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激情
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八神 修
といえば冷静沈着を地で行く、人呼んで寝子島の軍師。何時如何なる時も感情に惑わされず、己を殺しながらに眼前の有事を取り除いてきた。強大なる敵と対峙した時にも、人の身で立ち向かうのは無謀に思えるような災禍と向き合った時にも、持ち前の知識と脳力で軽やかに切り抜けてきた。頭脳労働はお手の物、クールが服を着て歩いているような男であった。軽妙洒脱とは言い難く堅苦しい面は無きにしも非ずではありながら、彼の人となりは他者の助けとなりまた惹きつける魅力ともなっていた。
自身、感情が揺らぐことなど無いとばかり思っていた。
「おめでとう!」
そんな彼の波形を刺激する出来事は確かに、いくつもあった。例えば直近で挙げるなら、東京大学理科三類に合格した瞬間だ。幼い頃から掲げてきた、人生の節目となる目標だった。あの時、
七夜 あおい
の喜ぶ顔は未だまぶたの裏に焼き付いている。彼女の本心からの笑顔だったことだろう。スマホの画面の向こうに見た無機質な番号などよりもよほど、修に成就の喜びを伝えてくれた。
あおいと心通わせたあの時も。
「私、やっぱり……修くんがすき」
育った環境の異なり。思考の異なり。決して平坦な道程ではなかった。それでも絆を深め合い、時に回り道もしながら、ようやくにして辿り着いた二人の答えだった。刹那に目の前が全て真っ白に染まる程、鮮烈な感情の奔流が修を満たしたのだ。あおいの涙、己の胸の鼓動。生涯忘れることは無いだろう。
自分は変わったのだと思う。それも大きく。無情にして波立つ衝撃にも頑として動かなかった心が、起動した。そのように思うのだ。あたかも壊れて針を動かすのを止めた時計が、少しずつ人の手を入れられて修復され、時を刻み始めたかのように。
ああそういえばと修は回顧する。東大合格を知ったあの日には、寮へ戻るなりペット達にも嬉々として報告をしたのだったと思い出す。彼らもまた修という人間の歩みを語るに欠かせない。犬が三匹、猫が十七匹。ハムスターにウサギ、リスも。彼らの全てが掛け替えの無い存在だった。だから、別れを告げねばならないのは胸が締めつけられるようだった。
家名を背負い、使用人が常に傍らにいるような生活は終わらせねばならなかった。己がためでもあり、あくまでごく普通の家庭に育ったあおいとの価値観や思考の差を是正するためでもあった。故にこれまでのような際限なき博愛を体現し続けるわけにはいかない。新生活が始まった時、そこへ連れていけるのはせいぜいが一匹のみといったところだろう。
「すまないな。寂しいよ」
一匹一匹を抱きしめ、別れを惜しんだ。彼らの多くを実家へ預け、東京都内の新居へ連れてきたのは白猫のミルクのみ。真新しい部屋に寂寥は漂ったが、それにもやがて慣れてゆくだろうか。新たな生活の幕開けは戻らぬ日々の追憶が修を苛むことともなった。
「ああ。そうだな、どうにか上手くやっているよ」
そして今、修は東京のコンクリートジャングルを颯爽歩む。
「あおいはどうだい? うん。そうか、それはいいな」
いつだって冷静であろうとしてきたし、それが他者との繋がりの中にあって自分の役割でもあると自負している。それはきっとこれからも変わらないだろう。政治家である父の後継者たらんと育てられてきた、叩き込まれた感情の抑制とコントロールが故にでもある……どこかロボットめいた無機質が修という人間を形作っていたが、寝子島での暮らし、あおいや仲間たちとの出会い、島を象徴するような数々の珍事に変事が変化をもたらした。修は変わった。そういうことなのだろう。
「そう、だね……俺もだ。次に会えるのが待ち遠しいよ」
自分では今もって心のスイッチ一つ、感情の制御が可能だと思っているがさて、あおいの言葉でどきりと胸が弾んだり揺らぐ己に苦笑いを漏らしたりもする。感情の機械ではない、人間であるとはこういうことだろうかと感心することしきりだ。
風が吹いた。赤や黄色がかった葉が舞い上がり視界の隅を流れてゆく。ふと立ち止まり後ろを振り返るとそこには修のたどってきた歩みが残響として浮かび上がった。あの道をたどれば寝子島へと通ずるだろう。思えば長く歩んだものだ。
「うん。また寝子島で。それじゃ」
通話を切ると前を向く。連なる道はどこまでだって続いてゆくが、彼女の歩む道とは幾度となく交差することだろう。そのたび修は己の感情の発露を再確認する。修という人間が彼女によって形作られてゆく。嬉しく思う。再び出会った時、どれ程に彼女が修の鼓動を弾ませてくれるだろうか。それが楽しみで仕方がないのだ。
「……さて。いくか」
まばゆい陽光に目を細め、歩き出した。
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あとがき
担当マスター:
網 透介
ファンレターはマスターページから!
網です。
激情にかられたりするお話でした。
基本的には波風立たずフラットでいたいと思っていますが、それでも生きていれば時に多大な感情の振れ幅に翻弄されることもあるでしょう。
そんな時は無感動より、素直な感情の発散も大事であるかもしれませんね。人間らしくありたいならば。
でも個人的には『怒』の感情だけは己の内に留め置くか人知れず発散するのが良い気がします。正当なる怒りというものも時にはあることでしょうが……難しいところですね。
それではまた次回に。
網でした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月26日
参加申し込みの期限
2025年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年11月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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