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はじめまして! ようこそ、わたしの時間へ
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桜と言えば、ソメイヨシノの印象が強いからか一重桜を指すことが多い。けれど、それより少し遅れて咲く桜と言えば八重桜が多いだろうか。名前の通り重なる花びらは、枝先を垂れ下がらせるほどのボリュームがあり、隙間から顔を出す葉にも負けない存在感を放つ色は、淡い中にもしっかりと芯を持っていた。
「りさちんは、どっちの桜が好き?」
「どっちって……桜は桜じゃない」
一見、桜特有の清貧さや儚さとは縁遠く見えても、こうして木の下に座れば肩から余分な力がふっと抜けていくのを感じる。もう散り際なのか、堪えきれなくなった花びらは風もないのにひらひらと舞って、その繊細な踊りを手に受けた理紗子は、そっと包むように握りしめて目を伏せた。
「他人にとって季節外れでも……この子はちゃんと、輝ける場所とタイミングを知っていたのよ」
耳を澄ませば潮騒と、遠くに海鳥の鳴く声。じんわりと暖かい陽光と、くすぐるように降る花びら。十分すぎるくらい贅沢なお花見は、理紗子にとって不満を零す理由なんてなかった。
何でもないことのようにさらりと言う姿に安心した真瞭は、苦笑しながらお茶の準備を始めて笑い飛ばすように話し出す。
「ほら……もう2年になるじゃない? 私のこともさ、桜のくせに……って思う人も、いたのかなって」
自嘲した笑みこそ見せなかったが、真瞭は桜に自身を重ねていたのだろう。楽団の内紛、そしてソリストへの転身。居住地を複数持つほど仕事が安定しているとはいえ、迷いも不安もゼロでは無かったはずだ。
今も迷っているのか。中学からの親友は、そんなに頼りないのか。何を言えば正解なのかわからず、理紗子はじっと真瞭を見つめると、先ほどと同じ質問を返していた。
「まーちゃんは、どっちの桜が好き?」
言われて初めて、真瞭は愚問だったなと気づく。もちろん見上げたときの気分や、一緒に見た人によっても変わるだろう。それでも自分は、美しく咲き誇る桜を傲慢に選ぶ側ではなくて、共に観客を魅せる側として立っていたい。
「んー……りさちんのお弁当を美味しくしてくれるほう!」
冗談めかして笑うと、真瞭はコップに取り分けたお茶を自信満々に差し出した。水筒の中身は理紗子の淹れた焙じ茶だったが、真瞭も電気ケトルでお湯を沸かしたし、ここまで運ぶ任を任されたので、これはもう立派な共同制作のはず。あとは、自分なりに頑張って手伝ったお弁当――果たして、採用された子はいるだろうか。
そわそわとシートの花びらを払う落ち着きのない真瞭に苦笑しながら、理紗子はお弁当を広げて微笑んだ。
「お手伝いありがとう、まーちゃん」
卵焼きになるはずだった炒り卵は、海苔で巻き寿司のように形を整え花の形に。茹で上がりの湯切りで一悶着あったジャガイモはポテトサラダになる予定だったが、丁寧にマッシュされすぎていたためチーズをかけてポテトグラタン風にアレンジされていた。さすがに潰れたおにぎりには出番はないかと思ったが、ごまや刻み海苔、錦糸卵や大葉をあしらいオシャレになって、いくつか紛れているというのだから真瞭は自分の目を疑った。
「あれが……これにっ!?」
「全部じゃないわよ。炒り卵だって、ちゃんと火が通っていて焦げてないところを探したし……」
朝の賑やかさが、そのまま彩りになったようなお弁当。本当は、理紗子が全部作った方が早かっただろうに、手伝いを無かったことにせず、いいところはきちんと見てくれた。
「やっぱり、りさちんは何でもできるのね。ヴァイオリンしかできない私とは大違い」
医者もできて料理もできて、こうして人をサポートもできるなんて、完璧超人にもほどがある。なんて、軽く茶化すつもりで口にした言葉だったのに、理紗子はゆっくり首を振った。思わず真瞭も笑顔を引っ込め、続く言葉を身構える。
「まーちゃんの音楽に比べたら、わたしのはただの生活の延長よ」
けれど、続いたのは否定では無かった。ただ悪いところを教えようと、同じような言葉で返してくれる。
「そんなこと……って、言っちゃいけないわね。うん、お互いに凄い特技を持ってるんだから」
自分を否定せず、他人を羨みすぎず。ずっとその距離感でいてくれるから、長い付き合いになっている気もして、真瞭は頭が上がらないなと苦笑した。
次第に話は、近況報告へ。この年度末から新年度にかけて全力疾走だった2人には、話し足りないことが山ほどあるし、穏やかな時間を言葉無く共有することだって必要で――やがて食事がひと段落する頃には、真瞭の膝には理紗子の頭が乗っていた。
「え、ちょっと……」
「ごめん、重かった?」
重くはない。けれど、距離の詰め方に少々戸惑った。どちらかというと、理紗子は恥ずかしがり屋だと記憶していたし、あまり大っぴらに甘えることもなかったように思う。
傷つきやすいのに無理をして、顔色を窺うように神経を尖らせて。そんな不器用で繊細な理紗子が、ようやく誰かに甘えるという術を見つけたのなら、それでいい。
「ねえ、まーちゃん」
視線だけ向ければ、理紗子の前髪に花びらが乗っていた。そっと摘まんで微笑んでみせると、安心したように微笑み返す。
「……大好きだよ」
はにかみ呟かれた言葉は、感謝ではなかった。一体どんな温度感で放たれたのかと瞬いて、真瞭は思案する。
家族でも恋人でも、ただの友達でもない。けれど、それらの関係と親友の境界線はどう違うのか、なんて説明もできず、理紗子の本気がどこまで深いのか測ろうとするのも、少しだけ怖い。
「今日もこうして、わたしの友達でいてくれてありがとう」
これが遠慮なのか、本心なのか。聞く勇気は持ち合わせないけれど、真瞭の返事は決まっている。
「私も。大好きよ、りさちん」
例えどこかで互いの音高が合わなくなっても調律できる――例え、442Hzから外れたとしても。
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あとがき
担当マスター:
浅野 悠希
ファンレターはマスターページから!
みなさまご参加ありがとうございます、浅野です。
このたびは、たいっへんお待たせ致しました……!!
すっかりリアルタイムでは秋なのか冬なのかといった寒暖差ですが、浅野のらっかみ!タイムは細々と進めていきたいと思っています。
どうぞ引き続き、ゆるりと楽しんでいただければ嬉しいです。
ご意見ご感想、もしくは「読んだよ!」の代わりにダイヤリーのページチェック入れて頂けると、めちゃくちゃ喜びます。
お時間ありましたら、よろしくお願いします~!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月28日
参加申し込みの期限
2025年08月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年08月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
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