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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
Come and Get It
さて翌日の探検とはいえば……結論から言うと、成果はゼロに近いものだった。
天候は曇りがち、雨が降ってもおかしくなさそうなので、それに対応した装備で移動したのだが、実際には降雨はなかった。
「ここ、動物とかいるのかな？ クマ鈴と声出しでなんとかなるかな」
当初タルトはおっかなびっくりだったが、クマはもちろん毒蛇もなく、鳥や小動物がちらりと見えただけ、拍子抜けするくらい安全な行程となった。アクシデントといっても、途中せいぜい、足元を滑らせた碧南をとっさに洋二が助けたくらいである。
やがて林に踏み入り、丘陵を登っていく。平穏無事だが単調すぎるきらいもあった。
「これって一見するとただの山林に思えるけれど、実はその奥にはゲートを守るために幾重にも罠が仕掛けられてたりしてるかも？」
碧南が言うと、煌牙が即座に反応した。
「それや！ 髑髏島、っちゅうくらいやからな。トラップの匂いがするでぇ～」
「煌牙くん、ここを髑髏島と呼んでるのは僕たちだけだよ」
「すいじゃえもーん！ それ言ったらあかーん！」
「ご、ごめん……」
タルトは記録係を頼まれたので、島で見た様々なものや動物や植物を撮り、皆の様子も映像に残していった。
岩に刻まれた数字を見ては、
「んん？ これは異世界の暗号では？」
とカメラに収めたり（実際は測量の跡）、道端に珍しい形のキノコを見つけては、
「異世界の外来種？ 食べられるかな？」
と危なっかしい感想を漏らしたり、木の根元に耳を当てては、
「ゲートが近いという脈動を感じ……ない！」
などと言ってみたりする。
そんなタルトの様子に、碧南がくすっと笑い、シュリーは「タルトさん、変なもの食べちゃだめです〜」とやんわり止め、オルガが「もっと攻めていいヨ！」と焚きつけて、なんだかんだで賑やかな行程となった。
ついに山頂──と呼ぶにも低すぎる丘の頂上までたどり着き、洋二が笑って言ったのは、
「楽しいピクニックだねえ」
の一言だった。
「くおー！ ピクニックちゃうんや、洋二ぃ！」
「はっはっは、そうだったそうだった。異世界への門を探さないとね」
あまりに平和で異世界とか、そんなもの尻尾すら見えない。
本当は異世界が存在することを、タルトは知っている。知識というより、かつてふいに踏み抜いてしまった薄氷のような感覚として、身体のどこかに残っている。何気ない日常の裂け目から、向こう側がのぞくこともあった。
けれど──いざ探そうと手を伸ばすと届かない。
迷い込むときはあまりに突然で、追い求めるときほど遠ざかる。
理屈に合わないみたいだけど、でも、異世界って本来そういう場所なの……かな。
タルトはぼんやり思った。
「結局、ゲートっぽいの全然なかったね」
碧南が肩を落としかけたとき、
「みなさん、あれ見てほしいです！」
とシュリーが指さしたものがある。
そこには──苔むした石のあいだに、ぽつんと落ちている銀色のスプーンがあった。
おそらく過去のハイカーの落とし物だろう。それ以上でも以下でもない。
「ひょっとして……！」
オルガが目を輝かせ、両手でスプーンを掲げる。
「まさかのオーパーツ！ 文明以前の時代にこんな精巧な金属加工がアッタナンテ！」
「いや普通のスプーンですよね！？」
碧南が慌ててつっこみ、タルトもカメラを向けながら笑ったりする。
そんなこんなしていても、遅寝したせいもあり、そろそろ帰投の時間だ。
「そろそろ戻らないと」
碧南が言うと、「え～、もう?」とタルトは声を上げた。
「一泊二日は短すぎるよ～」
かくしてイセ探の髑髏島探検は、成果こそ空振りだったものの、思い出だけはやたらと増やして幕を下ろした。
ちなみに帰りの船は驚くほど安定していたのだが……船に弱い錘左衛門だけは、ひとりでグッタリしていたという。
──『Come and Get It』 了
天候は曇りがち、雨が降ってもおかしくなさそうなので、それに対応した装備で移動したのだが、実際には降雨はなかった。
「ここ、動物とかいるのかな？ クマ鈴と声出しでなんとかなるかな」
当初タルトはおっかなびっくりだったが、クマはもちろん毒蛇もなく、鳥や小動物がちらりと見えただけ、拍子抜けするくらい安全な行程となった。アクシデントといっても、途中せいぜい、足元を滑らせた碧南をとっさに洋二が助けたくらいである。
やがて林に踏み入り、丘陵を登っていく。平穏無事だが単調すぎるきらいもあった。
「これって一見するとただの山林に思えるけれど、実はその奥にはゲートを守るために幾重にも罠が仕掛けられてたりしてるかも？」
