寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？｜リアクション

寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？

　二十二時を過ぎた。
　静かな校舎内、生物室でもぞもぞと動く物体があった。
　生物部名物ちくわの着ぐるみ『ちくわくん』だ。
　中は二人羽織のごとく、すばると美野梨が入っている。
「密着しすぎだわ……。もう少し離れてもらえないかしら」
「ご、ごめん。もうすぐで出るから……」
　ちくわくんは骨格標本から少しだけ離れた場所で止まる。
　そして中からすばるがよいしょと出てきた。
　すばるは周囲を見渡し、そして生物室から出ていく。
　生物室に残ったちくわくんには、美野梨が入っている。
　つまり、ここで見張ろうというわけだ。
　すばるは生物室外の廊下で待機。
　何かあったらすぐに飛んでいく寸法だ。
　それを見ていた修と天野。
　骨格標本から背を向けた状態で机の陰に隠れていたが、ちくわくんの登場にびっくり、とはいかず、ただ冷静に見ていた。
「なるほど、こういう方法できたか」
　修が小さくつぶやく。

　校舎内をうろうろとしていたレイ。
　ＬＥＤランタンがあるから足元は明るい。
　何か起こりそうな予感を感じつつ歩いていると、ふと、鼻がむずむずっとした。
「この香りは……？」
　どこからともなくお腹が空きそうな香りが漂ってくる。
「うん、いいチーズの香りだね」

　校舎の廊下で張り込んでいた利平にも香りが追いついた。
「もしかして夜食が配られてるんか？」
　それだったらオニギリを持ってくるんじゃなかったぜ、なんてつぶやく。

　生物室の近くのトイレに潜んでいた飛鳥にも香りが届く。
「チーズ、だよね。どこからかな？」
　トイレからちょっと顔をのぞかせてみる。いったいどこから？

　香りはやがて生物室の中にも広がった。
　すると。