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色なき風に思い重ねて
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ひどい有様だった。かつての自分は、と
朝鳥 さゆる
は胸をよぎる痛みにも似た感傷にかぶりを振る。午前七時。太陽はとうに昇りカーテンの向こうから早々の起床を促した。
「……はぁ」
溜息。今日はまだもう少し寝ていられる。夜の仕事はあれど大学の講義はない。もう一度寝てしまおうとまぶたを貫くような陽光に逆らいシーツをひっかぶる。隣の
姫木 じゅん
の寝息が一瞬乱れて寝返りをうち、さゆるの裸身へするりとその腕を巻き付けた。程なくして再び安らかな寝息が聞こえ始めたが、さゆる自身は二度寝に耽ることはできなかった。
視界に赤く閃き垂れ落ちる。金切声や衝突音が頭の中へ喚き散らす。時折起こる記憶のフラッシュバックはさゆるを度々苛んだ。
振り払うようにして手を伸ばしスマホを取る。メールをチェックするといくつかの着信があったが、ことさら急ぎの返答を要するものではない。しばし眺めてスマホを放り出す。今は返信の内容に頭の容量を割く気になれなかったので、後回しとする。
肌寒さを感じてシーツを引き上げる。寒い。秋が深まるにつれ冷え込む日が増えてきたが、それにしてもじゅんの温もりはたしかにさゆるをあたためてくれているというのに。なぜこんなにも芯から冷え込むのだろう。などと考えていたらいとも容易く気分がすとんと落ち込んだ。ベッドが沈み込み闇の中へと飲み込まれてゆく。じゅんの姿は瞬く間に遠くなり手を伸ばしても届きはしない。どこまでもどこまでも沈んでゆく。
粘性のある闇海の底の底へ向かって沈みゆくさゆるは考える。こぽりと口から泡が零れ出た。さゆるという人格の礎は結局のところあの頃に紐づいているのだろうと思う。自ら滅するを顧みずやみくもに自傷へ走った……精神的にも身体的にも。あるいはそれらは同義であったかもしれない。目先の快楽に溺れながら己が精神をも傷つけ、精神の疲弊はさゆるの身体をも痛めつけたのだ。行いそのものに悦楽を覚えていたようにも思う。不幸で益体も無い自分に浸っていた。痛みこそが世界の全てであり光はまぶしすぎて瞳を刺す。目を逸らし続けた結果どこまでもどこまでも沈んでいった。底には暗い安寧が待ち受けていて優しくさゆるを包み込んでくれた。闇こそがさゆるの母だ。慈母の腕に抱かれていつまでも耽溺していたかった。それこそがさゆるにとっての安定と幸福に他ならない。
ではなぜ、そこから這い上がることを決めたのだったか。記憶の中にまばゆい光が切り裂くように差し込んだ。
「あれ、さゆる。あんた何泣いてんの?」
一瞬にしてさゆるは闇の深海からベッドへ引き上げられ、じゅんがカーテンを引くと差し込む陽光の眩しさに思わず目を細めた。
ふたりでシャワーを浴びながらしこたま慰められると、互いにタオルで肌を拭い合う頃には落ち込んでいた気分までもようやくにしてさゆる自身の胸へと収まった。
「昔を思い出すって、そう悪くないこともあるよね」
朝食の目玉焼き乗せトーストをかじりながらにそんなことをじゅんが言った。
「昔が暗いと、今が明るく見えるじゃん? あの頃のあたしは今のあたしの引き立て役ってわけ」
「そんな風に……割り切れるものかしら」
「まぁ気の持ちようよね~」
事もなく彼女は言ってのけるが、さゆるは知っている。じゅんにとて時として思い返さずにはいられない、度々フラッシュバックする重厚な過去が今もって纏わりつくことを。さゆるの抱える闇とその深度は違わないはずだ。その上で開けっ広げに語り笑みさえ浮かべて見せる彼女へ心服せずにいられない。彼女はさゆるにとって恋人であり姉でもあり師でもあった。実に稀有なる存在なのだ。
じゅんとさゆるの齢は十違う。幼気な顔をして経験豊富な先達らしく、さゆるもいつか何でもないと振る舞える日が来るだろうか。
「何か難しいこと考えてる?」
「え? いえ、そんなことは……」
「考えてる顔してるじゃん。とあっ!」
奇妙な掛け声は何のアニメのキャラクターだったか。卓上の食器ががたつくのも厭わずじゅんはさゆるの頭を胸元へ引き寄せ思い切り抱き締めた。
「辛い時はあるよそりゃ。けどそういう時はほら、あたしがこうしてあげるから。あんたはあんたのペースで、ゆっくりやってきゃいいのよ」
じゅんの控えめな胸の感触に安堵し、さゆるはまぶたを伏せる。
「……ええ。そうね、じゅん」
ひどい有様だった、かつての自分は。しかし今はここにいる。彼女がいる。その落差が不安を掻き立てることもあろうが沈みゆくばかりでは決してない。いつでも暗い底から引っ張りあげてくれる誰かが側に在るならば、過去を噛みしめ生きてゆける。歩いてゆけることだろう。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年11月05日
参加申し込みの期限
2025年11月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年11月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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