碧南が言うと、煌牙が即座に反応した。
「それや！ 髑髏島、っちゅうくらいやからな。トラップの匂いがするでぇ～」
「煌牙くん、ここを髑髏島と呼んでるのは僕たちだけだよ」
「すいじゃえもーん！ それ言ったらあかーん！」
「ご、ごめん……」
タルトは記録係を頼まれたので、島で見た様々なものや動物や植物を撮り、皆の様子も映像に残していった。
岩に刻まれた数字を見ては、
「んん？ これは異世界の暗号では？」
とカメラに収めたり（実際は測量の跡）、道端に珍しい形のキノコを見つけては、
「異世界の外来種？ 食べられるかな？」
と危なっかしい感想を漏らしたり、木の根元に耳を当てては、
「ゲートが近いという脈動を感じ……ない！」
などと言ってみたりする。
そんなタルトの様子に、碧南がくすっと笑い、シュリーは「タルトさん、変なもの食べちゃだめです〜」とやんわり止め、オルガが「もっと攻めていいヨ！」と焚きつけて、なんだかんだで賑やかな行程となった。
ついに山頂──と呼ぶにも低すぎる丘の頂上までたどり着き、洋二が笑って言ったのは、
「楽しいピクニックだねえ」
の一言だった。
「くおー！ ピクニックちゃうんや、洋二ぃ！」
「はっはっは、そうだったそうだった。異世界への門を探さないとね」
あまりに平和で異世界とか、そんなもの尻尾すら見えない。
本当は異世界が存在することを、タルトは知っている。知識というより、かつてふいに踏み抜いてしまった薄氷のような感覚として、身体のどこかに残っている。何気ない日常の裂け目から、向こう側がのぞくこともあった。
けれど──いざ探そうと手を伸ばすと届かない。
迷い込むときはあまりに突然で、追い求めるときほど遠ざかる。
理屈に合わないみたいだけど、でも、異世界って本来そういう場所なの……かな。
タルトはぼんやり思った。
「結局、ゲートっぽいの全然なかったね」
碧南が肩を落としかけたとき、
「みなさん、あれ見てほしいです！」
とシュリーが指さしたものがある。
そこには──苔むした石のあいだに、ぽつんと落ちている銀色のスプーンがあった。
おそらく過去のハイカーの落とし物だろう。それ以上でも以下でもない。
「ひょっとして……！」
オルガが目を輝かせ、両手でスプーンを掲げる。
「まさかのオーパーツ！ 文明以前の時代にこんな精巧な金属加工がアッタナンテ！」
「いや普通のスプーンですよね！？」
碧南が慌ててつっこみ、タルトもカメラを向けながら笑ったりする。
そんなこんなしていても、遅寝したせいもあり、そろそろ帰投の時間だ。
「そろそろ戻らないと」
碧南が言うと、「え～、もう?」とタルトは声を上げた。
「一泊二日は短すぎるよ～」
かくしてイセ探の髑髏島探検は、成果こそ空振りだったものの、思い出だけはやたらと増やして幕を下ろした。
ちなみに帰りの船は驚くほど安定していたのだが……船に弱い錘左衛門だけは、ひとりでグッタリしていたという。
──『Come and Get It』 了
あとがき
担当マスター：
桂木京介
ファンレターはマスターページから！
ご参加ありがとうございました。桂木京介です。
マスターページでもふれていますが、このところ私事が立て込み、なかなか執筆に十分な時間を割けませんでした。
それでも、『らっかみ！』の世界をみなさんと一緒に紡いでいく時間は、私にとってやはり格別です。
合間をぬって少しずつ書き進めました。楽しんでいただければ幸いです。
簡単なあとがきではありますが、今回はここまでとさせていただきます。また新たなシナリオで、皆さんとお会いできる日を心待ちにしています。
そして毎回書いていますが……お手紙お待ちしております。
桂木京介でした。
マスターページでもふれていますが、このところ私事が立て込み、なかなか執筆に十分な時間を割けませんでした。
それでも、『らっかみ！』の世界をみなさんと一緒に紡いでいく時間は、私にとってやはり格別です。
合間をぬって少しずつ書き進めました。楽しんでいただければ幸いです。
簡単なあとがきではありますが、今回はここまでとさせていただきます。また新たなシナリオで、皆さんとお会いできる日を心待ちにしています。
そして毎回書いていますが……お手紙お待ちしております。
桂木京介でした。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2025年11月17日
- 参加申し込みの期限
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- 2025年11月24日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2025年11月24日 11時00分
