遊ぼう！　トロピカルランド｜リアクション

遊ぼう！　トロピカルランド

「夏休みは短い。主観として短い」
　八神修は主張し。
「そうだよね。でも修くんはいいよ。私なんて８月で休み終わりだもの」
　遠距離恋愛中の恋人七夜あおいがぼやきます。
「いや、俺にとってはあおいのいない夏休みは夏休みとは言えない」
「えー？」
　不満げな口調ですが、あおいの表情は嬉しそうです。
　東大生となり、あおいと恋人同士になった修は、シーサイドのカフェで夏休みのバカンスを楽しんでいました。
　週末帰るために寝子島に借りた賃貸マンションには、短いながら夏休み中のあおいが連泊中です。

「あ、当たった！」
　あおいが注文したメニューには福引がついており、その結果。
「トロピカルランドのペアチケット？　行きたいなあ」
　当選したあおいに、修は子犬のようなキラキラした目を見せて、小首をかしげてみせたのでした。
「うん、一緒に行こう」
　当然のように答えたあおいの目には、大型犬が甘えているようにも見えたかもしれませんが。

　思い立ったがプールサイド。
　翌日、二人はトロピカルランドにやってきました。
　若草色系のトランクス型の水着の修は、あおいの水着姿にくぎ付けです。
（あおいの水着姿が眩しい。いや、去年も似合ってたし眩しかったけど……今年も眩しい）
　見とれながら修の口から言葉が漏れました。
「天使かな」
「えっ？」
「……ごめん。一寸浮かれてた」
　照れながら修は言うのでした。
「泳ごうか。準備運動は忘れずに」
「うん」

　暫し泳いだ修とあおいは、歓声が響くウォータースライダーに視線を向けました。
（挑みたい）
　そんな気持ちが沸き上がってきます。
「やってみる？」
　あおいの意見を聞くと、
「そうだね……どっち？」
「ペアのやつ」
　あおいも乗り気のようだ、と感じました。
「スリルもあるけど楽しそうだ」
「うん、一緒なら大丈夫だと思う」
　あおいの言葉に、じんわり胸が暖かくなるのを感じながら。

　ペアスライダーに昇り、修は冷静にベストポジションを計算してあおいを導きます。
　手を繋いで、バランスを取って座って。
「いざ！」
「いざ！」

　滑りだした途端、あおいの声は歓声に変わりました。
（楽しい！）
　修もいつの間にか声を出していました。
（あおいも楽しそうだ）
　更に嬉しさが増します。

　終わってみれば一瞬でした。
「すごかったね」
　笑顔を見せるあおいに、
「もう一回やりたい」
　と、思わず修は膨らむ冒険心を言葉にしていました。
「男の子だなあ」
　あおいは笑うと、
「いいよ」
　と答え、二人は二度目のスライダーへ向かいました。

「少し冷えたかな」
　体温を戻したい、と二人はカフェへ向かいました。
「チケットのお礼に、ここは俺が払うから好きなの頼んでね」
「ありがとう。どれにしようかな……修くんは？」
「どれがいいかな」
　真剣に選びながら、修はふと顔をあげて。
　同じタイミングで顔をあげたあおいと目が合いました。
「……」
　どちらからともなく微笑んで。
（楽しすぎて、怖い位だ）
　それだけで幸せな気分になるのでした。

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あとがき

担当マスター：茄子りんこ
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ご参加ありがとうございました。
プールを舞台にした様々なアトラクションやごはん、楽しんでいただけたら幸いです。

書きながら私も楽しい時間をおすそ分けしていただきました。
まだまだ暑い日が続きそうなので、これからもらっかみでの夏をお楽しみください。
それでは、ご縁がありましたらまたご参加お待ちしております。

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