寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？｜リアクション

寝子高七不思議シリーズ：骨格標本さんが転んだ？

　理事長室前でイタリア料理を楽しむ夜の集い。
　非日常的だけど、暖かい雰囲気が周りを包み込む。
　ラザニアやマルゲリータピザ、カンノーロやティラミスなど。
　刀の作ったイタリア料理が次々と振る舞われる。
「これうめえな！」
　アツアツのラザニアをはふはふと食べる利平。
「これ刀くんが作ってくれたんだよ！」
　自分は料理ができないからと刀にお願いをした円は嬉しそうに自慢する。
「これが彼の望みだったのか」
　それならばよかったと、修もチーズを食べつつ。
「遊びたいんだと思ってたけど、違ったのか」
　天野はちょっと残念と思いつつピザをぱくり。
「ちくわくんにまで入ったのは無駄になったのかしらね」
「そんなことはない。けど、こうやって食事できるならいいじゃないか」
　美野梨とすばるはこの雰囲気を楽しんでいる。
「モノホンのオカルトだったなんて素敵だね」
「僕、絶対このことを小説に書くんだ」
　飛鳥の推理はいい方向に外れた。それでも嬉しいのだ。

　ひとときの楽しい時間が終わりを告げようとしていた。

「お楽しみいただけましたか？」
　円が骨格標本に声をかけた。
「お客様？」
　だが、骨格標本は動かない。
「どうしたんだ？」
　仲間も心配そうに見つめる。
　骨格標本はまったく動こうとしなかった。
　海はおそるおそる揺すってみた。
　力なくテーブルに崩れ落ちる標本。
　もう、そこに魂がないように……。

　だが。
　その表情に優しそうな笑みが見えた気がした。

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