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心層深淵劇場 想念花
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凄惨な光景など幾度も目にしてきたしその身で受けたこともあった。そうして
朝鳥 さゆる
という人格は形成されてきた。今さら何を目撃しようが揺らぐことはあるまい、無垢な乙女の肖像などとっくに砕け散り、砕片の寄り集まって強固に形づくられたのが今のさゆるというものだ。
そのはずだったのに。
「じゅん……」
隣に彼女が、
姫木 じゅん
がいるというだけで器をひっくり返すように全てが翻った。
「……見ないで」
じゅんはさゆるを振り返らなかった。一心に眼前で目まぐるしく色を変えるテレビを見つめていた。歯を食いしばり繋いだ手は止め処なく震えた。画面の中に組み敷かれ蹂躙される恋人を彼女はどんな心境を湛えて見据えているのだろう。さゆるに自ら尋ねる勇気は無く代わりに強く手を引きその場を離れた。
あまりにも無機質なビル街を二人は流浪していた。ただの巨大な灰色の箱としか思えない建造物たちには入り口や窓の一つも見られず、辺りに人の気配もないが喧噪だけが満ちていた。にもかかわらず閑散とした街並みは空虚でありぎらぎらとまぶしく瞬くネオンサインの数々も目障りだ。
かつて夜はさゆるにとって掛け替えの無いよすがであった。自ら求めた。溺れたとも言える。留まらない激流に身を任せあえて翻弄されることで己の心をバラバラにしてやろうという試みだった。正気ではいられなかった。自身を傷つけていなければ保てなかった。
街の怪態はそれらの名残りによって形づくられているらしかった。
「…………」
電気屋の店先のテレビに、ショウウィンドウのガラスに、雨濡れたコンクリートの水たまりに、さゆるは映り込み痴態を演じている。その面持ちは多様に変化した。悦びを示すこともあれば耐えがたい痛苦を表すこともある。
そうだ、さゆるはあれらを耐えがたいと今では知っている。なぜあんなものに身を委ねていたのだろう。なぜぐずぐずに溺れるまで身を浸していたのだろう。
「仕方が……ないじゃない……」
仕方がなかった。夜の街はさゆるを容易に受け入れたがそれは優しい抱擁などではなく、互いに刺し刺され相互に傷つけ合う陰惨な儀式に過ぎなかった。依存性があり一度足を取られれば抜け出すことは易くない、蜘蛛の巣めいて狡猾な罠の坩堝だった。誰かの救いが無ければ。さゆるには、無かったのだ。
「仕方がないじゃない……!」
強く手を引く。人形のように力なく、じゅんはよろめきながらさゆるへ追従する。
さゆるは知らない、目尻から零れる雫を止める術を。喉から迸る慟哭を如何にして呑み込むかを。
モノクロームの不夜城はどこまで行っても映像を垂れ流し続けている。時期は違えど内容にそう相違はなくただひたすらにさゆるの嬲られる様を映すのみだ。
悲鳴を絞り出すのに喉も涙を涸れ果てた。
「んんん……」
ふるふると震えるじゅんの肩へ手をやるべきか迷う。その資格があるのかと胸に問う。答えは出ない。いつまでたっても惑うばかりだ。
瞬間、乾いた破裂音が骸のような街へと響いた。
「……ぃよしっ!」
じゅんが両頬を自ら張った音だった。
「じゅん……?」
「知ってたはずなのにね、まぁほんのちょっとばかりショックだった。確かにそう。でももう大丈夫。飲み込んだから!」
「飲み……何?」
いつでもじゅんは一枚上手だ。いつでもそうだった。きっとこれからもそうだろう。彼女は両手をさゆるの頬に添えて真っすぐに覗き込んだ。黒の瞳は夜闇に似て、それでいて艶やかな彼女の髪と同じくさゆるを引き込み捉えて離さない。
「恋人だもの。さゆるのどんな過去だってあたしは受け入れる。全く持って全然気にしないって分けにはいかないかもだけど、努力する。だからあんたは何も気にしなくていい。これはあたしの背負うべきことだから」
「ち、違……あれは、あの頃のことは、あたしが」
「大っ丈夫!!」
力強く、抱き潰される程に抱き締められる。少女めいて小柄な身体のどこにそんなパワーが隠れているというのだろう。どれ程に彼女は、恋人は強いのだろう。
「あんたは気にしなくていいの。今のあんたをあたしは知ってる。あんたらしくしてればいい。簡単なことよ、そうでしょ? ね、さゆる」
涸れたと思った雫が止めどなく溢れ出し、夜の街には再び叫換が谺する。
いつしか夜は明け、白く青く晴れ渡る空の輝きが色無き街を解体していった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
網 透介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
5人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年07月04日
参加申し込みの期限
2025年07月11日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年07月11日 11時00分
参加キャラクター一覧
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