this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム /
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
ポップ・ライフ
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
アウトレットモールの駐車場は、午後の光にじわりとにじんでいた。
アスファルトの上にゆれる影は少し長く、夏の始まりを思わせる空気が肌の上をなでていく。
ベンチに腰を下ろした
椎井 莉鳥
は、冷房の効いた店舗の中から一歩出ただけで、うっすら汗ばんだ首筋に手をやった。
まだ、五月なのに。
新緑の候と世に言うけれど、実際にはカラリとは乾かず、むしろ身体にまとわりつくような湿度がある季節だ。シャツの内側で呼吸する汗が、どこかじっとりと、莉鳥の皮膚に季節を貼りつけていた。
手にしたペットボトルのキャップをひねる。
透明なミネラルウォーターはぬるくなりかけていたが、喉を通ればそれでも十分に涼しかった。冷たい水の感触が体の内側を滑り落ち、気持ちが解けていくのがわかる。
「先輩、水分ちゃんと取りましょうね。今日、ずっと歩きっぱなしだったし」
目を向けると、
中倉 琉歌
がやわらかな笑みを浮かべて、こちらを見ている。
少し日焼けした頬。ゆるくポニーテールにまとめた髪、目にかからない程度にこぼれる前髪、暑さのせいか、うなじのあたりに張りついた髪が一筋、汗に濡れて光っていた。
琉歌。
高校陸上部時代の後輩、短距離のエースで、飄々としてどこかつかみどころのない性格。
この子と一緒にいるとなぜか、自分の輪郭が少しだけ緩む気がする。
「見せてもらっていいですか? さっき買ったトップス」
「どうぞ」
琉歌はリュックと炭酸水のボトルを置くと紙袋に手を伸ばし、莉鳥が先ほど買ったばかりの服をそっと取り出した。
琉歌のプッシュを受けて購入したシャツは無地、真白に近いブルーグレイだった。薄手で、手にした途端、肌にすっと溶けていくように思えた。織り目の細かな生地が、わずかな光を反射して揺れる。肩のラインが自然に落ちるシルエットは、存在感というよりは気配を、音もなく浮かび上がらせるようだ。きっと彼女には、自分にはないセンスがあるのだと思う。
けれどいつしか莉鳥の視線は、シャツよりも琉歌の指先に引き寄せられていた。
小ぶりな爪。節の目立たない、年齢より幼く見える手。だが、指先の所作だけは妙に艶めいている。
布の感触を指の腹で愛でるように、丁寧にシャツを持ち上げる。軽い皺がふわりとほどけて、布が静かに空気をすべる。
あの子の指、なんで、そんなふうにさわれるんだろう。
あの指で触れられたら。
唇に。あるいは首筋に。背中に──。
そんな想像、したこともなかった。なのにいま胸をよぎった気持ちは、この湿った空気のせい、だと、思いたい。
「これ、先輩に絶対似合いますって」
琉歌の声に、莉鳥はにわかに我に返る。
顔を上げて見た琉歌の目元に、いつもよりほんの少しだけ、色が差していた気がした。
胸の奥が、さざ波のように揺れる。
その揺れを隠すように、莉鳥は視線を空に向けた。どこまでも青く、白く、遠い空が、熱をはらんでこちらを見下ろしている。
「……付き合わせて悪かったね、買い物」
「付き合わされてるなんて思ってませんよ。むしろ嬉しいです。椎井先輩とこうして買い物できるなんて、すごく」
言い終えた琉歌の声が、ほんの少しだけ震えたように思えた。
莉鳥は黙ってうなずくと、隣の横顔を見ずに言葉を落とした。
「ありがとう。服、気に入ったよ、全部」
シャツだけじゃない。パンツも、インナーも。大学生らしい服装を、いくつも買った。琉歌のアドバイスがなければ、ボーイッシュというよりはボーイみたいな服の選択になったと思う。でも琉歌は見事に、フェミニンすぎず無骨すぎず、莉鳥の好みのコーディネートを組んでくれた。
「本当ですか?」
