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フラグメントはランダムに・SUN
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【魔術師の誤算】
東方のイズミ国もまた西欧化の波にはあらがえず、近年は旧態依然としたスタイルを捨て、民は洋服を身にまとい、西洋式の魔法灯が街を明るく照らし、両刃の剣を帯びドラゴンの紋様をまとう旅人などの姿もそこかしこに見られるようになった。これも時代の流れというものだ……がしかし、それでも数多の西欧列強に決してゆずらず、今日を対等に渡り合っていられることには、若くして王位を継いだ女王
ユズハ
の慧眼と手腕、それに負けん気によるところが大きかろう。
「我が国特産のハーブは、生産者が心を込めて丹念に、丁寧に、心血を注いで育てた一級品なんです。申し訳ありませんが、そのような条件での取引は承諾できません」
「い……いや、待ってくれ。イズミ国のハーブ園で育つカモミールも、ペパーミントもレモングラスも、ローズヒップもハイビスカスも、バタフライピーも! いまや暮らしに欠かせぬものなのだ」
「ハーブティーとして、香辛料として、薬として……なにより芳しき香りが、われらの心をとらえて離さぬのだ」
「ハーブがなければ、われわれの生活レベルは地に落ちる。イズミ国のハーブは、宮廷魔術師の作るどのような魔法やポーションよりも稀有な価値を持つものだ」
「だから、いま一度! いま一度われらに交渉の余地を! 機会を与えてはもらえぬか、ユズハ女王!」
ユズハは口元を引きつらせながらも、内心の葛藤を悟られぬようつとめて冷静を装いつつ、仰々しくひとつせきばらい。縋りつかんばかりの各国の外交官らへ、穏やかな笑みを贈った。
「もちろんです。双方に実りある交渉といたしましょう」
近頃、若き女王が肩こりに悩まされていることを知るものは、宮廷内にもごくわずかであった。
「どはーーーっ」
装飾過多なドレスもそのままにベッドへ倒れ込む。もはや一歩も動けず指一本ぴくりともせぬとばかりの女王へ、執事の
ユキヤ
はいささか乱暴ながら巧みな手さばきでドレスを剥ぎ取りにかかる。
「今日もうまいことやったみたいじゃん?」
「最終的にはなんとかまとまったけど、西方の貴族ってみんなああなの? ワガママだし、自分のことしか考えてないし、尊大だし……それに僕の手やら肩やら、べたべた触ろうとするのはなんなの? スキンシップのつもり!? 失礼ったらないよ、まったくもう……!」
「連中、自分にだけは誰も彼も魅了するカリスマがあると信じ切ってるからなあ。よっぽど甘やかされて育つんだろ、貴族のお坊ちゃんにお嬢ちゃんたちはさ。ほら、手上げて」
「ん」
ドレスをすぽんと抜き取ると可憐な下着姿をさらすも、彼の前で構いはしない。幼い頃からユズハに仕えてきたユキヤとの間に一切の隠し事はないし、気づかいや羞恥を超越した間柄には遠慮など無用なのだ。
「って、ユズハは信じてるけどな……」
「ん? なにか言った?」
「いんや。それよりほら、早く着替えなよ。本日最後の交渉が残ってるだろ、ユズハには一番重要で、お待ちかねのやつがさ」
ユキヤがそう言うなり、ユズハは飛び起きると、ドレスよりはいくらか簡素な……端的に言えばいささかあけっぴろげに露出を高めた装いを身につけ、窓を振り向いた。
はたして彼は、とっくのとうにそこへ到着していた。
「やあ。今宵の月はさめざめと青く、王宮はさながら君を覗く水槽か。お邪魔するよ、イルカさん」
「よくネタが尽きないね、その口説き文句。ふふっ、いらっしゃい、ワット!」
ユキヤは一礼しつつも複雑そうな面持ちを残して退室し、代わりに降り立ったのは
ウォルター・ブラックウッド
。彼は遠方の小国の長にして、希代の魔術師として知られる。幾千もの距離を一夜と経たずに飛び越えて、王宮のそれも女王の居室へ忍び込む行いこそ、その類稀なる魔法の才の証だ。不躾で罪もいとわぬ無頼の証明とも言えるが。
しかしそれでいて、穏やかな微笑を前にユズハの頬は紅潮し、たまらずといったそぶりで彼の胸へと飛びこむ。額をこすりつけ、彼の香りを存分に堪能する。ユズハがワットと呼ぶ彼とは懇意の仲、どころか恋人同士なのだった。
