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粉を量れば舞い上がり、バターへ練り込むときにはダマになるなど思いもせず景気よく。かと思えば混ぜすぎてはいけないと繊細に扱い、結局ざっくばらんな出で立ちをする生地に太鼓判を押して。ローストしたくるみを刻むのですら香ばしさに釣られ、いくつか味見と相成り混迷の一途を辿りかけたスノーボール作り。今度こそ慎重に温度確認をしたオーブンへ生地をセットすると、真優理はほとほと疲れ切ったという溜息を吐いた。
「お菓子作りって、意外と気を遣うのね」
しかし、その顔はまんざらでもない。どこか達成感すら感じてそうなので、絢は揶揄うような素振りでしげしげと見つめてやった。
「気を遣ってたの?」
「……ません」
むしろ絢に気を遣わせ、いつしか助手のような立ち位置であったと自覚があるのだろう。真優理は一瞬言い訳を探すように視線を逸らせたが、すぐに吹き出し笑顔を見せた。
焼き上がりまで10分以上。『それなら』と真優理は台拭きに手を伸ばし、絢はボールや木べらを回収する。視線は重ならないし、言葉を交わしたでもない。なのに互いの導線を奪い合うこと無くスムーズに片付けが進むことが、2人にとって心地よかった。
次第に甘い香りも漂い始め、お皿や茶器もテーブルに運ばれ始めた気配がする。あとはすすぐだけとなった洗い物を前に、絢は少しばかり急ごうと思って水道へ手をかけた。その瞬間――今まで静かだった部屋に、突如ゴリゴリと低い音が響き渡った。
思わず水道を戻してみる。しかし音は止まらないし、真優理が慌てる様子もない。そこまで考えて、絢はようやくひとつの心当たりを思い出した。
「それ……いつものコーヒーじゃないの?」
「うん、今日のためにね、豆を買ったの。ちょっと贅沢だけど……絢ちゃんに飲ませたかったから!」
ミルのハンドルを回すたびに立ちのぼる香りは深く、濃く。ナッツやカカオを思わせるまろやかさが、絢の口元を綻ばせた。驚かせることもあるけれど、落ち着かせてくれる……そんなところが、似ている気がして。
「……いい匂いね」
「でしょ? 仕事でお客様に出すときも、この香りが広がると、みんな嬉しそうに微笑んでくれるからさ」
家で淹れたなら、同じように笑ってくれるか、とは続けなかったけれど。言外の幸せそうな雰囲気に、絢は小さく笑って手早くすすぎを終わらせた。
そのまま電気ケトルを仕掛け、使いっぱなしにされていた台拭きも洗う頃には、オーブンも間もなく焼き上がると予告のアラームが鳴る。最後のひと仕事にオーブンが温かな唸りを立てるから、2人はつい楽しみに息を吸い込んだ。
この甘い香りと、芳醇なコーヒーの匂いに包まれながら過ごす午後。のんびりした休日を思い描き、どちらの心も自然と弾んでいたはずだ。
――しかし、そうもいかない。
「待って! よりによってそこ!? 絢ちゃんちょっと」
「待ちません」
わんこ型の駒が、颯爽と中央の空き地を押さえる。打ちひしがれるように顔を押さえて天を仰ぐ真優理は、随分とこのゲームにのめり込んでいるようだ。
街並みを模したボードには、交番やベーカリー、児童公園といったミニチュアの建物が、色とりどりに描かれている。それを、わんことにゃんこで奪い合うというのだから、ルールは小学生でも把握できる単純設計。
「……思ったより頭使うのね、これ」
「それ、言うの2回目よ」
悔しくなりながらも、真優理はスノーボールを摘まんで作戦を練る。盤面を見て、使える手札を見て……絢の思考が読めないかと、チラリ。
「ルール、確認する?」
クスクスと笑う余裕すらある絢に、今日は負けてばかりな気がしてきて、真優理は手札を1枚切ってにゃんこ型の駒を置いた。それも、わんこの陣営を挟む形で。
「ちょっと、これ……ずるくない?」
「戦略よ、戦略。人生ってね、そういうものなの」
達観した大人のように言ってのけるが、大見得だった。とにかく広い陣を押さえていこうとする真優理と、場の効果を把握した上で着実に陣を広げていった絢との戦いなど、最後まで見守らなくても明らかだ。
それでも、真優理は諦めない。これが子供向けのゲームであればなおのこと、どんでん返しがあってもおかしくないと気合いを入れる。それでも、もう駒を置けるところは限られてきていた。
「じゃあ……ふふっ。ここ、もらってくわね?」
「あー!! それ、え? だってそのカードと一緒って……」
「そう。ここからここまで、わんこ陣営になるわ」
不敵に笑った絢の色香にキュンとして、今はそれどころじゃないと頭を振って。気付いたときには盤面の色は、すっかりわんこに染まっていた。
焼きたてから少し時間が経ったスノーボールは、表面の香ばしさと中の甘みが落ち着いて、より深い味わいになっている。絢と作っただけあっていくらでも食べられそうだし、コーヒーを淹れ直すこともできるだろう。
「絢ちゃんっ!」
もう一勝負。そう食い下がるのは簡単だったけれど、真優理はそっとスノーボールを摘まんで差し出した。瞬く絢が、一拍おいて口にするのを満足げに眺めて、へらっと締まりの無い笑顔を見せる。
「なくなる前に、これはやっておかないとね」
どこか期待するような顔で見つめていれば、絢からもしてくれないかと思っていたのだけれど、絢の指先はスノーボールの上を彷徨うばかり。代わりに、小首を傾げて照れくさそうに笑った。
「……それだけ?」
柔らかな春の風が舞い込む部屋で、絢の口元に運ばれたのは――盤上のわんにゃんだけが、知っている。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月28日
参加申し込みの期限
2025年08月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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