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桜の余韻。もう一度だけ、ありがとうを。
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もう、さゆるが来てから十分な時間が経った。
お世話になった母校への義理という、『ちょっと顔出し』程度であれば果たしているし、このまま声をかける勇気を持ち合わせないのであれば、壁の花でいる時間が無駄だということも、わかっている。
それでもさゆるの中では、帰るという選択肢は浮かばなかった。誰かの話を止めてまで伝えたい言葉はないけれど、もし見初めてくれる誰かがいたのなら――ちゃんと、伝えたい。
凜と立つ姿は周囲の興味関心を引いたようだけど、ヒソヒソと遠巻きに囁かれているだけで、誰もさゆるの気迫に近づけなかった。……いや、それには料理を楽しんでいるじゅんも一役買っていたかもしれないが、器用にさゆるからは見えない角度で威嚇されていたので、真実に気がつくのは下心を疑われた生徒ばかりだ。
そんな人よけが功を奏したのか、それとも空気を読むのが苦手なのか。今日も変わらずのほほんとした笑みを浮かべ、
白沢 絢子
はさゆるに声をかけた。
「やっぱり! 姿勢のいい美人がいるわと思ったら……朝鳥さんだったのねぇ」
懐かしいと言うほどの時間は、経ってないはずなのに。少し気恥ずかしい気持ちになって、さゆるはぎこちなく微笑んだ。
「お久しぶり……でもないですね、白沢先生」
微妙な挨拶だと思う。それでも絢子はいつもと変わらない顔で笑ってくれる。
お喋りな彼女は、さゆるの緊張を解くように話し続けた。「これから寂しくなるわね」とか、「ここのお料理は食べた?」だとか。委細を聞かず、普通の生徒として接してくれる人。
生い立ちに同情したり、変な正義感を押しつけない。そんな絢子は――きっと、恩師と呼べる人だ。
「白沢先生……お世話になりました。本当に感謝しています」
一礼し、顔を上げたさゆるは、晴れやかな卒業生の顔をしていた。
生きてる意味なんてないと自暴自棄になって、留年はしてしまったが……ちゃんと、卒業した。進路も定め、自分の意思で歩むことを決めた。
「私、来月から……キャバクラに勤めるんです。でも、大学生活も疎かにしません」
どうってことともない、近況報告。でも事務的な会話ではなく、伝えたいと思った。今まで踏み込まぬように接してくれた絢子だからこそ、本当は心を許しているのだと知ってほしくて。
「あら、新生活が一気に忙しくなるわねぇ。それじゃあ、お料理してる暇はあるかしら?」
クスクス笑う絢子相手に、どこまで話したものかと掻い摘まんで生活状況を話す。
好きな人と暮らしていること、その人がまるで家事ができないこと。でも、それ以上に自分の助けになっていること。
まるで絢子は、自分の娘の話を聞くかのように、嬉しそうに相づちを返してくれる。それがとても居心地がよくて、心が温かくなった。
そこへ、じゅんがデザートを取って戻ってきた。
「もしかして……さゆるの、お世話になった方ですか?」
ダレた酒焼けの声を押し隠し、営業スマイルを見せるのは接客業の賜か、それとも年の功か。
丁寧な挨拶をするじゅんに、ご丁寧にと挨拶を返す絢子の様子が何だかおかしい。
「それにしても、美味しそうなデザートねぇ。あなた好みのものはあった?」
「はい。私のオススメは――」
ハキハキと答えるじゅんに笑いそうになっていると、絢子が目配せをする。もしかしたらこれは、彼女なりにじゅんの好みを聞き出そうとしてくれたのだろうか?
(あたし、まだ先生に言ってない……わよね?)
調理実習で悩みこぼしたことを覚えているとは思わない。けれど、昔よりも笑えるようになったからこそ、絢子が察していてもおかしくない。
(……参加してよかったな)
やっぱり、じゅんの意見はほどほどに聞くものだ。近く、彼女の気に入った料理でも作ってあげようかと、盛り上がる2人の話に耳を傾けた。
立ちっぱなしも疲れるだろうとメアリのために座れる場所を手配すると、柚春はもう一度ウォルターの姿を探した。
(僕は、メアリさんにお礼を言えたけど……)
そして彼女にも、ちゃんと『ウォルター先生』をしている彼を見せられた。慕われている姿に安堵もしてもらえたし、目標の半分は達成している。
でも今日が『感謝』を伝える日だというのなら――まだまだ足りない。
学校でお世話になったウォルター先生、外では色々な経験をさせてくれたウォルターさん。
…そして、「好きだよ」と言ってくれたワット。
様々な側面を持つ彼に伝えたい言葉は山ほどあれど、自分はまだ卒業ではない。感謝はいつ伝えてもいいが、絶対に今日言わなければと焦っているわけでもない。
でも、こうして場を用意されたからこそ言いやすい言葉、というのもある気がして。
「わ……えと、ウォルター先生!」
思わず言いかけた愛称を飲み込んで、えへへと生徒の顔をする。
今は少し挨拶の生徒も途切れた頃合いだったようで、彼は柚春を制することなくにっこり微笑んだ。
「メアリと来てたね?」
「うん! せっかく校外の人が参加できるイベントだし」
それにね、と内緒話をするように彼の耳まで唇を寄せると、何の悪巧みだといった顔で彼も少し屈んで身を寄せた。
「メアリさんに、『ありがとう』って伝えたら?」
長年連れ添った彼が、今まで口にしてないとは思わないけど。でも、誰よりも真面目で、優しくて、不器用な人だと……言葉にするのが苦手なんだと知っているから。
「……そうだねぇ」
思いがけない一言だったようで、彼は少し目を見開き――少しだけ頬を赤らめて、照れたように笑った。
きっと、支えてくれる人たちへの感謝も深くて、急に言われてもまとまらないのかもしれない。
「一言でもいいと思うよ。気持ちが伝われば、それで」
「うん。言わなきゃ、とは思ってた。でも……どう言えばいいか、迷っててねぇ」
鼻の頭を掻く姿は少年のようで、柚春は彼の背中を、やさしく押してあげたくなる。
「今日なら言いやすいかと思ってさ。今ならメアリさん、あっちで休んでるから」
不自然じゃないように手をつないで、彼を急かさないように「どうする?」なんて顔を覗き込む。今日はいつものようにイチャイチャとできないのだから、これくらいの役得は許されたい。
「えぇ……今すぐ? 待って、あと5分……いや、3分」
ゆっくりとメアリへ歩み進めつつも、ウォルターは考える。
今日この日まで見守ってくれた彼女に伝える感謝の言葉と――背中を押してくれた柚春への慈しみの言葉を。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
NPC交流
定員
10人
参加キャラクター数
9人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2025年05月16日
参加申し込みの期限
2025年05月23日 11時00分
アクション投稿の期限
2025年05月23日 11時00分
参加キャラクター一覧
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