ねこねこ看守と、庭園迷宮デスゲーム（？）｜リアクション

ねこねこ看守と、庭園迷宮デスゲーム（？）

　エスケープの行方

「脱出者にゃーっ！　脱出者にゃーっ！」
　伝令ねこが叫んでいる。

「七瀬にゃんとウォルターにゃんが庭園迷宮を脱出したにゃ～！」

　看守に捕まって庭園の中央にてまったりティーパーティをしていた囚人たちは、初の脱出者が出たというニュースに、おおおっというどよめきと拍手で盛り上がった。
「残りは誰？」
　さゆるが尋ねる。
「『あいのとうひこう』中のおねーちゃんたちだけだよっ！」
　答えたのは途中まで理緒といっしょに逃げていた楓だ。
「ぐぬぬぬぬ……！」
　悔しそうに歯噛みしているのはねこねこ看守だ。
「紗月ちゃんを攫うとは理緒ちゃんめ、なんて不逞にゃっ！　こうなったら吾輩自ら出動にゃーっ！」

◇

　そのころ、理緒と紗月は南の出口を目指して走っていた。
「……やたら広いわね。どこをどう行けばいいのやら。こういうときは慌てず騒がず……」
「あ、理緒ちゃん見て。猫が日向ぼっこしてる」
「猫なんて無視無視……」
「……無視って言いながら秒でメロメロになって猫をなでてる理緒ちゃんがいるわ……」
「だーって。可愛すぎるんだもん！」
　庭園迷宮にはこんなトラップがいっぱいで、なかなか先に進まない。
　紗月は猫のあごを撫でまくる理緒を見ながら思った。
（理緒ちゃんに攫われるならいいかな、って思ったけどこのままじゃ逃げきれないかも）

　――その予感はすぐに的中する。
「紗月ちゃうわああああんっ！　助けに来たにゃーっ！」
「げっ、ねこねこ看守！　しかも増援多すぎ……もう囲まれてるじゃない！？」
「そうにゃ！　この包囲網からは、ネズミ一匹逃げられないにゃ！　ねこ看守軍団、かかれーっ！」
　にゃにゃにゃにゃにゃああああっ！
　一斉に飛びかかるねこねこ看守とねこ看守たち。
「紗月ちゃんは丁重に扱うにゃ～！　理緒ちゃんは引っかいてもいいにゃ～っ！」
「うそでしょっ、きゃああああ！　紗月ーーーっ！」
「理緒ちゃあああ～～～ん！」
　あっという間にねこまみれになった理緒と紗月はロミオとジュリエットよろしく引き裂かれ、庭園中央でエスケープを願っていた楓ほか囚人たちの応援むなしく確保と相成ってしまったのだった。

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