「嘘じゃない。似合うかどうかなんて、自分じゃよくわからないし……でも、あなたが選んでくれた服なら、きっと大丈夫」
莉鳥にとってはさりげない言葉だったのかもしれないが、琉歌はこのとき、指先の裏まで火照るような感覚を覚えている。
──私は先輩のことが好きです。愛してます。
かつて莉鳥に告げた言葉がよみがえる。
琉歌はその言葉を抱きしめるようにうなずいて、シャツをたたみ直した。
時間を、数日前に戻す。
長い九十分の講義が終わり、席を立つ学生たちのざわめきが、教室の空気をかき回していた。
キーボードをたたいていた前列の男子も、派手な声で笑っていたウェイ系の女子も、それぞれの荷物をまとめて出ていく。ざわめきが塊になって移動し、遠のいていく。
莉鳥は、ひとり席を立たなかった。
机に伏せていたスマホを裏返す。
通知の光はもう消えていたが、ロック画面に残る名前が目に入った。
──中倉琉歌。
あの子から届いたNYAINの通知は、ほんの数十分前のこと。
講義の途中、表示の明かりに一瞬、気がそれた。でも反射的に画面を伏せて、見ないふりをした。
いま、ようやくそれを見る心の準備ができたかもしれない。
あの子は突然すぎた。去年の秋、最後の記録会を直前にして私の人生の前に姿を見せて、それからハロウィン、寝子祭と何かと絡む機会があって……。
そして、誕生日の日に不意打ちにキスされた。
大学の入学直前には、告白までされてしまった。とっさに、
「いいの、こんな私で……こんな私でいいのなら、改めてよろしくお願いするわね」
って答えてしまった、けど。
あれは、どっちとも取れるような返事だったと思う。
逃げを打った? 指摘されれば否定はできない。
自分にはまだ、誰かと向き合う準備ができていないから。
莉鳥は目を閉じる。幼馴染みとの、腐れ縁を思い出す。恋愛と呼ぶにはあまりに入り組んだ、立体迷路のような関係とその結末を。
恋の残骸の重力圏からようやく解放されたはずだった。やっと自分の人生と向き合える、そう思った矢先だったのに。
薬学部の六年なんて長いようで存外短い。薬剤師になるべく勉強に打ち込むつもりだったのに。
だめだ。ここで立ち止まっていると、沈み込んでしまう。
莉鳥は椅子から立ち上がると、手早く荷物をまとめた。スマホを鞄にしまわず、手に持ったまま、ドアを開けて廊下に出る。
足取りは、いつの間にか早足になっていた。
他の講義室からも人の波が流れ出している。談笑する声、サンダルの音。廊下に満ちる、午後の埃っぽい匂い。
そのすべてが、莉鳥にはやけに遠く感じられた。
歩きながらスマホを開き、琉歌からの通知を確認する。NYAINのチャットアイコン。文面は短い。
『週末、お時間ありますか?』
ただそれだけ。
問いかけの文末に、絵文字も顔文字もない。そこが逆に、琉歌らしいと思った。
莉鳥の足が向かっていたのは、大学の敷地の北側にある、小さな高台だった。昼休みに訪れる学生もいるが、授業が終わるこの時間にはまず人がいない。用意されているものも簡素の極みだ。ベンチと、木々の陰と、遠くに見える街並みと空だけ。
莉鳥は、その木陰の奥にまで歩いていってから、ようやく立ち止まった。
無視したっていいのに。
ちいさく息をつく。
こんなに緊張することなのかと思う。指先が汗ばんで、画面にすべる。
通話アイコンを押すまでに、何秒もかかった。
コール音。
風が、葉をふるわせた。
莉鳥は、意を決したように口をひらいた。
「……明後日なら、大丈夫」
<< もどる
1
…
6
7
8
9
10
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
ポップ・ライフ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月15日
参加申し込みの期限
2025年06月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!