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激情
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それは巨大な波だった。
梓 智依子
一人には受け止めきれないほどのおそるべきうねりだ。一方向ではなく渦を巻き前から後ろからと押し寄せた。
「この子は絶対大物になるよ、ChiCo! そうだよこれはもうChiCoの再来、いやダブルChiCoだよ!」
友の言葉が反響する。多重となり智依子を揺さぶった。空間は狭く硬質な箱のようで、鉄で出来た檻のようであり、光が瞬くミラーハウスでもあり、ギャラリーが詰めかけ沸き立つステージでもあった。智依子は惑いながらも魂に従い踊り出す。数年ものブランクも染み付いた体捌きはすぐさま蘇り激しいステップが魅了した。観客に顔はなく、言葉もなく怒号めいて叫ぶのみだがダンサーへ向ける賛辞と愛には惜しみない熱を感じる。智依子のステップはさらに深度を増してゆく。
しかしその熱はやがて二分された。ステージに立つのは今や一人ではない。将来有望の小さなダンサーが智依子の傍らで存在感を放ち始めたからだ。
「楓……」
「ママ! かえでだって、おどれるんだよ!」
磨けば光る、などと生易しい。一目に分かった。この子は自身の才を色濃く継いでいるばかりでなく、やがて智依子が立ち入れぬ領域にまで己を昇華させることだろう。
つまるところ後方から背を押すように押し寄せる波は我が子への親愛の情だ。楓の才が輝きを放てば放つ程に智依子の胸も温まり誇らしく自尊心を満たすだろう。前方から叩きつけるような破壊的な波は嫉妬の情だ。智依子の胸中にも在りし日には頂点の舞台を駆け抜けたという矜持が残る。我が子とてまだ幼子にその自負を打ち砕かれたとあらば黙ってはいられない。まだまだ輝ける、どんなテクだって完璧にマスターしてみせる。前後の波は異相であり相反するようでいて複雑に絡み合い、智依子の感情を形作ってゆく。そうだ。楓という原石は磨き上げられてゆく過程にありそれでいて、智依子を一歩先んじてもいる。智依子にとって惜しみなく母性を注ぐ対象でありながらいつかはライバルとしても並び立つのだろう。そんな存在として成長しつつあるのだ。
「ママ、見てみて! かえで、こんなにおどれるよ! えへへ、すごいでしょ?」
眩く輝く。眩暈がする程に眩しく智依子の双眸を打つ。ああ楓、ああ、と呻く。波の回転は速く深くなり智依子を翻弄し、顔のないギャラリーは惜しみない称賛と拍手を二人へと贈る。全身に吹きだす冷たい汗を自覚した瞬間、智依子は覚醒した。
「どうしたの、ChiCo? お疲れ? なんかうなされてたよ。熱中症かなぁ?」
気が付けば彼女が覗き込んでいた。潮風香る寝子ヶ浜海浜公園だ。姜 美玲……Millyは心配そうに眉をひそめている。
「……大丈夫。ちょっと、微睡んでしまったみたい」
「学生やって、ママもやって、フル回転だもんねChiCoは。本当にすごいよ! 疲れちゃっても仕方ないよね」
無理しないでね? と言ってくれる彼女の宝石めいた瞳からふと目を逸らす。
「ええ。ありがとう……楓? 大丈夫?」
楓は目を回したかアスファルトの上にへたりこんでいた。智依子の声にくるりと振り返ると笑みを浮かべる。太陽のようだ。
「だいじょうぶー。ママ、みてた? いまの!」
「ごめんね、ちょっと目を離していたの。もう一度見せてくれる?」
「ぶうー。しかたないなぁ! Millyちゃんもみててね!」
たどるステップはまだまだ拙い。それでいて確かな芯の据わり、巧みな足運びの片鱗が垣間見える。あの齢で……圧巻だ。呑まれてしまいそうだ。魅入られたように見入った。
フィニッシュを決め得意げに笑う楓にMillyは手を叩き、智依子は頷く。称賛。嫉妬。渦を巻いた。我が子に対して馬鹿馬鹿しいと頭を振るも波はやはり今もって押し寄せてくる。こんな感情が自分の中にあったのか。どす黒く重く、複雑精緻なうねりだ。翻弄される。
「……バトルしよ、ChiCo!」
「え。ちょ、ちょっと、Milly?」
唐突に手を引かれ石畳の上へと引っ張り出された。期待に満ちて輝く楓の瞳とぱちり目が合う。無邪気な瞳が一つ、二つ。見ればMillyも同じ顔をしているではないか。
「踊ろう! 私たちは踊るんだよ、疲れた時も迷った時も、嬉しい時も悲しい時も! そうでしょ? ねぇ、ChiCo!」
智依子が躊躇う間にもMillyは2ステップからランニングマンを踏み、キレのあるハッピーフィートを披露する。楓も真似をして、これが見事に淀みない足運びを見せた。
智依子の心臓が熱を帯びる。
「……いいわ。踊りましょう。そうね、私たちはどこまでいっても、それだものね」
くるりと回りアスファルトをキックする。
「いいね、そうこなくっちゃ! ほらほら、ミニChiCoもステップステップ!」
「うん! あはは、たのしいね、ママ!」
瞬間、光に包まれてゆく。ステップの応酬は楓も巻き込み、やがて集まり始めた観衆のどよめきと驚きが称賛の声へと変わるまで、一度も休まずに続いた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年10月26日
参加申し込みの期限
2025年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年11月02日 11時00分
参加キャラクター一覧
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