「今日も大変だったようだねえ。礼儀を知らない貴族連中との交渉は、泥の沼をかき分けて砂金の一粒を探すような苦労だろう。よく頑張ったねえ、ユズハ」
「あれ、なんで知ってるの? そうなんだよ、みんな失礼な人ばーっかりでさ~。でも僕、頑張ったんだよ、ワット?」
「ははは、よしよし。さすがは僕の女王サマだよお。しかしお疲れのようだし、今夜の僕ときみの直談判は、控えめにしておくことにしようか?」
「えーっと。できれば濃密にお願いしマス……」
くすくすと笑い、真っ赤に実った愛しい恋人へ深く口づける。腕の中へ女王の細身を抱き込み、彼は目を細む。
ユズハはぬくもりにうっとりとして身をまかせ、やがて胸元へ伝わる指先の巧みに小さく、濡れた吐息をもらした。
小鳥のさえずりから甲高く鳴く嬌声へと変わってゆくのを背に、扉へもたれたユキヤはため息をつく。メイドやら家臣やらは夜が明けるまで遠ざけてあるが、いささかはしゃぎすぎではなかろうか。
まあそれはどうやら、こんなにも恋人を鳴かせるのに夢中になっている、ユキヤの真なる主も同じようであるのだが。
「まったく。どっちが虜やら……」
希少な魔法薬媒体となるイズミ国のハーブの独占的入手を目論んだ魔術師の手により、遠大な計画の初期段階において幼き王女ユズハのもとへ贈られた、魂を宿す魔法玩具人形がユキヤだった。狡猾な魔術師は時間をも思うままにする天才であったものだから、彼は成果を焦ることもなく、先代女王を催眠なり洗脳魔法で傀儡とするのではなく、その娘をしごく真っ当に手なづける冗長にして盤石な方策を選んだのだ。
しかしながら彼女の母が病に伏し、幼き王女が国を背負って立つことになった折、健気にも力強い笑みで民を前に手を振り、その裏で密やかに泣き濡れる彼女の涙にうっかり心絆されてしまったのは、魔術師にとって太陽と月がひっくり返るような大誤算であっただろう。無論、ユキヤにとってもだが。
「手段と目的、すっかり入れ代わっちゃったよなあ」
以来、少女の幸福のみを追求する日々が続いている。どんなに斬新な魔法の研究よりも難しく、道程は困難にまみれ、そしてどこまでも満ち足りた日々だった。
つまらなさそうに、ユキヤは鼻から荒い息をついた。目下の彼にとって気に入らないことは、少女の愛がどうにも、魔術師にばかり向けられているように思えてならないことだ。彼女の幼い頃から心通わせ、尽くしてきたというのに。近頃はユキヤに、いや誰の手にも触れさせまいとしてか魔術師は、彼女を自分だけの鳥籠へ囲うようなそぶりもある。まったくもって、気に入らない。
「ふん……」
主が隙を見せたなら、少しでも愛しの少女を悲しませようものなら、すぐさま奪い去ってやろう。渦巻く庇護欲と情愛の狭間に惑いながら、決意を固めるユキヤであった。
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あとがき
担当マスター:
墨谷幽
ファンレターはマスターページから!
墨谷幽です。『ランダムに』第三弾のリアクションをおとどけいたします。
今回は比較的インスピレーションがぽんぽんと湧いて、どのエピソードもすらすらりと書くことができました。
これがこのシナリオの醍醐味のひとつかな、と思っておりまして。
普段は見られないような皆さんの一面を、時に世界観も違えて新鮮な気分で、いきおいまかせに執筆するのは爽快で気持ちがいいです。
このシナリオはあえてプロットも作らず行き当たりばったりで書き出すもので、サイコロの目から想像されるようなところとはまた全然違ったりもするかと思いますけれど、それも含めて味わいだと思っていただけたなら幸いです。
それでは、今回もご参加いただきまして、まことにありがとうございました。
次のシナリオでもお会いできますことを、楽しみにお待ちしております~。
お疲れさまでした!
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年06月13日
参加申し込みの期限
2025年06月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年06月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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