサンダルを脱ぎ捨てたのはののこだ。
「ひゅ~! 夏来たー!」
叫び声をあげ海に入っていく。「水つめたっ!」と言いながらも止まらない。たちまち膝のあたりまでじゃぶじゃぶやってしまう。
「野々さん!」
と英二が呼びかけることなど予想済みであったかのようにふりむいて、
「みんなも、やろっ!」
ののこは満面の笑みだった。
「ふふっ」
勢いよく靴と靴下を脱ぎ捨ててあおいが追う。
「うわ、ほんとに冷たいねっ」
英二もつづく。声の大きさが右肩上がりになる。
「ひょー!」
ののこが水を蹴り上げた。
「うわっ」
「ちょっともう、ののちゃん! 私着替え持ってきてなんだからね!」
「いーのいーの、私の服貸してあげるよー! デルタちゃんのTシャツ!」
「え、なにそれ? アニメのキャラ?」
「『TOS』! 英二くんの推しキャラ~!」
「いや僕は……」
とっさに「野々さん推しだから」と口走りそうになり、真っ赤になって英二は叫んだ。「た、ターヤ推しだから!」
「なんだかわかんないけど、着替えのこと心配しなくていいってことだけはわかったよ!」
えーい! とあおいは盛大に水を跳ね上げた。
ツインテールが解けて、栗色の髪が肩に張り付いている。それでも笑っていた。
空がオレンジ色に染まった。
三人は砂浜に並んで座っていた。波の音だけがつづいている。
幸い服はいつの間にか乾いて、あおいも『デルタちゃんのTシャツ』に着替える必要はなくなったようだ。
「……帰らなきゃ」
あおいが言った。
「もう? 泊っていったらいいのに」
「だめだよ。今日は人生初の学校サボり。明日はちゃんと行くから」
「あいかわらず真面目だにゃ~。私なんかこの三か月ずっと人生サボってるよ」
「じ、実は僕も今日、サボった……」
「三人ともサボりじゃん!」きっしっし、とののこは歯を見せた。「なら明日は私も、バイトでも探しに行こうかな」
あおいは膝を抱えたまま、夕焼けを見ていた。
「来てよかった。寝子島の海、ちゃんとあったね」
なくなっていたら困るものが、ちゃんとある。
英二は思う。
きっと七夜さんは、それを確かめに来たんだね。
やがてあおいは立ち上がる。砂を払い、髪を結い直し、ふたりに向き直った。
「今日はありがとう。また来るね」
英二は何か言おうとしたが、うまく言葉が出なかった。
あおいの背中が小さくなっていくのを、英二とののこは並んで見送った。
「じゃあ、僕たちも」
「うん。ボロアパートに帰ろう!」
アパートへの帰り道は、来たときよりも遠く感じられた。
『素直になれなくて』──了
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あとがき
担当マスター:
桂木京介
ファンレターはマスターページから!
お読みいただき、ありがとうございました。桂木京介です。
公開が遅くなってしまい、申し訳ありません。お待たせしてしまった分、少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。
今回もすべてのアクションにしっかりと物語があり、書きながら何度も「いい時間をもらっているな」と感じていました。参加くださった皆様に、あらためて感謝いたします。
さあ、いよいよ夏本番に向かいます!
まだまだ色々考えてます。これからの展開も、どうぞお楽しみいただければ嬉しいです。
次回シナリオへのご参加をお待ち申し上げております。桂木京介でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
ゴールドシナリオ(200)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年03月02日
参加申し込みの期限
2026年03月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年03月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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