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パカっと駆けてウマくいく!新春初夢☆福笑い満開フェア 鷹編
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見渡す限り、地面は白い雪に覆われていた。
歩道のように踏み荒らされることなく、今も細かな雪が降り重なる雪原。ふわり、ふわりと音もなく舞う美しさに、
梓 智依子
は白い息を吐くのでさえ躊躇って優しく視線を落としかけたのだけれど。
「ゆきー!」
一歩早く、幼い娘は雪の中へ果敢に突き進み、小さな足でいくつもの足跡をつけ始めた。
新調したばかりのコートとブーツで、おませな笑顔を見せてくれたのは片手で数えられるほど。
梓 楓
という好奇心の塊には、静かに雪景色を楽しむなんて選択肢は欠片もないらしい。
「楓、転ばないでよ」
聞こえていないのか、聞こえないふりをしているのか。いつだって楓は、後先を考えるより先に体が動いている。
誰に似たのやら、とぼやきながらも、智依子は振り返りもしない娘が次に何をしでかすのか、苦笑交じりに見守ることにした。
「ゆきー、こっちこっち!」
両腕を広げて、くるくる回る。かと思えば急にしゃがみ、雪玉を作る。そうしてブーツが立てる、さくっ、という音を気に入ったのか、今度は力加減を変えながら辺りを踏み始めた。
最初に雪を踏んだ音。踏み固めたところを、もう一度踏んだ音。
同じ場所でも同じ音にはならない不思議さが、智依子の足も動かした。
さく、さく、さくっ、きゅ。
ざくざく、きゅ、さくっ。
互いに意図してリズムを刻んでいると気づけば、ふたりは顔を見合わせて笑った。
「おどらないの?」
音楽さえあれば、母は踊ってくれる――楓はそう思っているところがあるのだろうが、あいにく足場はよくない。手をつくような難しい振り付けでなくとも、うっかり足を取られれば楓まで巻き込んでしまう。
「今日は、楓もできるダンスにしてみようか」
ブーツの底を雪へ沈め、さくっと音を鳴らす。それに続けて、智依子は手のひらで肘と膝をリズミカルに叩くと、ひとつの振り付けにした。
もう一歩踏み込み、きゅっと鳴れば、今度は先ほどとは違う流れ。ならばと楓が、きゅっ、きゅっと二度音を立てる。智依子は迷わず、同じ振り付けを二度繰り返した。
「なにそれ、おもしろい!」
楓は目を輝かせ、今度は自分から音を重ねていく。動きを教えたわけではないから、手足の運びは智依子と違う。それでも、リズムの筋は悪くなかった。
智依子が一歩。楓が二歩。
雪を踏む音と、服を叩く音と、笑い声。
それだけの即興の音楽に合わせて、ふたりは思い思いに体を動かした。
「つぎは、いっしょに! ぐるぐるしよ!」
「……こら、引っ張らないの」
注意はしたが、智依子はそのまま楓に手を引かれていった。
足元を確かめながら一周、二周。小さな手は思いのほか力強く、その場で回っているだけなのに振り回されるような感覚へ、思わず笑い声がこぼれた。
(いつの間に、こんなに大きくなったんだろう)
何をするにも足元から離れず、小さな指で服の裾を掴んでいた頃を覚えている。
ほんの一歩離れただけで泣き、夜中にも、明け方にも泣いた。どうしていいかわからないまま抱いて……ただ守らなくてはと、思っていた。
先が見えなくて、怖くて、途方に暮れて。あの頃は目を離せなかった娘が、こんなに力強い。
振り返りもせず遠くまで走ることも、自分の足で音を見つけ、自分の踊りを生み出すこともできるようになった。少し寂しくて、同じくらい嬉しい。遠くへ行けるようになっても、こうして自分から戻り、母の手を引いてくれることが、どこかこそばゆかった。
吐いた息が白い靄になって、ふたりの間でほどけて消える。一瞬だけ互いの表情を隠すけど、すぐに赤い頬で笑っている楓が見えた。智依子の手がいらなくなったのではないと――安心しても、いいだろうか。
「まって! なにかある!」
不意に楓が手を離し、足元へしゃがみ込んだ。積もった雪を手袋で掻き分け、その何かを拾い上げる。
「みてみて! はっぱ!」
冷たい雪に埋もれていたのは、きれいに形を残した枯れ葉だった。
智依子が受け取ろうと手を伸ばすと、楓はそれをぎゅっと胸に抱く。
「かえでがみつけたの」
「はいはい。楓のね」
可笑しくなって笑うと、楓も得意げに笑った。それから見せびらかすように、葉をくるりと裏返す。
【移ろう季節も、愛の深まりを助けるのみ】
智依子は瞬いた。
驚きの一言も口にできないまま葉は再び翻され、もう一度裏面を見ても、金色の文字は消えていない。
淡い光を帯び、葉脈に沿って静かに輝いている文字に、楓が気づいた様子はなかった。
(過ぎた日々は奪うだけではなかった……ってことかしら)
確かにもう、思い描いていた未来は戻らない。
差し迫られた選択に後悔はなくても、幼かった楓に、もっとしてあげられたこともあっただろう。
「ママ? ママのもはっぱ、さがす?」
「え、あ……ううん。楓、雪掘ったりして冷えてない?」
何も知らない顔で笑い、また智依子の手を握る。その温かさを確かめるように、智依子も小さな手を握り返した。
笑い声を増やせる。小さな手に力を育て、頼りなかった間には信頼を積み重ねて、時間は満ちる。
変わらないものがないのは当たり前だ。だって――楓への愛は、深まっているのだから。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年01月02日
参加申し込みの期限
2026年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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