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激情
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芸能界に生きるとは即ち、もがくことである。
月原 想花
は痛感する。耽溺しもがき這い上がらねばすぐさま沈みゆく。例え泳ぎに自信があったとて油断は禁物だ。水底にはバタ足に絡みつくねちっこい触手を持つ怪物が潜み引き摺り込もうと常に狙っているのだ……そして触手のたもとをたどれば往々にして、手の届くところにいる身近な人物に当たったりするものなのである。同僚とか。
「いるよねぇ~、大して可愛くもスタイル良くも無いのにさぁ、ちょっともてはやされたら勘違いしちゃう子って。良くいるのよ、そういう子。みっともないったら、あはは!」
これ見よがしに取り巻きへ語って見せるこの女もそんな怪物の一匹であるようだ。
「なんだっけぇ、サイボーグ? ビューティ? とかって呼ばれて、喜んじゃってさ。サイボーグだって、ダッサ!」
「ちょ、声大きいですよ……聞こえますって」
「あそこにいますから、想花さん……」
「え、何? 誰が? どこにいるって? やばー、全然見えなかったわー。存在感薄いんじゃない、あの子? あっははは」
読者モデルとしてティーンズファッション誌『17ans』の撮影現場へ入るようになってしばらく経つが、この手の好戦的かつ独善的で自己承認欲求に満ちた輩は程度の差こそあれ基本的にどこにでもいる。育ちの良い娘だっていくらでもいるが、声が大きく目立つのはおよそこうした悪意あるタイプだ。粛々と撮影をこなすかあるいは大なり小なり撮影監督やらスタッフやらへ媚を売り、少なくとも表向きには好意的な態度を振りまく者ならまだいいが、時折周囲へ露骨な嫉妬や憎悪をまき散らす者もいる。導く大人もなく誠実な友にも恵まれず、増長した結果がつまり今想花を言外に揶揄する少女のような存在なのだ。
「…………」
想花は黙して語らない。何事か言い返してやりたいところではあるが面倒事となる可能性は高いし、泥沼となってはたまらない。今は一方的な被害者ながら、下手な反撃などしてこじれては喧嘩両成敗ともなりかねない。
「あの子さぁ、メイク室ですっぴん見たことあんだけど、これがブッサくてさぁ」
「も、もうそのへんで……!」
「元の出来が悪いとさぁ、メイクさんとかスタイリストさんだって苦労するんじゃない? ああいう子がいるとさぁ、周りに迷惑がかかるってあたしは思うんだぁ。ちゃんと自分ってやつをわきまえてさ、大人しく身を引くのが良識ある人間の正しい行いってやつだよねぇ? そう思わない? ねぇ!?」
「今日はもう上がりでしょ? 打ち上げ行きましょ、ね、ほら……!」
ぐいぐいと背を押されながら去ってゆく女を見向きもせずにやり過ごす。取り巻きの一人がこちらを向いて小さく会釈をしたが、だからどうしたというのだろう。何の慰めにもなるまい。むしろ同罪だろうと想花は鼻を鳴らす。
しかし、そう……あの女の叫ぶ妄言が必ずしも妄言たらず、ある意味で的を得ていると思わぬこともない。
「はぁ……」
何の因果かモデル業へスカウトされここまで来たが、その実想花の内面など何も変わりはしない。ヘタレでビビりで、内向的で野暮ったかったあの頃の自分と何が変わったというのか。眼鏡を外し髪を切ったとていわゆる陰キャであるのは変わらない。相も変わらず世の変化にビクつき近づく者には警戒し、肩を縮めて道を歩く日々だ。時折、ファンだという年下の少女たちに声をかけられたりもするがその度、心臓は痛い程に跳ねている。
「変われたら、な……」
つぶやきは誰もいなくなった控室の壁に吸い込まれて消えた。それが想花の毎日だった。
とはいえだ。寛容を気取るにも限界というものがある。というのは想花がモデル業を生業の一つとするようになってからようやくにして思い至った、己の秘めたる一面だった。
「何? これ」
「えっと。な、何が……? このアカウントが何? ああ、あんた、晒されちゃってるんだぁ。あ、はは……」
「あんたの裏アカ。分かってるんだから」
「…………」
女は脂汗を額に浮かべて押し黙った。あれほどに高慢を見せておきながら自身が責め立てられるのには慣れていないらしい。
つい先ほどまで撮影に臨んでいたが、新作の春物など身に着けて得意げにポーズを取る合間に想花の臨界は突破してしまった。耐えに耐えたと言っていいだろう。自分を褒めてやりたいくらいだ。撮影の直前にさえ女はやれ見るに耐えない造形だの、親の顔が見たいだのと喚いていたのだから。
鼻先が触れ合う程に肉薄し、怯えて行ったり来たりする女の瞳を真っすぐに覗き込む。
「ダッサイ真似してんじゃねぇよブスが……」
「ひ」
するりするりと棘のある言葉が滑り出た。自分にこんな語彙があったのかと感心する。今もって続けている創作活動の賜物だろうか。
「なぁ。おい」
「は。はひ」
「次、つまんねぇことしたら……分かるよな?」
小動物めいて女は首を上下に震わせる。震動で首が落ちてしまいそうな程だ。
「返事は」
「はい! はいっ……!!」
もはや臆面もなく逃げ去っていった女は間もなく、別件が突端となりSNS上で派手に炎上し、業界から姿を消した。申し訳ないことをした、などと思うこともなかった。ただあの日湧出した己の勇気を称え、成功と裏腹の増長が故に同じ轍を踏まんとする決意を新たにするのみだ。
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担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月26日
参加申し込みの期限
2025年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年11月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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