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パカっと駆けてウマくいく!新春初夢☆福笑い満開フェア 鷹編
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薄い霧を踏んでいるような、曖昧な感覚。
床に触れた靴底が何かを蹴るのに、
東雲 人里
は自分が歩いているのか、座って足を揺らしているのかもわからなかった。
それでも焦りや不安はない。見知らぬ場所なら慣れていると苦笑しかけたが、自分が駅舎の中にいると気づくと、途端に周囲をうかがい始めた。
壁には白地に黒い文字で何かが書かれているけれど、目を凝らしても輪郭がぼやけて読めない。天井はどこまでも高く、遠くの話し声だけが反響している気がする。
なのに、気配に振り返っても、声の方へ向かっても、誰の姿も見つからない。柔らかな光が淡く拡散し、夜なのか昼なのかさえはっきりしなかった。
(……少なくとも、知ってる路線ではなさそうですね)
ひとつわかるのは、まだ電車が動いている時間らしいということぐらいだ。
なら駅員を見つけることも、電車に乗って知っている場所へ出ることもできるだろう。迷子になったとき特有の心細さはなく、急ぎ誰かに道を尋ねなければという焦りも、不思議なくらい湧いてこない。
なぜならここは、誰の目も気にしなくていい見知らぬ場所――好奇心旺盛なところがある人里が、不安でじっとしているほうがらしくない。
(そもそもホームの中なら、改札から出なければ迷子になりようがない――はずです!)
その自信が方向音痴に拍車をかけている可能性はさておき、人里は長いホームを端から端まで歩いた。階段の先に店の集まる区画を見つけては、うっかり改札を出たのではと冷や汗をかき、またホームへ戻ってくる。
ようやく見つけたのは、人ではなく、線路の奥へ消えていく列車の後ろ姿だった。
残り香のような風が足首をなでる。
自分は何の用事でここにいるのだろう。どこかから来たのか、ここから出たかったのか。切符でもあればわかるだろうが、そんな物があれば迷子にはなっていない。
そう納得しかけ、人里は慌ててポケットを探った。手荷物や状況の確認は大事だと、迷子で世話になるたび、お巡りさんたちにも言われている。
「……あった!」
指先に触れたのは、一枚の切符だった。
いつ受け取ったのか、まったく記憶にない。それでも片方の角が少し折れているあたり、この不確かな空間でも、しっかり改札を通った証のように見えた。
薄い紙に印字された文字を読もうとしたとき、時刻も駅名も揺らめき始める。
インクが滲んだのではない。並んでいた文字がほどけ、別の言葉へと組み直されていく。
【行き先:幸福駅 座席:ペアシート】
三度瞬きして、人里は切符を両面確認した。
出発時間も乗り換え案内もなく、行き先と座席だけがはっきり記されている。
(ペアシートって……誰と?)
意味はわかる。でも、実感がついてこない。
バイト先の慰労会ならペアではないだろうし、友達と行くにしても、もっと気軽な席でいいはずだ。行き先が何かの暗示なのかと慌て、思わず切符をぶんぶん振り回す。
どんな車両に乗るのだろう。どんな景色を見て、どんな話をするのだろう。
そんな期待をしていいのかと切符を覗き込めば、座席の下へ新たな言葉が浮かんでいた。
【隣には愛しき人】
近くのベンチは空いていた。
座って待つべきか。裾を軽く摘まんで一礼までして、人違いだったらどうしようか。
(もし、誰かがやってきたなら)
人見知りである上、これほど落ち着かないのだ。失敗することも覚悟しなければならない。
呼吸を整え、人里は腰を下ろして裾をそっと整えた。切符をもう一度確かめ、隣の空席を見る。
「愛しき人……」
普段なら、想像するだけでも恥ずかしくなりそうな言葉だ。
それでも今は、小さくても口にしてみたかった。頬はじわりと熱くなるのに、恥ずかしさは柔らかな布を一枚隔てたように遠く、そっと背中を押してくれる。
空席から目が離せなくなった頃、人里は何度目かの確認を終えた切符へ苦笑した。
「私、あなたのことを何も知らないわね」
相手が知っている人なのか、まだ出会っていない人なのか。旅に出る日時さえ、何ひとつわからない。
でも、それは行き先もなく路頭に迷うのとは違った。
目的地まで競争したり、一緒に足跡をつけながら迷ったり。どこへ踏み出せばいいか悩むのではなく、きっと寄り添って笑い合える――そんな大切な人。
(今は、空席でいいですよね)
学校やバイト先、町中で道を教えてくれる店員やお巡りさん。意識すれば、すでにさまざまな縁がある。その誰かが隣へ来るのか、それともまだ知らない誰かなのかと思えば、胸が高鳴った。
人里は空席へ照れ笑いを向け、切符をそっと胸元へ寄せた。
(いつか本当に、隣に誰かが座るのだとしたら――その人へ、どんな挨拶をしましょう?)
その準備ができるまで、もう少しだけ。
どうか、隣に来たことさえ気づかない鈍感さで見過ごしてしまいませんように。
そう願ったところで、ふわりと目が覚めた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2026年01月02日
参加申し込みの期限
2026年01月09日 11時00分
アクション投稿の期限
2026年01月09日 11時00分
参加キャラクター一覧
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